ここでは、2003年、第44期王位戦第2局の速報感想を書いていきます。棋譜の速報は、トップページからリンク先へ。
このページの更新予定は、1日目(7月29日)は、2回(正午、午後6時過ぎ)、2日目(30日)は、随時(但し数回)載せて行くつもりです。(2003/07/29PM12:00)
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この第2局は、先手谷川王位、後手羽生四冠、である。 先手谷川王位の初手▲2六歩に対し、羽生四冠は、△8四歩と飛車先の歩を伸ばした。これで、この第2局の戦型は、ほぼ相掛かりと決定。 左図は、正午までの局面。谷川王位は、▲3八銀から▲2七銀と棒銀模様。それに対する△5四歩が変わった一手。普通は△3三角か△6二銀。 相掛かりは、私自身全く指さない上、解説書もほとんどなく、今回の序中盤は、より所が、将棋ソフトの「居飛車道場の定跡講座」しかないと思っていたのだが、その膨大な定跡講座にも、△5四歩は載っていなかった。 そして、▲3六銀△5五歩となり、早くも未知の局面へと入った。これからは、一手一手、手探りの状態から、僅かな有利を得るための細かい折衝が続くだろう。 |
| (棒銀についての話−初心者編) ▲3八銀から▲3七銀、あるいは▲4八銀から▲3六歩▲3七銀と飛車先に銀を進めて行くのを棒銀と言う。受け方をちょっと間違えただけで相手をつぶせる為、初級者同士では、得意にしている人も多いと思う。 振り飛車に対する棒銀、あるいは矢倉、角換わりとなっても棒銀は有効だ。そして、ほとんどの場合、棒銀は、▲2七銀(▲3七銀)から▲2六銀と進める。本譜のように、▲3六銀と進めるのは、相掛かりのみの特殊な動かし方と思っていい。▲3七歩の上に腰掛ける形では、▲2九の桂が使いづらく、さらに▲3六歩から▲3五歩の攻めもないため、相掛かり以外では、筋の悪い一手となる。 相掛かりの場合は、▲2五銀を狙ってはいるが、▲4五銀、あるいは▲4六歩から▲4七銀と引き戻すこともあるため▲3六銀の形を定形としている。 一般的な棒銀の場合、銀がさばければ、棒銀側優勢、銀が取り残されれば劣勢と考えて良い。この相掛かり戦でも、今後は▲3六銀の動向に注目していきたい。 (7月29日午後12時10分記) |
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1日目終了局面。 午後は数手しか進まなかった。それだけ手が広く難しい戦いということだろう。双方玉を寄った後、谷川王位は、▲7七銀。▲6六銀と言う手を見て、5五の位を攻撃目標にすると同時に△5六歩からの角のさばきを封じる手だ(と思う)。 それに対する△4四角は驚き。▲6六銀が見えているだけに、前戦に出るのはかえって当たりがきつくなるから。しかし、△2二角のままでは発展性がない(3一の銀、2一の桂が使いづらい)と考えたからだろう。対する▲4六歩は3六銀の動きを柔軟にした含みのある一手だと思う。 封じ手は、(第一感は)△3三桂。しかし、手の広い局面で、他に△2二銀(この瞬間壁銀)、△4二銀(2筋が薄くなる)、△7四歩(瞬間隙が出来る)などが考えられるし、他にもまだありそう。 |
おそらく先手は、▲6六銀から押さえ込む感じになると思われるので、明日は、先手の2枚の銀がどう動くか、それに対して、後手がいかにうまく反発していくかと言う感じで、戦況が動いていくのだろう。 先手が主導権を持っているように見えるので、個人的には先手を持ちたいが、もちろん局面は互角(先手玉は薄いので、手がつくと早い)。明日も第一局と同じような熱戦を期待したい。 (29日午後6時30分記) |
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2日目午前10時40分の局面。 封じ手は、△3五歩だった。▲4七銀の好形を与え、しかもすぐに▲3六歩と反発する手が見えるだけにあまり良い手とは思えないが、次の△2二角!を見て(少しだけ)納得。 昨日は、羽生四冠の△4四角の狙いが分からなかったのだが(3一銀や2一桂の活用だと思った)、この△4四角△3五歩△2二角という手順には驚きだ。手損をしても、△3五歩を突き、飛車を横に使う構想だったらしい(それからなら△7四歩から△7三桂が可能)。 しかし、それまで先手が悠長に待っている訳もなく、谷川王位は▲6六銀と待望の銀出。これに△5五飛と好位置に飛車を回りはしたが、▲3六歩と手順に反発して先手好調と思う。 ▲3五歩△同飛に▲3六歩△3四飛▲5五銀と平凡に進めても、先手が僅かに指せそうと思っていたが、前進流の王位は、▲2四歩!積極的にポイントを奪いに行った。 (7月30日午前11時記) |
| お昼(12:30)まで △2四同歩▲同飛△7四歩▲3六歩△1五飛!▲2六飛まで。 △1五飛がひねった受けだ。後手の羽生四冠が、玉の固さを頼りにいかに駒をさばいて行くかが焦点だが、ちょっと私には、後手の指し方が分からない。依然、先手好調に見える。 (30日午後12時40分記) |
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午後3時頃の局面。 谷川王位は、▲3五歩と味良く突き、7筋の取り込みも放置して、一気に銀を進めていった。 この技をかける瞬間が、一番危ない。 (申し訳ないが)後手を持っているのが、羽生四冠でなければ、これは決まったろう、と感じてしまうところだが・・・。 一般的に、この将棋のように、一方が押さえ込みを計り、一方が軽くさばく将棋では、どちらが勝っても、終盤、大差になりやすい。さて、この二人の場合はどうだろう? ここ数手で形勢がはっきりしそうな、勝負所だ。 (30日午後3時10分記) |
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午後4時頃の局面。 上図より、谷川王位が、▲2三銀不成と一直線に踏み込んだ。そして、△3五角に▲3二銀成から▲2三金! やや重いような気もしたので、単に▲3六飛かと思ったのだが、金を手放しても、▲2二歩があるので良し、との読みだろう(2四の飛回りも消している)。 先手優勢・・・と思うのだが、ここで羽生四冠が長考している。まだまだ難しい勝負手が残っているのだろうか? (30日午後4時20分記) |
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午後5時20分頃の局面。 やはり、羽生四冠は、簡単には、土俵を割らなかった。△8六歩と絶妙のタイミングで味を付けて(▲9七角を消して)、△2二銀!の勝負手。 対する▲6五銀!△7七歩成!とギリギリの攻防が続く。そして、極めつけは、両取りを放置して、▲5四銀! 一手も予想が当たらない(^^; 今△2九飛成に▲5三銀成と角を取ったところだが、すぐに▲3五飛とは走れない(△4九龍から詰み)。2二の金にヒモをつけてから飛車をぶつけることになるのだろうが、駒得の分、まだ先手が残しているようにも見える。・・・とは言え、龍を引かれると手厚くなるので、先手も寄せ切れるのかどうかきわどい。 (30日午後5時30分記) |
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午後6時30分頃の局面。 ものすごい攻防戦になった。上図より▲3一角を決めて、▲6五桂は気持ちよいが、△4二銀打と受けられて、自分では、寄せ切れそうもない。 角取り(△3一銀)から△4七角を見せられているので、駒得でも、先手が急がされている状態だからだ。しかし、▲2一金の後の、▲2七歩から▲4七歩が落ち着いた好手。 そして、▲5六銀!ハデな手が続く。依然、先手が残っているように見えるが、ピッタリ後ろに付かれているので、僅かなミスで逆転されそうだ。 (30日午後6時40分記) |
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羽生四冠投了。左図が投了図。 図から、先手玉は詰まず、後手玉には、▲3五龍(3五の銀を受けても▲4六角)があり、受けがない。 本局は、32手目からの△4四角△3五歩△2二角の趣向がどうだったのだろう?△5五歩が負担になり、43手目▲2四歩と合わせてからは、終始先手ペースで進んだように感じた。 それでも羽生四冠の終盤力はすごかった。常に先手が残しているように見えながらも、一手後手に指されるたびに、分からなくなった。きっと、先手が間違えていれば、その前の手が羽生マジックになったのだろうが、さすがに谷川王位は間違えなかった。 非常に細い一本の勝利への道を、着実に進んでいった王位の完勝譜だったと言えるだろう。 (7月30日午後7時20分記) |
| (週刊将棋を見て) 今回は、週刊将棋を見ても、実況で見ていた時に感じたものとほぼ同じような内容しか書いてなかった。羽生四冠の新工夫である5筋の位取りが、結局負担になってあまり良くなく、谷川王位の作戦勝ち。そして、そこから自然に指しても優勢だったが、王位らしく一気に踏み込み、ゴールに飛び込むと言う流れだ。但し、終盤、羽生四冠の粘りで、実戦は、(級位者の)見た目以上に差は微差。実際、私には寄せ方が分からなかったし、谷川王位でなかったら、逆転されていた、と思える程、「ギリギリ」の終盤戦だったということだ。 (週刊将棋からポイントを抜粋しておきたい) 『本譜▲2四歩と合わせる筋を羽生は軽視していたという。(中略)▲3六歩が当然ながら好手。そこで羽生は「△2三歩と打てると思っていた」という。▲2八飛は△3四飛で互角だが、強く▲3五歩と飛車交換する順がある。以下△2四歩▲8三飛△7三桂に▲2八歩が好手で「こう店じまいされてはダメ」と羽生。(中略)じっくりと組んでも十分というところを谷川は追撃の手を緩めない。一直線の棒銀が好着想。「銀がどんどん出られて受からない。見た目以上にひどいんです」と羽生はうめいた。』 そして終盤については、 『2二歩を銀で食いちぎって△2四飛と回ったのは羽生らしい粘り。両取りでげたを預ける。「この順を軽視していた」と言う谷川だが、好手順で切り返した。▲5四銀が「両取り逃げるべからず」を地でいく返し技。(中略)△4二銀打が腰の入った受けで、角を持てば△4七角も生じる。大盤解説場の先崎八段も「羽生さんが悪いながらも食らいついている。もうひと波乱あるかもしれません」。(中略)▲2七歩から龍を目標にしたのがうまい寄せ。谷川は勝ちを確信したという。(中略)手の広い局面で常に激しい手を選んだ谷川流爆発の一局だった。』 (8月3日記) |
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