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名人戦第4局、速報感想

ここでは、2003年第61期名人戦第4局の感想を載せていきます。
棋譜速報は有料なため、この感想は、無料ページの棋譜及び、BS放送のあとからのアップとなります。
BSは、第1日目、午前9:00〜10:00、午後6:00〜6:30の放送、第2日目は、午前9:00〜10:00、午後6:00〜6:55、午後9:35〜9:55、深夜2:30〜2:45の放送予定となっています。

更新の予定は、1日目は、2回(午前10時過ぎ、午後6時30分過ぎ)、2日目は、3〜4回(午前10時過ぎ、午後3時頃(無料ページ更新後)、午後7時過ぎ、午後10時過ぎ)で、それ以降の進行は翌日となります。(2003/05/19AM10:10)


この第4局は、先手羽生竜王、後手森内名人です。

▲7六歩△8四歩の出だしに、なんと羽生竜王は3手目に▲1六歩!これは振り飛車党なら普通の一手だが、先手で飛車を振りますよ、と意志表示した驚きの一手。3手目は、▲2六歩なら角換わり、▲6八銀なら矢倉と、当然こうなると思っていたが。

図は、午前10時、BS放送終了局面。5手目に羽生竜王は▲6六歩と角道を止め、四間飛車にした。7手目、△8五歩と飛車先を伸ばし▲7七角を強要したのも居飛車党の振り飛車に対しては、当然の一手。これを決めないと矢倉に変化される場合もある。森内名人は、端を受け、先手の戦型に応じて作戦を決めると言う指し方に出た。後手番だけにやや急戦はやりづらいように思うが、今後の名人の駒組みに注目したい。
(5月19日午前10時10分記)
1日目終了局面。

後手番だけにやりづらいと思っていた急戦だが、先手の羽生竜王が、▲5八金左から▲4六歩とあくまで居飛穴を警戒したため、△7四歩から△6四銀と急戦策を採用した。
もっとも、最近は、藤井システムの出現で、この急戦も良く見るようになった。ちょっと変わっているのが、森内名人の△4二金寄と寄った手で、この囲いは、「箱入り娘」と呼ばれる。飛車交換して横から攻められた時は固いが、反面▲2六桂などが先手になったり、6二、6三の地点への利きがなくなったりと、一手かけた割りには、損得は微妙だ。

今日の最終手▲9六歩もちょっと変わった手。振り飛車としての普通の手は、▲9八香や▲5六歩で、こちらの方が一般的には一手の価値が高いからだ。羽生竜王らしい柔らかい一手とも言える。
この急戦の攻めそのものは良く見かけるが、それでも△4二金右と寄ったり▲9六歩と突いたりしたため、まったくの同一局はもうないという。
6時からのBS解説は、青野九段で、封じ手予想としていろいろ解説していた。考えられる手は、主に四つ。△7六歩が第一候補で、以下▲同銀△7二飛▲6五歩△7七角成▲同飛△5五銀。△9四歩と端を受ける手が第二候補。以下▲9七香△7六歩▲同銀△7五歩▲6七銀△7三銀が一変化。他の候補としては、△2四歩や単に△7二飛。しかし、どちらもやや損な感じがするとの事だ。
明日は一気に激しくなるか、第二の駒組みが続くことになるのか、名人の封じ手に注目だ。
(19日午後6時40分記)
封じ手は、大方の予想通り△7六歩だった。

左図は午前10時、BS放送終了局面。羽生竜王は、△7二飛に▲8八角と引いた。この手自体は、昔からある手だが、普通は▲6五歩。以下、青野九段の示した手順(定跡)が、(上図から)△7六歩▲同銀△7二飛▲6五歩△7七角成▲同飛△5五銀▲6七銀△7七飛成▲同桂△7六歩▲同銀△7九飛▲7一飛△7七飛成▲6七角。この最後の▲6七角が好手で、△4二金右が入っていない形では振り飛車良し(▲3四角が先手になる)とのこと。

但し実戦は、△4二金右と固めているので、この手順で先手がやれるかどうかは微妙。と言うことで、羽生竜王の考えた手は▲8八角。ここで、後手から攻める手は2通りある。△8六歩▲同歩に△6五銀と出る手と、△7七歩▲同飛△6六角だ。
この2つは、どちらも基本的な定跡だが、BSでは、青野九段と島八段が解説していた。

△8六歩は以下▲同歩△6五銀▲6七銀△7八飛成▲同銀△6六銀▲6七歩△7七歩。△7七歩を打たれると振り飛車大変だが、▲6七歩では他の手もあり、これは難解。また、島八段が、△8六歩▲同歩△6五銀に▲同歩!△8八角成▲同飛△7六飛▲7七銀△7四飛▲7六歩と言う手順も披露。筋は悪いが、振り飛車の実戦的な手順で、振り飛車やれるかもしれない。

△7七歩は、以下▲同飛△6六角▲7五歩△7七角成▲同角△2二銀▲8三角。これは▲5六角成と成れるので振り飛車良いが、この手順では飛車は取らないだろう。もっとも、▲7五歩では▲6七銀と飛車を無理矢理取らせる手もあり、これはこれで難しそうだ。
解説を聞いていると、なかなか居飛車も大変そうに見える。森内名人がどのように手を作っていくか、勝負所に入った。
(5月20日午前10時10分記)
上図より名人は、△3三角!BS解説の青野九段が、先手から動く手がないなら、あるかもしれないと言っていた手。
しかし、急戦を仕掛けていながら途中で待つ手は、大方良くないと考えられるのだが・・・。
これに対して、羽生竜王は、▲6八金!から▲8五銀!どちらも玉から離れていく異筋の手だ。戦いながら金銀を玉につけていく手は良い手としたものだが、この場合は逆。これでやれると見るには、深い読みが必要になる。

そして、図の▲7七金!この局面、次の△7五歩が厳しいので何かしなければならないのだが、それにしても▲7七金とはごつい一手。重くなり過ぎて、▲7四歩の狙いがあるとは言え、飛車を引かれるくらいで、とても自分は自信がないと思っていたが・・・。

森内名人は、△7六飛から△8七銀と飛車を切って攻め立てた。
左図は、午後6時の夕食休憩までの局面。BSでは、午後6時55分まで放送された。

飛車を切った後、森内名人は、△8七歩を利かし飛車を打ち込んだが、今▲5八飛と飛車を合わせられ、受け切りを狙われているところ。

BSでは、青野九段の他、谷川王位などが出ていたが、解説を聞く限りでは、振り飛車良さそうだ。
実際、△5八同龍では、▲同金の後、後続手が見えない。△6六龍の方が普通に見えるが、以下解説でやったように、▲同角△同角▲7七銀△3三角▲6六歩で、やはり後手から攻めるのは大変そう。

「先手の受けの網を破れれば、後手勝ちになる」(青野九段)が、容易ではない。負ければ、△7六飛切りがどうだったのかと言うことになりそうだ。
先手優勢に見える。
(20日午後7時10分記)

なんと、この一局、千日手になった。図がその局面。△6四銀▲8四飛△7五銀▲7四飛の繰り返し。

後手が千日手に逃れたという感じではない。羽生竜王が、それほど優勢とは見ていなかった、ということだろうか?
しかし、先手を放棄してまで、千日手にするような場面ではないように見えるが・・・。


(20日午後9時記)
20日午後9時、指し直し局が始まった。左図は、午後9時55分、BS放送終了局面。

図を見れば分かるように、この指し直し局は、横歩取り8五飛になっている。当然、先手が森内名人で、後手が羽生竜王

BS解説では、千日手局の解説が大半を占め、この局面の解説は、ほとんどなかった。△5二金は珍しいな、と思っていたら、すでに、△5二金▲6六角の形は、過去に前例はないらしい。
この後の展開としては、青野九段の解説によれば、▲7五歩が自然で、以下△8四飛と引く進行になるとのこと。
もちろん、優劣は、まだ先。持ち時間が約4時間とのことなので、次回深夜2時30分からの放送時には、結果が出ていると思われる。
(20日午後10時記)

この対局は、82手で羽生竜王の勝ちになった。以下はBS解説から。

4六にいた銀が、4五、5四と手順に進み、先手も相当やれるのでは、とのプロの感想だったようだが、左図の▲7九玉が悪かったらしい。
この手は、△8六歩▲同歩△同角の王手を防いだものだが、羽生竜王の次の△5六歩▲同歩△3三桂が三手一組の好手で、後手がポイントを稼いだ。

図では、▲7三歩成△同銀▲7五歩と打って、7七の地点を精算するように持って行ければ先手も相当だったらしい。
出し遅れの▲7三歩成△同銀▲7五歩には、△同飛と取られ、▲同角なら△5六歩の利かしが生き、△同角が4八の金に当たると言う訳だ。

左図が投了図。図以下は、即詰み。

手順は、▲9八玉△8七金▲同銀△同馬▲同玉△8六金▲7八玉△8七銀▲7九玉△5七角成まで。


週刊将棋を見て、また何か特筆すべき事があったら追記しておきたいと思う。

(5月21日記)
(週刊将棋を見て)

千日手局と、指し直し局について、BS解説と大きな違いはなかった。

指し直し局、2つの疑問手があったと言う。一つは、BSでも解説されていた▲7九玉。もう一つは、57手目の▲3八金で、これが敗着になったらしい。ここでは、▲7七歩と打ち、△5三歩なら▲7六歩△8五飛▲6五銀△同飛▲7七桂。こう進めば、カベ形も解消でき、十分戦えたということだ。

ちょっと驚いた情報があったので、書いておきたい。
左図は、千日手局の途中図で、この急戦について、週刊将棋には、以下のことが書かれていた。
『本譜の右6四銀の急戦は居飛車最有力の順とされている。ことに△7五歩(左図)の局面は19局指され、居飛車の16勝3敗という驚異的な高勝率。振り飛車側は久保八段のみ3戦3勝で、ほかの振り飛車党は全滅させられている。
△4二金寄までの局面は「箱入り娘」と呼ばれる囲いで、特に勝率が高く過去3戦全勝。なかでも所司六段が多用し、著作にも詳しく触れられている。▲9六歩が羽生の新手。従来の▲5六歩は△5五歩と仕掛けられ振り飛車損と言う。』

(5月25日記)

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