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名人戦第5局、速報感想

2004年、第62期名人戦第5局の速報感想です。

名人戦の棋譜速報は有料なため、この感想は、BS放送のあとからのアップとなります。
BSは、第1日目、午前9:00〜10:00、午後5:00〜6:00の放送、第2日目は、午前9:00〜10:00、午後4:00〜6:00、午後11:35〜11:50の放送予定となっています。
今回、2日間とも夕方から所用で出かける為、更新予定は、1日目は、2回(午前10時、午後9時過ぎ)、2日目は、2回程度(午前10時、午後6時過ぎ)となり、結果は5日、土曜の昼頃となります。
(2004/06/03AM10:10)

この第5局は、先手羽生名人、後手森内竜王、です。

先手、羽生名人の▲7六歩に森内竜王は△8四歩、▲2六歩に△3二金と角換わり模様に指し手が進行。そして、10手目△7七角成となったところで、はっきりと、もっともオーソドックスな角換わりとなった。

左図は、午前10時BS放送終了局面。10時直前に、羽生名人が▲9六歩と突いたところだが、一瞬、「あれ?こんなに早く端歩を突いたっけ?」と思ったが、それは角換わりをしない人の感想。解説の時間がなかったため、「東大将棋定跡道場」で調べたところ、しっかりと「早めの端歩で棒銀にくるのか打診するのが最近増えている手順。」と書いてあった。

先後ともにまだ棒銀に出来る余地もあるが、最近のプロ将棋ではあまり見ないので、相腰掛け銀に進む可能性が高そうだ。
(6月3日午前10時20分記)
上図から、相腰掛け銀に進み、しかも先後同型。結局、「平成に入ってからだけでも182局もある」(BS解説の佐藤棋聖)という形になった。

そして、定跡形だけに手の進むのも早い。左図が1日目終了局面だが、すでに戦いに入っている。もっとも、手が早いのには訳があり、この局面は、今年3月に行われた「王将戦第6局」とまったく同じである。但し、その時は、先手を森内竜王が持ち、勝っている。

この局面からの進行を、BSでは、佐藤棋聖と屋敷九段が動かしていたが、(王将戦第6局と)あまり変化のしようがなく局面が進んでいった。ただ、王将戦も、終盤▲8四角以降でさえ難しい箇所があったとのことで、難解だったらしい。

王将戦で、負けた側を持っている森内竜王には、当然用意の一手があるはずで、終盤まで踏襲すると先手が危ないという感じがするがどうだろう?
明日は、どちらが、どこで手を変えるか。そこからのねじり合いが本当の勝負になる。
(6月3日午後8時30記)
2日目が始まった。封じ手は、大方の予想通り△2三同金。「△6五桂もあるかもしれないが、こんな所に歩を残しておいては戦えない」(佐藤棋聖)とのことで、歩を払うのは、当然の一手か。

そして、その後も王将戦の進行通り、▲2五歩△同歩▲7五歩△8八歩と進む。この△8八歩に▲同玉は、今度は玉が戦場に近いため、△6五桂と跳ね、仮に▲2四歩△同金▲6五銀△同銀▲3六桂でも、△7六歩が厳しい。(BS解説)

どうもそう考えると、やはり▲8八同銀△6五銀▲7四歩△同銀までは王将戦通りに進みそうだ。昨日の佐藤棋聖−屋敷九段の解説でも手を変えるのに苦慮していたが、ますますどちらがどこで手を変えるのか興味がわいてきた。
さすがに午後4時のBSが始まる時には、まったく未知の局面で、難解な終盤戦になっているとは思う。
(6月4日午前10時20分記)
午後5時半の局面。

羽生名人が手を変え、▲6六角の所で、▲2二歩を決めてから打った。

午後4時からのBSでは、佐藤棋聖と屋敷九段がかなり詳しい検討をされていた模様。


※申し訳ありませんが、ちょっと見ている時間がありません。この後の展開については、後日、BS解説、週刊将棋を見て、それらを踏まえて感想を書き込みます。m(__)m
(6月4日午後5時30分記)
なんともものすごい熱戦になった。こういう戦いの時には、実況を見ていたいものだが、4日は3時過ぎから夜までほとんど見ることができず、森内竜王の投了後、柿木上で簡単に動かしたに過ぎない。
改めて、4日午後4時から6時のBS放送(解説:佐藤棋聖、屋敷九段)と5日の囲碁将棋ジャーナル(解説:谷川二冠)を見、さらに週刊将棋の解説も読んだ上で、一昨日の熱戦を振り返ってみたい。
まず、王将戦と別れを告げた羽生の▲2二歩だが、この手を見たときは、とても自分には良い手には見えなかった。と言うのも、相手の陣形を崩す時には、金を上ずらせるのが”将棋の常識”で、たとえば、▲2四歩△同金▲2二歩△同玉▲6六角なら分かる(但し実際は、▲2二歩に△3三桂と跳ねられる)。
また、「金は引く手に好手有り」の格言があるように、金は下にいるほど、受けに利いていることが多いものなのである。だから、わざわざ一歩を使ってまで金を引かせる手などは、普通考えないものだが、こういう手を読みの中に入れる、というのはさすがトッププロ、と同時に持時間の長いタイトル戦ならではと言った感じがする。もっとも、『控室では△3三桂を予想して』いたらしいし、実際には、それでも『攻めきるのは大変』(週刊将棋)とされていたらしい。

また、△3五銀もすごい手だ。▲2三歩の利かしに△1二金と頑張ると言う訳だが、普通これほど陣形がバラバラでは大抵勝てないものである。しかし、実際は難解だった。
この局面(実戦ではまだ▲2三歩を打っていない)から後の展開を、4日4時からのBSで、佐藤棋聖と屋敷九段が解説していた。(以下はこの二人の解説手順)

ここでの候補手はたくさんある。まず、▲4五桂。この手に△2四銀なら▲3八飛△3五歩▲3四歩△4三金が変化の一つで、後手も相当恐いが先手も攻めきるのは大変。

▲2五桂とこちらに跳ねるのもある。次に▲2二歩成△同金▲同角成△同玉▲1三桂成があるので、△2七歩と叩くが、▲4八飛でどうか。しかし、この後、△2四銀と引かれて簡単ではない。

上の二つの変化の途中で出てきた▲1五歩を先に突くのはどうか。これには△6四角が厳しい。▲5五銀に△8六角。

また単に▲4五銀と言う手も検討された。△6四角なら構わず▲3四銀△3七角成▲2五飛。但し、角を成らず、じっと△2六歩もあり先手も忙しい。

さらに▲5五角も検討された(△4六角▲同角△同歩に再度▲5五角)。

結局、どの変化も難解だが、先手がはっきり良くなる訳でもない。というより、後手の陣形は、バラバラで、何かありそうなのだが、うまい手順が見つからないと言った感じだ。

この二人の解説では、かなりの時間が割かれ、当然もっと深く解説されていたが、結局森内竜王も、そこまで読んでの△2二金から△3五銀であるので、そんなに簡単につぶれてしまう訳はない。

そこで、羽生名人は、検討にまったく出てこなかった▲2五飛と単に一歩を取って、手を渡す作戦に出た。△6二飛には▲6七金右。以下後手は△3八角から馬を作る。

▲6八飛と飛車を追われて右辺での攻めが見込めなくなって、手を付けたのが、▲7五歩から▲6四歩。なるほど、うまく手をつなぐものだと思う。

この後、△6四同銀▲7四歩△6五桂に、▲7三歩成△同銀▲6五銀△同飛▲5六金。この手順がほぼ必然なら▲5六金と出られた形は飛車も使えそうで、先手もやれそうだ。

さらに、△6二飛の後、(柿木で手順を並べている時)▲4四桂と打つのかと思っていたら、なんと▲3三桂打!こう打つものですか。
この辺りの解説が、あまりBSでも週刊将棋でもなかったのはちょっと残念。いろいろありそうなところだが。

週刊将棋によると、『柔軟で頑強な受けに「切れたと思った」という羽生だが、▲7二銀は佐藤康、屋敷の解説コンビをうならせた。(中略)図で△6四飛は▲6三成桂△同金▲同銀成△同飛▲3三金と強引に絡む狙い。』

この▲7二銀と打ったところでは、「二人とも残りの持時間が10分を切っている」(BS、谷川二冠)とのことだが、ここからさらなる激闘が繰り広げられた。

この後、△6七歩▲同飛に△7五桂と打ったが、▲同角で羽生名人にチャンスが巡ってきた。『△7五桂では△6七馬▲6一銀不成△5九飛▲6九歩△5八馬▲5二銀成△7六桂の攻め合いでも森内に分があった。』(週刊将棋)とのことだ。
△6七飛成▲同金に△同馬は▲6一飛の王手馬取りなので、一旦△2二玉と形を直す。しかし、ここで手を戻さざるを得ないのなら先手が残しているようにも見える。

左図は、森内竜王が△7六歩と垂らしたところ。ここで、羽生名人の指した次の手、▲5三桂成は『疑問手だった。「これで負けにした」と羽生。本譜△5九飛▲8八玉に△6四銀!がピッタリで忙しい。』(週刊将棋)

なお、▲7六同銀と歩を払うのは、「もう一度△7七歩と垂らされる」(BS、谷川二冠)。

ここでは、遅いようでも、▲6三成桂で先手が勝っていると言う(BS、谷川二冠、週刊将棋)。「▲6三成桂は▲5二成桂と金を取っても詰めろでないので、指しにくい手ではあるのですが、先手玉も駒を渡さずに攻めるのは難しい」(谷川二冠)。
実際、手順を並べている時、▲7六銀とここで手を戻してさらに△8七歩を打たれた時は、これで勝っているの?と感じたものだ。そして実際は、やはり先手がまずかったらしい。

左図から『△6三金が敗着。』(週刊将棋)
▲3一銀を決めてからの▲6三飛成が、詰めろになっている(▲2三龍△同玉▲2二金△3三玉▲3二金打△4三玉▲5五桂△5三玉▲4二銀不成以下)。

ここでは△4三角と打つ手があった(BS、谷川二冠)。以下、▲6二飛成なら△5二歩とし▲5三成桂なら△8九飛成▲同玉△8七角成で後手の勝ち。また、▲5三成桂の代わりに▲7六歩と受けても△7五桂がある。
左図が、投了図。『最後はきわどく詰まない。よろめきながらも、羽生がゴールに飛び込んだ。』(週刊将棋)とあるように、終盤は、どちらにも勝ちがある二転三転の戦いだった。

しかし、終局は、11時18分という異例の遅さ。1分将棋が延々と続いたということなので、多少の疑問手もまた仕方ないところ。
第4局に続き、難解なねじり合いになった本局で、名人戦がますます面白くなってきた。

そして、次局の展望だが、『持時間が長く、かつ先手番の時の森内は絶対的な強さを誇っている。(中略)難攻不落の「先手森内城」に羽生はどう立ち向かうのか。』(週刊将棋)とあるように、まだまだ羽生名人の正念場が続く。

(6月6日記)

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