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名人戦第3局、速報感想

ここでは、2003年第61期名人戦第3局の感想を載せていきます。
今回より棋譜速報が有料になったため、この感想は、無料ページの棋譜及び、BS放送のあとからのアップとなります。
BSは、第1日目、午前9:00〜10:00、午後5:00〜6:00の放送、第2日目は、午前9:00〜10:00、午後4:00〜6:00、深夜1:45〜2:00の放送予定となっています。

更新の予定は、1日目は、2回(午前10時過ぎ、午後6時過ぎ)、2日目は、2〜3回(午前10時過ぎ、午後3時頃(無料ページ更新後)、午後6時過ぎ)で、6時以降の進行は翌日となります。(2003/05/07AM10:10)


この第3局は、先手森内名人、後手羽生竜王です。

四手目に羽生竜王が△4四歩と止め、振り飛車模様にしたため、森内名人が▲2五歩と振り飛車を催促。今期初の振り飛車となった。

図は、午前10時、BS放送終了局面。羽生竜王の四間飛車に対し、森内名人がどのような戦法を取るかに注目だが、端を受けずに▲5七銀と上がった。一般的には、「3九の銀が5七へ上がり、▲3六歩を突かず、端を受けない」と言うのは、居飛車穴熊などの持久戦模様である訳だが、後手の玉がまだ居玉なだけに、▲3六歩からの急戦もないとは言えない。居飛車穴熊なら居玉のまま攻めてしまおうとする藤井システムに対し、名人がどのような戦法を取るかが今後の見どころだ。
(5月7日午前10時10分記)
1日目終了局面。

午前中のBS放送終了直前に指された△9五歩は、ある意味危険な手だ。と言うのも、まだ居玉なので、▲3六歩から▲3五歩の急戦を仕掛けられるおそれがあるからだが、反面、居飛車穴熊に組まれる時には大きな一手になる。

この△9五歩を見て、森内名人が仕掛けた。▲3五歩△3二飛に▲4六歩。この仕掛けは成立するかどうか、プロ間で問題になっているらしい。図の一手前、▲3二歩では▲4五銀が今までの手で過去の実戦例もあるという。
名人の▲3二歩が新手。ここから未知の戦いに入った。

図から、BS放送では、加藤九段と鈴木八段の解説があった。この手に対しては、△3二同飛と△4一飛のどちらかが普通だという。
BS解説の一例だが、△3二同飛なら以下▲4五銀△同銀▲同飛△3四銀▲4三銀△同金▲同歩成△8八角成▲同玉△4五銀▲3二と△3九飛▲5九金打。▲4三銀と打ち込むところでは、じっと▲4八飛もある。
△4一飛なら▲4五銀△同銀▲同飛△3四銀▲4八飛△4五歩で、「仮に」と言って加藤九段が示した手順が、以下▲2四歩△同歩▲3一歩成△同飛▲3七桂△3六歩▲4五桂△3七歩成▲4九飛。
もちろんどちらも、途中にまだまだいろいろな変化がある。居飛車党の加藤九段は、居飛車の先手を持ってやれそう。振り飛車党の鈴木八段は振り飛車も十分とのことで、これからの勝負ということだろう。

個人的には、今のBS解説を聞いた感想では、△3二同飛はちょっと振り飛車大変そう。△4一飛なら振り飛車持ちたいと言ったところだ。
(5月7日午後6時10分記)
2日目午前10時、BS放送終了局面。

封じ手は、△4四角!、意表の一手だった。つまり普通に考えたとき、以下▲同角△同飛▲5五角に飛車が逃げて▲1一角成と香損するので考えから外してしまうからだ。但し、もし、1一の香が1二へ上がっているなら△4四角は最有力候補になる。振り飛車から駒をさばきにいく時は、1一角成と香車を取られながら角に成られる形は、通常振り飛車が悪いと思っていて間違いない。

羽生竜王が、長考の末に指した△4四角。△3二飛や△4一飛では悪いと見ての勝負手か、あるいはこの形なら香損しても手が作れると見ての一手なのか。
解説の加藤九段も言っていたが、先手にはやりたい手がたくさんある(▲5七銀や▲3一歩成や▲2一馬など)。収まれば駒得が生きてくる先手。それに対して、後手は何か手を作っていかなければならない。
王手に対する先手の受け方も悩ましいが、「これで先手が悪くなるとは思えない」(青野九段)に同感。
(5月8日午前10時10分記)
2日目午後2時30分に確認した無料ページの局面。

上図より、▲8八玉から▲4七金と名人、苦心の受け。これに対して、△4六飛!から△5七角!飛車を逃げていたのでは、お話にならないから、何か手を作らなければいけないのだが、単に切って△5七角は驚き。この段階で、飛香と銀の交換になっている。これだけ駒得をしていれば、普通は、先手優勢なのだが・・・。

後手の主張は、先手の歩切れと、囲いの固さのみ。先手が悪いはずはない、と思いつつ、応手を考えるが、意外に大変。平凡な▲4七飛△3九角成▲3七桂が第一感(桂は逃げるかどうか微妙)で、凝り形の飛車金を取られている間に攻めたいのだが、手の付け方が難しい。いろいろなところで、▲3二歩が先手のじゃま駒となっている(▲2一馬と取った時、7六の地点に利かない、▲3一飛と打った時、3四の銀取りにならないなど)。

羽生竜王の△4四角からの読みは、これで振り飛車もやれる!との読みだったのだろうか?プロの形勢判断を知りたいところで、4時からのBSが待ち遠しい。「これで、先手が悪いのではやってられない」と言ったところだが、どちらを持ちたいか聞かれたら、後手と言ってしまいそうだ。
(8日午後2時40分記)
2日目、BS放送途中の局面。

上図は、やはり羽生竜王が良いらしい。受けの難しいところだが、名人は、平凡な▲4七飛ではまずいと見て、▲4七金と引いた。そして、△4八角成から飛車角交換になった。しかし、こうなると、先手で△2八飛と打てて、なおさら羽生竜王が良くなった感じだったが、・・・それでも森内名人は、1一の馬を引きつけ、角を打ち、徹底抗戦に出た。

左図はBS解説途中、羽生竜王が△4五金と打ったところで、解説の加藤九段が、唸った一手。ここは、平凡に△3六歩でも△5九銀でも後手の攻めが成立していそうなところだと言う。負けると敗着になるかもしれない一手だったが、手厚い一手となるか、重い一手となるか、との解説。

この後、局面が進み、現在、羽生竜王優勢。
(8日午後5時30分記)
2日目、午後6時、BS放送終了局面。

上図、△4五金は、結局、手厚い一手だったようだ。「一番早い寄せでしたね」(加藤九段)と言っているように、馬の位置をずらし、△4六歩が厳しい攻めだった。

森内名人は、角を見捨てて、▲7五桂を打ち、玉頭に迫ったが、図の△6四歩!が非常に味の良い一手。
この手の前に、加藤九段と鈴木八段で、△7四角を検討していた時は、苦しいながらも、まだ先手望みがあるか、と思っていたが、青野九段が、△6四歩を解説し始めたら、確かに「指す手がない」ことに気づいた。
そして、青野九段の解説通り、羽生竜王が、△6四歩を指す。

BS放送は、ここまでで、夕食休憩に入るそうだが、もう逆転はしないだろう。
今回の終局は、早いと思うが、この後の感想は、明日、棋譜が新聞に出てからにしたい。
(8日午後6時10分記)

夕食休憩直後に、森内名人投了。上図がそのまま投了図になった。

図では、実際、「指す手がない」。
BS解説で青野九段が、解説していた手を記しておこう。
▲7二成桂△同金▲4一飛△6一桂▲6六馬△4八銀不成。これに▲同香は△8六歩が厳しい。銀を取らずに、▲2一飛成の方が良いが、△4九龍▲8四桂に△5七角▲同馬△同銀不成▲7二桂成△同玉。これは明快な後手勝ちである。

上記の解説の後、加藤九段が、若干の修正手順を披露した。
▲7二成桂△同金に▲3一飛がそれ。以下△6一桂▲4一飛成△4三角!▲同馬△同銀▲2一龍△4八銀不成▲8四桂△4九龍▲7二桂成△同玉▲8三銀△同玉▲6一龍。ここで、先手玉が詰む。△7六桂▲9八玉△8八金▲同銀△同桂成▲同玉△7七銀。以下は▲同玉なら△7九龍。▲同桂なら△7九角で詰みとなる。

いずれにしても、△4八銀不成の攻めが間に合ってしまうので、先手には勝ち味がまったくないと言う訳だ。
(5月8日午後8時記)

深夜のダイジェストで、加藤九段が投了図以降の解説を修正していた。
▲7二成桂△同金▲3一飛△6一桂▲4一飛成、ここで△4三角と言っていたが、それは、▲同馬△同銀に▲1八角がある。そこで、▲4一飛成には△5一金。これは取れば△3三角の王手龍。逃げるのでは、馬を取られてしまうという訳だ。

この第3局、封じ手△4四角の是非、それ以降の森内名人の受けに問題がなかったのかどうか、この辺り、また週刊将棋を見て、違っている箇所があったら追記しておきたい。
(5月9日記)
(週刊将棋を見ての追記)

今回は、実際に見ていた時及びBSでの解説と、局後の感想(週刊将棋)に大きな違いはなく、目新しいことはあまり書かれていなかった。

39手目▲1一角成の局面。
『▲1一角成までスラスラ進めたのは自信があるからだろう。香得で馬もおり断然優勢に思える。』

本局のハイライトは、やはり、△4六飛から46手目の△5七角だ。
『△5七角と打たれて森内は長考に沈む。そのうち控室もこの手の広い局面が、攻め合いも受けに回っても容易でないことに気づいたのだった。▲4七飛は、△3九角成で(1)▲3七桂は△3八銀で飛車が死ぬ。以下▲4一飛△4七銀成▲同金△3八馬▲4八金なら△6五馬と活用し後手良し。(2)4一飛△2九馬▲2一飛成△4七馬▲同金△4九飛は離れ駒が多く先手まとめきれない。鈴木八段解説の自陣飛車(▲4七飛△3九角成▲5五金△4三歩▲5九飛)も、はじめは控室で「そこまで苦労しなきゃダメなんですか」と言われていたほどだ。優勢と思われていた局面が難しい。それどころか互角の順も見えない。(中略)羽生のさばきが絶妙だったのだ。駒を捨てながら軽やかにディフェンスをかわし、▲3二歩や▲4七金に疑問手のらく印を押した。』

結局、△4六飛から△5七角で駒損でも後手十分。この変化で、やれると飛び込んだ△4四角からのさばきと読み。羽生竜王の強さばかりが目立った一局となったようだ。
(5月11日記)

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