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名人戦第2局、速報感想

ここでは、2003年第61期名人戦第2局の感想を載せていきます。
棋譜の速報は、トップページから毎日のホームページで。また、BSでは、第1日目、午前9:00〜10:00、午後5:00〜6:00の放送、第2日目は、午前9:00〜10:00、午後4:00〜6:00、11:30〜11:45の放送予定となっています。

更新の予定は、1日目は、2回(午後1時30分過ぎ、午後6時過ぎ)、2日目は、午後より随時載せて行くつもりです。(2003/04/24PM1:30)


この第2局は、先手羽生竜王、後手森内名人です。

今回、後手の森内名人は、序盤、△3二金から△8五歩とした。これにより、角換わりを受けたことになる。
以下は、角換わりでも棒銀や早繰り銀などいろいろあるところだが、角換わりでは最も普通の、腰掛け銀になった。

図は、お昼までの局面。
後手の銀がまだ腰掛けておらず(△5四銀と上がっていない)、△7四歩から△7三桂と早目に攻撃態勢を整えているのが、ちょっと変わっている。この後は同型に落ち着き、先手が先攻するのが普通だが、後手番で、森内名人が何か趣向を見せてくれるのかどうか。
また、名人の指し手に注目していきたい。
(4月24日午後1時40分記)
1日目終了図。

やや手順が違い、微妙な駆け引きはあったものの、もっとも典型的な相腰掛け銀になった。そして、ここから定跡通りの仕掛け。▲4五歩から1筋、7筋を突き捨て2筋の一歩を切る。この手順は、今まで数多く指され、また研究され、その度に、新手が出て、結論が変わったりしてきたところだ。

BS解説の阿部七段によると、「後手の勝率の方が良いはず」とのことで、現状では、やや後手を持ちたいという人の方が多いらしい。
とは言え、結論は当然まだ出ていない。
ここで、羽生竜王が、新たな手順を見せて、角換わり腰掛け銀の定跡にまた一石を投じるかどうか。
封じ手は、▲2二角成か▲3三歩しかないだろう。しかし、その後は、「居飛車道場」の定跡講座で見ても、変化膨大。数手で優劣が付く中盤の難所にさしかかった。
(4月24日午後6時10分記)
2日目お昼までの局面。
朝のBSが見られず、出先から帰ってみると、局面が動き、すごいことになっていた。

▲4一角は定跡にも載っている手だが、「ソフトの居飛車道場」には、△3一玉からの変化はもうなかった。解説では聞いたことがあるような気がするので実戦はまだあるかもしれない。

しかし、角を切って、▲4三銀!と銀も捨てる。この段階で角損の攻め。いくら飛車を成っても、角損の攻めでは成立しているようには見えないが、今▲2五金と打たれてみると、結構受けづらそうだ。
自分で指すなら先手を持ちたいが、ここは受けの達人、森内名人なので、何かひねり出すのでは、と期待している。
(4月25日午後1時40分記)
2日目午後3時の局面。

名人は、上図より、受けずに、△8六歩!から△8八歩。このタイミングで攻めるとは思わなかった。△3二銀とか△2二飛とか、とりあえず受ける手に目がいくが、容易に攻めが振りほどけなさそうに見えたので、後手も容易ではない、と思っていたのだが。

しかし、△8六歩から△8八歩が良さそうな手に見える。
図のように△6九銀とかけた手は分かりやすい攻め。先手の攻めが難しく(▲3四金から追ってしまうのは、後手玉が広そう)、こうなってみると後手を持ちたい感じだ。
羽生竜王の鋭い寄せが出るのかどうか。後手やや有利のような気がする。
(4月25日午後3時10分記)
2日目午後6時、BS放送終了局面。

BSの解説(阿部七段)によると、72手目までは過去の実戦例もあるとのことで、現在では、後手良しと言うことらしい。そして、73手目の▲2五金が羽生新手とのこと。但し、羽生竜王自身は、研究会で指したことのある手(島八段)だという。

さて、上図より、▲3五金!△5八銀成!と進む。
どちらも意表の一手。▲3五金は、羽生竜王らしいふわっとした妙手だ。銀の割り打ちを打ったところでは、後手やや有利かと思ったが、この一手でまた分からなくなった。

そして、BSの解説では、▲3五金の後、羽生竜王の勝ちになる変化が多かった。

さらに、△5八銀成!この手も不思議な一手。普通、こういう場面では成らない方が良い。なぜなら、6八へ利かせるより6七へ利かせた方が良く、不成なら△6九銀不成と再活用する手も残っているからだ。「成る意味が見いだせない」と島八段が言ったように、成って得になる変化が分からない。

▲3四金から攻めて、羽生竜王の一手勝ちになりそうだが、△5八銀成の意味がこの後出てくるのかどうか。難しい終盤戦はまだ続く。
(25日午後6時10分記)
2日目午後8時の局面。

羽生竜王は、▲4四歩からの攻め。BS放送の解説では、▲3四金からの攻めでも後手勝ちの筋はなかなか出てこなかったが、こちらの方が、4三の地点に歩が成れるのでより良いとの細かい判断だろう。但し、金一枚、相手に多く持ち駒を渡すため、手が止まると、いっぺんに先手玉も危なくなる。

▲3二龍には受けが難しそうだ。合駒をした後、▲4三歩成から▲2一龍の筋があるため、何を合駒にするのが最善かと言うことだが。

依然難しいとは思うが、羽生竜王が寄せきりそうな感じだ。
(25日午後8時10分記)
2日目午後8時40分の局面。

△4二銀は、苦心の受け。普通は、△4二歩か△4二金。しかし、いずれも▲4三歩成の後、▲2一龍でまた後手になるのでつらそうだ。

▲4三歩成△6一玉に▲5二銀!が、決め手かあるいは疑問手か?
取られて銀をさらに一枚渡す形で寄せきれるのかはっきりしないし、△7二玉と逃げる手もありそう。

羽生竜王なら読み切って▲5二銀と打ちそうな気もするが・・・。どちらが勝っているのか微妙だ。
(25日午後8時40分記)
午後9時、△5二角▲4二龍に△6九銀とからんだ所まで。

難解で、よく分からないが、先手負けになったのでは?と思える。要するに後手玉を寄せる手が見えない。先手玉はほとんど受けなし・・・に見える。
(午後9時5分記)
午後9時20分の局面。

全部精算して、▲7九歩!一転受けに回った。▲8二飛や▲7四角など王手で合駒を使わせることを考えたいが、少しくらい使っただけでは先手玉の詰めろが消えない。逆に(大駒の)当たりが残る場合があるということだろう。

あの角換わりの定跡形からの将棋とはとても思えない程の大熱戦になった。依然難解でどちらが勝つか分からない。

ただ、▲7九歩とここで受けに回るようでは、普通は、後手が勝てそうな感じではあるのだが、銀が入ると、後手玉も詰みそうで、非常に難しい。
(午後9時30分記)
まだ、局面が動いてないが・・・。

何も渡さずに詰めろをかけ続ければ後手の勝ちだが、意外にもそれが難しそうだ。それも、▲7四角や王手の飛車打ちで合駒を強要される手があるため、なおさら。▲7九歩で先手が残しているとしたら、まさにマジックだが。
(午後9時45分記)

森内名人が投了。左図が投了図。

上図からうまい手順の詰めろが続かなかったようだ。△7六角に▲7七金がうまい受け。
△6八飛に▲9七玉ではっきりした。▲8二飛以下は即詰み。

今回も大熱戦で、その時々の形勢判断が、また怪しい。ずっと羽生竜王が良かったのか、あるいは途中で逆転し、また再逆転していたのか、週刊将棋を見て、違っている箇所があったら追記しておきたいと思う。
(25日午後10時20分記)

投了図以下の即詰み手順
△5二玉は、▲6二飛成△同玉▲6三金△5一玉▲5二金打まで。
△7四同玉は、▲7五銀。これに△同玉は▲7六金△7四玉(△同玉は▲8六飛成)▲8四金△6三玉▲7四角まで。
▲7五銀に△6三玉は、▲6四銀△同玉▲6二飛成△6三歩合▲7五金△同玉▲7三龍△7四歩合▲8六金打まで。
▲7七金が詰みに良く役立っているのが分かる。
(午後10時40分記)
(週刊将棋を見ての追記)

今回、週刊将棋を見ても、解決しない疑問が多かった。

まず、73手目の羽生新手▲2五金について。羽生竜王は、『▲2五金は善悪は微妙かもしれませんが、ある手だと思っていました。』と言い、森内名人は、『▲2五金は考えていませんでしたが、この手で簡単に悪くなるとは思えなかった。』と言っている。そして、本譜はこの後、△8六歩だったが、ここで△7六歩も有力だったそうだ。結局▲2五金についてはそれ以上触れられておらず、この手の評価は、今後の研究待ちと言うことらしい。

80手目の△5八銀成も見ている時は、かなり不思議な手だったが、これも解説がほとんどなかった。
週刊将棋には、『銀成りでは不成もあるところでその違いは微妙。名人、再度の大長考も「どちらが得か分からなかった」。』とだけある。

敗着についても、これが敗着とはっきり言える手がなかったと言う。ただ、週刊将棋にはこう書いてある。
『▲5二銀(93手目)に対する△同角が疑問で先手に形勢が傾いた。△5二同角では△7二玉と逃げて以下▲4二龍△8一玉なら依然難しい勝負が続いていた。(以下略)』

最後に驚異の▲7九歩!について。
『5二の地点で精算してから▲7九歩と手を戻したのが絶妙だった。△7八銀成▲同歩△6八成銀と迫られても、▲7四角△6三金▲4一銀と追い、後手の合駒の悪さを突けば詰む。羽生は(1)銀1枚手に入れば相手玉に詰み筋が生じること、(2)後手は△7八銀成以外駒を渡さないで迫る順がないこと、を読み切っていたのだ。』

今回も非常に難しい将棋で、すばらしい一局だったと思う。
(4月27日記)

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