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名人戦第1局、速報感想

2003年4月、第61期名人戦が始まりました。
棋譜の速報は、トップページから毎日のホームページへ行けます。また、BSでは、第1日目、午前9:00〜10:00、午後5:00〜6:00の放送、第2日目は、午前9:00〜10:00、午後4:10〜6:00、深夜0:00〜0:15の放送予定となっています。

このページでは第1局の速報感想を載せていきます。予定としては、1日目は、2回〜3回(午前10時過ぎ、午後6時過ぎ)、2日目は、随時載せて行くつもりです。(2003/04/17AM10:10)


先手森内名人、後手羽生竜王でついに名人戦の第1局が始まった。

先手が森内名人なら当然居飛車、これに対して羽生竜王がどういった作戦を取るかに興味が持たれたが、第1局ということもあってか、4手目に△8四歩。これで横歩取りがほぼ確定した。図は、10時、BS放送終了局面。

横歩取り8五飛戦法と言っても、出現した当時と、少しずつ駒組みも進歩している(△4一玉の手順が早くなるなど)。それでも、もっとも典型的な8五飛戦法に落ち着きそうだ。
なお、今回は、将棋ソフト「居飛車道場」を参考にしながら手順を追っていってみようと思う。
(4月17日午前10時10分記)
1日目午後3時の局面。
オーソドックスな8五飛戦法だが、羽生竜王は、△5五飛から動いた。もちろんこの変化も時々見かける定跡の手順。

今、桂はねを受けるため、▲6六歩と突いたところ。「横歩取り△8五飛戦法」(中座著)の本には載っていない形になったが、「居飛車道場」には、この後まで、詳しく変化が出ている。
ここで、△2四歩か△2五歩か△7五歩。△6四歩はやや疑問手で、先手有利になると言う。
△2四歩、△2五歩、ともに変化膨大で、早くも難解な中盤戦に入った。どこで定跡と分かれ、新手が出るかどうか。
(17日午後3時10分記)
1日目終了局面。

上図アップ後、すぐ実況を見たら、△5五飛と動いていてビックリした。初めて見たので、新手かと思いきや、かつて一局だけあったらしい。
その後、森内名人は長考して▲3五歩。

そして、5時からBS放送が始まった。▲3五歩に対し、内藤九段は、「強気な手。つまり、次に▲3四歩△4五桂▲同桂△同飛▲3三歩成を見ている」と解説。

そのまま5時半になり封じ手時刻だが、未だ羽生竜王の考慮中。
△4五桂と跳ねるのが第一感だが(唯一の実戦譜も△4五桂)、類型のほとんどない、ほぼ未知の局面で、考えることは無限にありそうだ。これで(△5五飛で)後手が良くなれば流行りそうな一手だが、さて。
(17日午後5時40分記)
2日目が始まった。封じ手は、△3六歩。ちょっと意外ではあったが、全く予想されない手ではない。
BS解説では、その後、普通に指せば、▲3六同飛△4五桂▲同桂△同飛▲4六歩となる(内藤九段)。
最後の▲4六歩は他の手もありそうだが、いずれにしてもこう進むと思っていたが、森内名人は指す気配がない。結局、10時までのBS放送中に一手も動かなかった。

BS放送中、▲3四歩についても少しだけやっていたが、放送中は、△3五角があるから全然ダメだろう、と私は思っていたのだが、・・・なんと2時間半近く長考して、森内名人が指した手は▲3四歩!
△3五角には▲3六飛で、どちらかを成らせても、やれるとの読みなのだろうが、それにしても、驚愕の一手(読み)。
単に▲3六飛と取っても難しそうに見えるのに、▲3六飛では悪いと見ての▲3四歩か、それとも▲3四歩で良くなると見ての踏み込みか、局後の感想を聞きたいところだ。
普通に考えれば、△3五角で後手が良くなりそうだが・・・。
(18日午後12時10分記)
2日目午後2時30分の局面。

羽生竜王は、当然の△3五角。これに対して、▲3三歩成!と踏み込んだ。この手は、△5七飛成から△2六角で、「勝てる気がしない」ので、▲3六飛と我慢するかと思ったのだが、これは、△5七角成▲7七玉△3五歩でまずいのだろう。

図は、よく見れば、飛車と金桂交換で、駒割りは、ほぼ五分だ。王手で龍を作られせると言う、ものすごい感覚だったが、▲6八銀と龍に当て、先手を取って▲3三歩から▲3七の桂を跳ねられれば、△3五角と打たれる時に考えていた程の差はないのかもしれない。

とはいえ、これで後手が悪いとは思えない。
(18日午後2時40分記)
2日目午後6時の局面。

4時10分にBSが始まってから局面(形勢)が動いた。▲3三歩と一旦叩いてから▲4六桂を打ち、さらに成り捨てた手順が、まさに「手順を尽くして」と言った感じだ。対する羽生竜王の△3七歩成がどうだったか。
BSに谷川王位をはじめ何人もプロ棋士が出ていたが、▲3四歩を打ってからは、先手乗りの感想が多かった。実際、様々な変化の検討も、なかなか後手が良くならない(△3八とが回らない)。
それでも、本譜の順が最も難しいと言われていた手順。「次の一手にうまい手があれば(先手が)寄せきれる」(森九段)。だが、平凡な▲1六角△3一桂▲3三金△5二玉▲4三銀不成△6一玉▲5四銀成△7二玉▲6四成銀△同歩では、先手勝てない(内藤九段)。
寄せがあるのか、残しているのか、訳が分からない難解な終盤戦になった。
(18日午後6時10分記)
2日目午後8時の局面。

内藤九段が先手勝てないと言っていた手順になった。BS放送中、▲3四銀では▲3四金が有力(島八段−森九段)との解説があったが、実際、▲3四金に△4二玉なら次の▲4四歩が厳しく、先手有望だったような気がする。

本譜のように、玉を追うしかないのでは龍を取っても、普通は勝てないとしたものだ。それでも左図の駒割りは、まだ先手の駒得。6四の成銀、もしくは4九の金を取って、はじめて五分だ。
金駒が二つ当たっていて、しかも3三の金が遊んでいるので、少しずつ羽生竜王が良いと思うが、まだ楽観できるほど差が開いている訳ではない。第1局目から大熱戦になった。
(18日午後8時10分記)
2日目午後8時30分の局面。

上図より▲5二歩を利かせてから、▲3八角と手を戻した。やはり飛車打ちや▲7三成銀など攻める手では、寄せきれないか。

しかし、6四の成銀を取られ、駒割りも五分に戻り、3三の遊び駒だけが残った(後手の持ち駒に銀二枚あるのも大きい)。

最後の狙いである▲3二歩を間に合わせ、▲7四角と出て勝負と言うことだろうが、僅かに足りなさそうに見える。
羽生竜王優勢。
(18日午後8時40分記)
午後9時30分頃、森内名人が投了した。左図が投了図。

上図より△4八銀!がごつい一手。さらに、△7一金と羽生竜王の激辛流。これで、はっきりした。

本局は、意表の▲3四歩から読みの深さを見せた森内名人だったが、寄せをどこかで間違えたのだろうか?BS解説などを見る限り、双方共に疑問手などもありそうだったが、それでも見応え十分の熱戦だった。

週刊将棋を見て、また違っている箇所があったら、追記しておきたい。

(18日午後9時40分記)
(週刊将棋を見ての追記)
この第1局は、実際に見ていた時の形勢判断が間違っているなど、非常に難しい将棋だった。

まず、もっとも気になった41手目▲3四歩辺りについての記述。
『はじめは無理気味という雰囲気だった控室も、名人の攻めがなかなか振りほどけないことに驚く。森内の大局観が正しかった。羽生も「こっちは変化のしようがない。苦しくした」と認めた。』
また、森内名人の言葉に、
『いいか悪いか分からないが思い切ってやってみた。分かれはまずまずと思いました』とある。
つまり、▲3四歩からの思い切った反撃で、森内名人がペースをつかんだ訳だ。

そして、見ていた時には、敗着かと思われた65手目の▲3四銀。金なら勝っていそうに思われたが、週刊将棋には、
『▲3四銀では▲3四金も有力だ。違いは▲4四歩と突いたときに後手は△同角と取りづらいこと。』と簡単な記述にとどまっている。▲3四金の方が良さそうだが、明快な勝ちと言う訳でもなく、一方▲3四銀が悪いと言う訳でもない、と言う微妙な感じだ。

実際、▲3四銀でもまだ良かったらしい。本譜通り進めて、玉を逃がしたところでは、「先手勝てない」と言った内藤九段の感覚が「普通」なのだが、実際は、難解だった(むしろ先手持ち)。

『△6四同歩では簡単に負けになると思ったので』と羽生竜王が言ったように、△3八とと取ったのが、「羽生マジック」。これに名人が間違えた。

77手目の▲5二歩から次の▲3八角が敗着になった。
『(77手目では)▲7三成銀と桂を取りたかった。以下△7三同銀なら▲2二飛△6二銀打▲4二金、△7三同玉なら▲4二金!△4九と▲5一金といずれも金を活用する順でまだ先手ペースだった。』とある。

この第1局、羽生竜王が、『△4八銀と迫れて難しくなったと思った。勝ちになったと思ったのは最後の△7一金と打ったところ。』と言ったように、最後まで難しく、内容の濃い大熱戦だったと思う。
(4月20日記)

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