2004年4月、第62期名人戦第2局の速報感想です。
名人戦の棋譜速報は有料なため、この感想は、BS放送のあとからのアップとなります。
BSは、第1日目、午前9:00〜10:00、午後5:00〜6:00の放送、第2日目は、午前9:00〜10:00、午後4:00〜6:00、午後10:45〜11:00の放送予定となっています。
したがって、更新の予定は、1日目は、2回(午前10時、午後6時過ぎ)、2日目は、3回(午前10時、午後6時、午後11時過ぎ)となります。
(2004/04/26AM10:10)
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この第2局は、先手森内竜王、後手羽生名人、です。 先手、森内竜王の▲7六歩、羽生名人の△3四歩から▲2六歩△8四歩と進み、横歩取りの戦型が決定した。 戦型が決まれば、進むのは早い。左は、10時のBS放送終了までの局面だが、すでに29手も進んでいる。 途中、△3三角では、角を交換して角を打ったり、横歩を取り返したりと様々な手があるが、「現在、(プロ間では)後手としては、△3三角が最も有力で、それ以外(△3三桂をのぞく)の手は、先手指しやすいとの認識がある」(解説の加藤九段)とのことだ。 先手も、作戦の分岐点としては、▲8七歩を打たなかったり、▲5八玉では、▲6八玉と上がったりする手もあるところだが、局面は、定跡最前線へと進んでいった。どちらが、どこで手を変えるか、新手を出すか、興味のあるところだ。 (4月26日午前10時20分記) |
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なんともすごいことになっている。と言うのも、左図が、1日目の終了図。もう終盤である。しかも、この局面、過去に実戦例があると言う。 1日目から、異常に早い進行で、最新形の定跡通りに進んだ。そして、封じ手は、59手目の王手のかかった局面。 解説は、加藤九段だったが、後半、この局面とまったく同じ対局をした阿部七段が来て、この局面を解説した。図から、先手の阿部七段は、▲6九玉と引き、△7六桂に▲2八歩△同飛成▲2一飛△3一歩▲7三馬!△同銀▲3二桂成△5二玉▲3八金と進みこの将棋は先手が負けたという。しかし、その後の検討では、最後の▲3八金で、▲4八金なら先手有望ではないか、とのことだったらしい。 なお、途中、馬を切ったのは、桂を入手することで、▲3二桂成に△同玉とは取れなくしたという意味である(△同玉は▲2二飛成以下桂を持っていると詰み)。 |
| さて、前に指されたこの実戦譜とその後の検討結果については、両者とも知っているのだろうが、それにしても、ここまで来て優劣が結論できないと言うのも不思議だ。「両者ともに、自分の方が良い」(加藤九段)と思っているからここまで実戦譜を踏襲した訳で、この将棋の勝敗は、研究手一発で決まってしまう可能性もある。 なお、封じ手は、▲6九玉が、もっとも自然な一手だが、加藤九段が検討していた▲2八歩も解説を聞く限りは、なかなか有力そうだ(但し、森内竜王の封じ手が早かったので、▲6九玉だと思う)。 この将棋の結末はまったく予想がつかない。しかし、過去の実戦例とその検討結果のまま、羽生名人が何の勝負手、研究手もなく敗れるようなことがあれば、名人防衛は絶望的になりそうだ。 (4月26日午後6時20分記) |
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2日目が始まった。封じ手は、大方の予想通り▲6九玉。対して、羽生名人は、すぐに△7六桂と打つ。これもこれしかないところ。 そして、次の手。やっぱり▲2八歩かなと思っていたところに、BS放送10分前に、森内竜王が、▲7四歩!と指した。 「え?そんな手、間に合うの?」と言う風に最初は感じたが、△8八桂成には▲同金と桂を取った手が(後手玉が)、詰めろになる(▲3二桂成△同玉▲2四桂△4一玉▲4三香不成△4二歩▲3二金△5二玉▲4二香成△同金▲同金△同玉▲3二飛△4三玉▲4四金△同玉▲3四飛成△5五玉▲5六金まで)。そこで、後手がどう指すかだが、BSでちょっとやっていた変化は、△8八桂成▲同金△6八銀▲7八玉△7七銀成の手順。これも相当難解だ。 |
| この局面での疑問点、興味のある点は、二つある。 一つは、阿部七段の実戦、研究通りの▲2八歩から▲4八金では先手悪いのか(後手に何か研究手があったのか)と言うこと。そしてもう一つは、この▲7四歩を羽生名人は、研究、読みの中に入れていたかどうか、と言う点である。 森内竜王の研究、読みを上回り、名人の意地を見せられるかどうか。いよいよ終盤の勝負ところだ。 ※ところで、BS解説で加藤九段がやっていた詰みの手順(△8八桂成▲同金△同龍に▲3二桂成△同玉の変化)は私も見ていてすぐ詰んだのだが、「▲3二桂成りに逃げても簡単なのかな?」と感じ、念のためソフトに入れて解かせて見た。 すると、ソフトが出した答えは、29手詰。しかも、7三の地点で、馬を精算し、最終玉の位置は、△8七玉!他の詰め方があるかまでは検討していないが、これが最短手順だとすれば、何ともすごい詰め手順。この上に、先ほどの△6八銀から△7七銀成や他の様々な変化まである(桂が入った時、この手順でしか詰まないとなると、絶妙の詰めろ逃れの詰めろとかが出てくる可能性もある)というこの終盤は、見応えのある、超難解な戦いとなりそうだ。 (4月27日午前10時30分記) |
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午後4時、BS放送開始の局面。上図から羽生名人が動かなくなった。そして、次の一手、△8八桂成を指したのは、4時間近い長考の末だ。 この長考を考えれば、▲7四歩が見落としとまでは言えないまでも、軽視していたことは明らかなようだ。あるいは、(▲7四歩の)対策にミスがあったか。 そして、△6八銀から△7七銀成として、△5五馬と引く。この手順は、最初に考えそうな手順なので、これで後手が良ければ、▲7四歩は何だったのか?ということになる。 ▲7四歩の研究手一発で、名人が沈むのか、研究を上回る読みを見せるか、この勝敗は、対戦成績以上に大きな意味を持ちそうだ。 (4月27日午後5時記) |
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午後6時、BS放送終了局面。 結局、上図より、羽生名人は、△6五桂から△9一馬を抜きにかかった。しかし、この手順は、すでにBS放送で解説していた手順で、これでは勝てないという。 左図以下、「▲2四桂△4一玉▲4三香不成△5二玉▲4二金△6一玉▲5一金に△同銀なら▲7二銀から打って詰み、△7二玉なら詰まないが、▲8四金と打って後手玉は必死、先手玉には詰みはない」(BS解説)とのことだ。 但し、これも念のため、ソフトに聞いたら、左図より31手の詰みがあった。△7二玉から▲6一銀△8一玉に▲8五飛△8二歩▲7二銀不成!(以下手順を見る限り難解そう)。 森内竜王は、慎重に夕食休憩を取った。大きな2連勝まであと少し。 (4月27日午後6時20分記) |
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91手で羽生名人投了、森内竜王の2連勝となった。左図が投了図。 上図より一直線の詰みとなった。△6五桂から△9一馬は形作り。 投了図以下は、△6四玉なら▲7五飛成△5四玉▲6五龍△4三玉▲5五桂△4四玉▲3四金△4五玉▲5四角!△同歩▲5六龍まで。また、逆王手狙いの△7三香合いや6五へ利かせる△7三桂合いは、先に▲7五金と打たれてしまい、それ以外の合駒は、▲9二角で簡単だ。 本譜は、森内竜王の研究手▲7四歩一発で決まった感じがある。但し、BS解説の加藤九段によると、△8八桂成で、△2三銀なら羽生名人の方にも有望な変化があったそうで、▲7四歩で勝ちかどうかは分からないと言う。それにしても、60手まで実戦例を踏襲し、その上、新手に対し、何の反撃も加えられなかった印象のする今回の対局、名人防衛危うしを感じさせる。 (4月27日午後11時記) |
| (週刊将棋を見て) 実況を見て、▲7四歩が指された時に、私は、次のように2つの疑問点を書いている。 「一つは、阿部七段の実戦、研究通りの▲2八歩から▲4八金では先手悪いのか(後手に何か研究手があったのか)と言うこと。そしてもう一つは、この▲7四歩を羽生名人は、研究、読みの中に入れていたかどうか、と言う点である。」 この2つの疑問について、両方とも、週刊将棋には載っていた。 まず、(▲7四歩ではなく)▲2八歩以下の手順であるが、▲2八歩△同飛成▲2一飛△3一歩▲7三馬△同銀▲3二桂成△5二玉、そして▲4八金が研究手順だった。ところが、 『羽生は、△3一歩で△3一香を用意していた。これなら▲3二桂成に△同玉が利く。』ということだったらしい。『本譜▲7四歩は公式戦初登場。(中略)森内の研究が上回っていた。』 もう一つの疑問、▲7四歩を羽生名人は、読みに入れていたかどうかであるが、これは予想通りだった。それは、 『2時間に及ぶ感想戦では羽生は新手に驚き、その素晴らしさに素直に感嘆していた。』という。すでにネット上で言われていたことだが、(▲7四歩は)『一部のプロ間では先手勝ちと結論づけられている。』訳で、これを知らなかった名人が知っていた挑戦者にハマった形となってしまった。 また、△8八桂成で、△2三銀はどうだったか、であるが、『△2三銀には▲2一飛△3一歩▲4三香不成△5二玉に▲2八歩が絶妙の一着。』で後手が勝てないらしい。 結局、本局は、実況で見ていた通り、▲7四歩の研究手一発で終わった訳だ。それでも、▲7四歩が、誰も知らない森内竜王の考え出した秘手だったら、この一局の価値は高くなるのだが・・・。単に▲7四歩を知っていたか知らなかったかで勝敗がついてしまったのでは、名人戦の舞台としては、なんとも残念で、消化不良の一局となった。 (5月2日記) |
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