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名人戦第6局、速報感想

2004年、第62期名人戦第6局の速報感想です。

名人戦の棋譜速報は有料なため、この感想は、BS放送のあとからのアップとなります。
BSは、第1日目、午前9:00〜10:00、午後5:00〜6:00の放送、第2日目は、午前9:00〜10:00、午後4:00〜6:00、午後10:30〜10:45の放送予定となっています。
したがって更新予定は、1日目は、2回(午前10時、午後6時過ぎ)、2日目は、3回程度(午前10時、午後6時、11時過ぎ)となります。
(2004/06/10AM10:10)

この第6局は、先手森内竜王、後手羽生名人、です。

先手森内竜王の▲7六歩に羽生名人は△8四歩、これに竜王が▲6八銀として双方この一戦は矢倉で戦いましょうとの意志が一致した。

左図は、午前10時BS放送終了局面。一手ずつ小考してはいるが、矢倉に決まればある程度は進行が早い。
今回のBS、メインの解説は島八段だが、10時前加藤一二三九段が登場して矢倉についての解説を行っていた。△5四歩の所では、△6四歩から右四間にした場合の解説や、早めに(左図より前に)▲7七銀と上がった時に、△6四歩から△6三銀△5二飛と中飛車に回る戦型についての解説などである。
今後の進行については、「後手の金が△5二金と上がると穏やかになり、この金が動かなければ、△6四歩から△6三銀△5二飛と言った進行や△5三銀右から△5五歩▲同歩△同角と言った進行になる可能性もある。」(BS、加藤九段)
今回は、じっくりした戦いになりそうな気がするが、さて。
(6月10日午前10時20分記)
上図より、ガップリ四つの相矢倉戦になった。左図が、1日目終了局面。

BSでは、島八段が、一手一手にかなり親切な解説を加えていた。
「25手目の▲3七銀では、▲6八角と言う森下システムや▲4六角、▲3五歩など手が広い局面。33手目の▲1六歩に△1四歩と受けるのは、▲1七香▲1八飛から▲2六銀と出られる恐れがある。同じ意味で、36手目の△9四歩に▲9六歩と受けるのも、△7三銀から棒銀がある。40手目の△2四銀は、▲3五歩の防ぎ。」などなど。

さて、△5二飛と回った今日の終了図だが、この局面は、10年前に羽生名人が後手を持って指している局面だという。その時の先手は、谷川二冠で、以下▲2五歩△同銀から一旦は先手が良くなり、その後逆転して勝っているらしい。
▲2五歩に対しては、△同桂と取った方が良さそうで、以下▲2八銀△3五歩▲2六歩△3六歩▲2五歩△同銀と言う進行が考えられ、「これなら後手も結構手厚い」(鈴木八段)とのことだ。
封じ手は、島八段−鈴木八段の解説では、▲4六歩と合わせる手と▲2五歩しか出なかった。確かに、次に△5五歩と後手から動かれては大変そうなので(単に▲5八飛と受けるのでは、あまりに利かされ)、どこからか動くしかなさそうに見える。

島八段が、「封じ手はかなり長考するのでは」と言っていたのだが、意外にも5時半になるのと同時に森内竜王は、手を封じた。確かに仕掛けるなら、もっと考えそうな気もするが、これも自身の課題局面へ進んでいるからなのだろうか。対する羽生名人は、ここまでかなり時間を使ったようだ。明日は長いねじり合いが続きそうなだけに、ちょっと気になる時間の使い方である。

(6月10日午後6時20分記)※明日は、午前中見られなくなった為、最初の更新は、午後4時半頃です。
午後4時、BS放送開始局面。

2日目の封じ手は、▲4六歩だった。以下、△同歩▲同角に△同角!はちょっと意外。△5五歩かとも思い、「それなら全然別の将棋」(島八段)ということになるが、交換して△4七歩でやれるとの読みだろうか?

△4七歩に実戦は▲2八飛と逃げたが、BSの解説では、▲同飛もあったのでは、と話し、以下△3八角▲4八飛△2九角成▲4五歩△5三銀▲3五歩が一変化。確かにこれも難しそうだ。
しかし、本譜△4八角に▲5七角!は読みの入った一手。△3九角成が部分的に受からないので▲3七桂が一目だが、馬を作られ攻めがやや細い。自玉が薄くなっても、△4七の歩を払い、攻めに厚みをつける▲5七角から▲5七同金は、後からじわっと利いてきそうな一手だ。
左図が、午後5時BS放送中の局面。
先手の▲1八飛の後の△8二飛!にも唸った。すぐに△4八歩成と成ってしまいそうだが、後手飛車の位置が悪く、▲4五歩△5三銀▲2五歩くらいでも先手が良さそうだ。

また、▲8三角と打つ筋も残っていたのだが、それらを防いで、じっと△8二飛。一手指した方がよく見える見応えのある中盤戦になった。

しかし、△3五歩が入ったところでは、「やや先手の方を持ちたい」(BS、鈴木八段)とのことで、僅かに森内竜王持ちか。
羽生名人が、△4三歩と受けたのも、BSの島−鈴木解説に出てきてなかった、もっとも渋い受け。ここを凌いで、最終局に行けるかどうか。終盤の勝負所に入った。
(6月11日午後5時15分記)
午後6時BS放送終了、夕食休憩に入った局面。

上記△4三歩には、当然の▲3三歩成。これに「△同銀だけは▲2五桂と跳ねられてしまうので、プロの感覚にはない。」(BS、森九段)と言って解説していた最中に羽生名人は△同銀と取った。つまり、この後平凡に△3四銀と逃げるのは▲3五銀△同銀▲3四桂の痛打があるからだ。その後、▲2五桂には、「桂が欲しかったのかな」と言いつつ、△2四歩を示唆したが、これには、「▲3三桂成△同金▲6五桂くらいでも先手が良い。」(島八段)

△7五歩▲同歩△8六歩▲同歩△8五歩の攻め合いも、▲3四歩あるいは▲3三桂成から攻め合われて足りそうにない。
森内竜王優勢。羽生名人が勝つには、誰も読んでいないような絶妙の凌ぎを期待するしかなくなってしまった。
(6月11日午後6時20分記)
羽生名人投了。左図が投了図。
上図から、じっと△8二飛と先手の攻め筋を消しつつ玉頭に狙いを定めるも、ここに至っては、形作り的な意味合いであったか。森内竜王は、▲3五銀からきれいに寄せた。

投了図以下、△3一同玉は、▲3三桂成で仮に△3二香と受けても、▲4二銀△同飛▲2二金△4一玉▲4二成桂△同玉▲3一飛(BS、島八段)と進んで一手一手。
10時半からのBSによると、羽生名人の感想に、駒がぶつかって(△4六同角)からはどうも良いところがなかったと言った感じらしい。58手目は△5五歩にすべきだったと言うことか。

本局、印象に残ったのは、森内竜王の▲5七角から▲5七同金と金が玉から離れていく手順を採用したこと。実況中は、後手もまだまだやれそうに思えたが、▲4七金と歩を払って以降、BS解説などを聞いていても、後手有利になる順が容易に見つからなかった感じを受ける。
また、週刊将棋を見て、気になった箇所があったら追記しておきたい。
(6月11日午後11時記)
(週刊将棋を見て)
今回は、あまり追加する事柄がない。つまり、ほとんど実況で見ていた時の(BS解説などの)感想通りで、角交換してからは、後手の良くなる順がなかったと言うこと。

本局の内容とは直接関係ないが、データとして、次のようなことが載っていた。
『▲4八飛△3三桂の局面は昭和の時代から指されている形。データベースでは類型(9筋の突き合いがない、先手が1七香型など)が21局で、先手の5勝16敗。相矢倉の全体の先手番勝率は5割4分ほど。その中で後手勝率が7割5分を超えるとは驚異的な数字だ。ただ、鈴木八段は、「先手が後手の陣形に対する距離感がつかめていないだけではないか。分かれは特に後手有利には見えない」と分析する。』さらに、『本局を見る限り今後は指されなくなると思います。矢倉の歴史に残る一局となるでしょう。』とも言っている。

投了図からの解説が、BSとは違った変化が載っていたので、こちらに書いておきたい。
『投了図から△3二玉は▲3三桂成△同玉▲4二銀打△同飛▲3四歩で一手一手の寄り。また△3一同玉も▲3三桂成△4一玉▲4四歩△同歩▲8三銀△6二飛▲4三歩で攻めが切れない。』

(6月13日記)

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