ここでは、2003年、第44期王位戦第4局の速報感想を書いていきます。棋譜の速報は、トップページからリンク先へ。
このページの更新予定は、1日目(8月26日)は、2回(正午、午後6時過ぎ)、2日目(27日)は、随時(但し数回)載せて行くつもりです。(2003/08/26AM11:30)
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この第4局は、先手谷川王位、後手羽生四冠、である。 先手谷川王位の3手目▲2六歩に対し、羽生四冠は△5四歩とゴキゲン中飛車模様。これは前局と同じ出だした。そして、さらに谷川王位が、▲4八銀から▲6八玉と第3局と同じように指すと、羽生四冠は△5二飛と中飛車に構えて戦型を決めた。 これで穏やかな居飛車対振り飛車という構図が出来た。 左図は、11時50分の局面。 ゴキゲン中飛車に対し、居飛車が、2筋の歩を伸ばさず、△5五歩の位取りを許すと、流れはやや穏やかになる。アマチュアでも乱戦の嫌いな居飛車党はこう指すことが多い。 |
| さて、5五の位を振り飛車に取らせたこの局面は、どちらが良いのだろうか? 実は、将棋センターでも最近は中飛車を良く見るようになった。中飛車側は、特に初段くらいだと、5五の位を取り、3一の銀が5四まで進むと、もう勝ったような気になっている人もいる。しかもそうなると、実際に級位者同士では、中飛車側が勝ちやすいのも事実だ。 ところが有段者になるとこれが簡単ではない。振り飛車党とすれば、5五の天王山を制して、不満のある局面ではないのだが、居飛車党にしてみても、じっくり金銀を盛り上げていくことで、5五の位を負担にすることができると考えており、当然のことながら、まだ今の人間の力では、どちらが良いとは言えないようだ。 (以下は独り言として聞き流しておいて下さい) しかし、将棋の神様がいるなら、もうどちらかが優勢になっていてもおかしくない。かつて、将棋に必勝法があるとすれば、それはひねり飛車だ、と言われたことがある。それは、将棋の駒の効率を極限まで高めていると考えられたからだと思う。 今、私は、将棋に必勝法があるとすれば、それはゴキゲン中飛車ではないかと思う。もし、先手で▲1六歩が入っていて、居飛車からの急戦をことごとく受け止めて、かつ、今回のような5筋の位を取った形が負担にならず、作戦勝ちに結びつくとすれば・・・。 10年後、いや5年先のゴキゲン中飛車にどのような評価が下されているか興味がある。 (8月26日午後12時10分記) |
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1日目終了局面。 谷川王位は、飛車先を決めて、▲3六銀!と出た。最近よく、ここへ出る歩越し銀を見るような気がするが、将棋の筋としては決して良いわけではない。 2九の桂が使えなくなるし、▲3六歩から▲3五歩と言う攻めもなくなるからである。 しかし、スピード感はある。後手の金銀が立ち後れており、角頭が薄いので、▲4五銀と出れば、大いなる脅威だ。 この▲3六銀そのものは、ゴキゲン中飛車対策の一つとしてあるという。「島ノート」には、森下流ゴキゲン破りとして載っている。 ▲3六銀に、△5六歩として決戦するのかと思っていたら、羽生四冠は、△3二金! ▲4五銀から▲3四銀なら、呼び込んでから一気にさばこうとする手だ。 |
さて、今日も午後3時から大盤解説会のライブ中継があった。最初の頃は、全くつながらなかったが、4時過ぎにようやく見ることができた。そこでは、青野九段の解説があり、(つながりさえすれば)テレビを見ているのと大差なく、非常にすばらしい企画だと思う。 ただ、明日は、まったくつながらない可能性が大きい。 その青野九段の解説によれば、▲4五銀から一直線に攻める変化は、なかなか先手が良くならなかった。一例として、▲4五銀△3五歩▲3四銀△2二角▲2四歩△同歩▲同飛に△5六歩。この後、角交換しても、角交換を防いでも、戦っている場所が、居飛車の玉に近いだけに先手容易でない、と言った感じだ。また、▲3四銀△2二角▲2三銀不成△同金▲2四歩と言う過激な順も紹介しており、これはこれでかなり難しそうではあった(しかし先に銀損する上、やはり居飛車の玉が薄いので先手が大変そうに見える)。 谷川王位は、長考して▲4五銀と出たが、さらに長考して封じ手を迎えている、と言うことは、やはり▲3四銀とすぐに出るのは、先手が大変なのかもしれない。 一旦、自陣を整備して(▲6六歩とか▲7七銀、▲4七金など)、それから攻める順もありそうだが、▲4五銀とのバランスに欠ける感じがしなくもない。(封じ手予想としては)待つ手がはっきりしないなら、やはり谷川王位ゆえに▲3四銀と出るような気もするが・・・。 (青野九段の解説を聞いた後だけに)後手、羽生四冠の方が、模様は良さそうに見えてしまう。 (8月26日午後6時記) |
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2日目が始まった。左図は、午前11時の局面。封じ手は、やはり踏み込みの▲3四銀。 これに対し、羽生四冠は、△4四角。この手は、青野九段の解説でもちらっとで出たが、「▲4五歩を突かせて△2二角と引いた方が得かどうかと言うこと」だと思っていたら、なんと羽生四冠は△7一角!と引いた。 つまり、最初から(▲3四銀に)5一角と引くのは、▲5六歩と突かれる。そして△同歩は▲1一角成で△5六の拠点も部分的には大きいが、打ち込む駒が入らないので香損の方がより大きく先手優勢、かと言って△5四飛は▲4五銀で完封だ。この▲4五銀を防ぐための△4四角から△7一角だった訳だ。 指されて見れば、納得のいく手順で、後で棋譜だけを見れば何の疑問もなく通り過ぎてしまいそうなところ。しかし、これで形勢が良くなったかと言うと、これが疑問だ。 左図は、一応後手が銀得しているものの、▲2三のと金も大きい。先手にはやりたい手がいっぱいあるのに、後手からのさばき方が良く分からない。 先手の谷川王位が指しやすそうに見える。 (8月27日午前11時10分記) |
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お昼休憩(12時30分)までの局面。 上図より▲2四と△3二飛に、△3六歩からのさばきを封じて▲4七金と上がった。後手は、銀得だが、歩切れで、さばきの突破口がつかめない。 △5三金から△4四歩となんとか一歩を手に入れて、ほぐしに来たが、今、先手が▲3四とと決戦に動いたところ。 今後は、後手が、あまり大きな代償なしに飛車をさばくか、あるいはどこからか手を作れるかどうかが焦点になる。やはり玉の固さでは、後手の方が固い。どこか一点でも手を作れれば、あっと言う間に勝負形に持っていくことができると思うが・・・。しかし、それは、容易ではないように見える。 先手優勢、と思う。 ※実況画面につながらない事が多いため、今後の更新は遅れるかもしれません。 (8月27日午後1時10分記) |
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2日目午後2時30分の局面。 上図より、△3四同飛▲2一飛成△3二銀に▲1一龍! 普通は、銀桂交換でも、じっと龍を自陣に引いておけば、手厚くて居飛車十分かと思ったのだが、谷川王位の辞書には、「自陣に龍を引きつけて」などと言う言葉はないらしい。 しかし、△2四飛と回れて、振り飛車党とすれば、「勝負形になった」と一安心するところ。もっとも、実際には、美濃囲いも5三の金が上ずり、端も突いてないため、左から攻められた時は狭く、通常の形より弱い。攻め合って、いけると見ての▲1一龍なのだろう。 今、味良く▲5四歩と突きだしたところ。△同金は、▲6三香が厳しく、逃げるのは、5三への打ち込みや、どこかで▲4四角と出る手が残る。 後手にも楽しみ(△2九飛成)が出来たものの、依然、先手優勢と思う。 (27日午後2時40分記) |
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2日目午後3時30分の局面。 ライブ中継で、青野九段の解説が始まった。その解説の感じでは、33手目▲2三歩成と成った局面は、先手がうまくやった局面だが、▲2四と△3二飛の交換が余分で、この交換を入れずに、単に▲4七金なら谷川王位優勢だったらしい。その理由は簡単に言えば、△5三金の一手が入ったため、後手の飛車が楽になったと言うこと。 そして、▲1一龍△2四飛となり、かなり後手が盛り返した。上図より、52手目△2一歩と受けたところでは、△2九飛成と成る手はどうだったかと言う検討が、行われていたが、これはこれで難解だったようだ。 今、▲3九金と打って、飛車成りを防いだところ。受け将棋でなくても、高段者なら一目だろう。但し、3筋に歩が利く時は、△3八歩が手筋になるので注意。 なお、上の図で、「先手優勢と思う」と書いたが、(解説によると)実際には、形勢不明の難解な将棋が続いているらしい。 (27日午後3時40分記) |
| 4時20分現在、ライブでは、森下八段が解説中。 67手▲2四歩の局面、形勢判断を聞かれて、「やや先手持ち」とのこと。但し、実戦的には、「先手玉も薄く大変」。 どちらが勝つか分からない難解な勝負が続いていると言えよう。 (午後4時25分記) |
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午後4時40分の局面。 ねじりあいになった。上の局面から△2二銀と打って(▲1三龍の守り)、△4五歩を取る。△4五歩では、△1一香と龍を殺す手や△3八香と攻める手などあって、変化は多いが、ふわっとした羽生四冠らしい一手。 ▲2三歩から▲2四歩と龍を活用し、壁角になっていた▲8八角も▲3三角成と使えた先手に対し、後手も、遊んでいた△3二の銀が△5四まで進出。△4七にいた金も取って、龍を作る。本当にどちらが良いのか分からないようなねじり合いだ。 この局面、一応先手の桂得+と金得。反面、右下にある金桂香が使えてない形で玉は薄い。さすがにこの二人の勝負は熱戦になる。 ライブ中継(森下八段)では、「実戦的には互角だが、正解を指していけば、先手が勝てる将棋」と言ったニュアンスの解説がなされていた。 先手がこのまま勝ちきって4連勝の防衛となるか、羽生四冠が持ちこたえるか、最後の勝負所に入った。 (27日午後5時記) |
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午後5時50分の局面。 現在、青野九段解説中。「▲2一龍と入るのでは、先手つらいのでは」とのこと。 しかし、後手もどうするのかと思っていたら、△6五角成!はさすがプロの手。次の△5五銀を見て、味の良い一手だ。 今、森下八段が解説に戻ってきた。 形勢は逆転したのだろうか?流れは羽生四冠になった感じだ。 (27日午後6時記) |
| 6時15分現在106手まで、ライブでは、森下八段が解説中。「かなり後手の勝ちやすい展開」とのこと。 (午後6時20分記) 7時現在129手まで。引き続き森下八段解説中。羽生四冠優勢。まもなく終局。 (午後7時記) 7時20分現在144手まで。最終盤、▲7七玉!の受け。すごい最終盤になった。解説を聞いてなければ、どちらが勝っているのか分からないような熱戦! (午後7時25分記) |
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| 谷川王位投了。これで3勝1敗になった。最終盤、簡単に終わると思い、図面を載せないでいたら、ものすごい展開になった。しばらく経ってからまた載せます。 (午後8時記) |
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上図、△6五角成から△6三銀△6一金と味良く自陣を引き締め、これは羽生四冠、1勝を返したと思っていたら、そんなに簡単ではなかった。 112手目△4八金と打ったところでは、明快な一手勝ちかと思っていたが・・・。▲5三とと香を取って▲8六香が気が付かない粘り。 これに対し、△5九金は、指された時は、うまい!と思ったが、と金でないだけに、銀引きから早逃げの粘りがあった。 そしてこの後の難解な応酬の後、左図の▲7七玉!先手玉に受けがなく、後手玉は詰まないので、はっきりした後手勝ちと思っていた瞬間だった。 しかし、△7九金がまた詰めろで、やはり後手勝ちかと思っていたところ、8二で精算して▲5六馬が詰めろ逃れの詰めろ。一旦の△7四歩に▲同馬で、やはり「詰めろ逃れの詰めろ」が逃れていない。 |
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ライブ中継で、森下八段が、150手目△6八龍で詰み(観客からの指摘)と解説していたが、これは詰まない(柿木で検証済)。△6八龍▲5六玉△5五銀▲同玉に△5七龍なら▲4四玉、△5四金なら▲6六玉と戻る手がある(戻る手はうっかりしやすいのこれを見落としたのでは、と思う)。 詰みがないなら、再逆転で、谷川王位の勝ちかと思っていたら、△7八龍から△6五銀で精算して、△7四銀という詰めろ逃れの詰めろがあった。 そして、この手の発見で、ようやく後手勝ちかと思ったら、▲8三香成! 最後の最後まで、いたるところにとん死筋のある大熱戦だった。 左図が投了図。また、来週には週刊将棋を見て、書き加えておきたい。 (8月27日午後8時30分記) |
| (週刊将棋を見て) 今回の第4局も、週刊将棋には3面に渡って解説されていた。 流れとしては、実況で見ていた時とほぼ同じような感じだ。つまり、序盤、谷川王位が▲2三歩成と成ったところでは優勢になった。しかし、その後の構想に疑問があり、さらに見落とし(これがあったらしい)も手伝い羽生四冠が優勢に。ところが、羽生四冠の緩手から、谷川王位が猛追し、最終盤は、どちらかが勝っているのか分からないような熱戦になった、と言う訳だ。 ポイントは3点。 まず、第一は、▲2三歩成の後の構想。ここは、ライブで青野九段も言っていたが、34手目▲2四と△3二飛の交換をしないで、▲4七金が勝ったと言う。この上には、その後の手順を書いておかなかったので、週刊将棋から抜粋しておきたい。 『単に▲4七金と上がるのが勝った。後手は本譜のように△5三金と上がるぐらいだが、▲5五歩△4四歩▲2二歩△4五歩▲2一歩成△2七歩▲4八飛(▲2七同飛は△3八銀)△4二銀に▲2二と引で先手ペースだった。』とある。 第二のポイントは54手目△6一金と成香を取ったところ。ここで、すぐに▲6三桂と言う手があったらしい(羽生四冠の指摘)。さらに進んで84手目の△4五角。これを谷川王位は見落としていたと言う。これは次に△6六角と言う必殺手がある(この手はライブでも解説されていた)。 これで、羽生四冠が優勢になったものの、108手目の△9四歩がライブでも解説されていて、味の良さそうな手なのに、これが緩手だったと言うから驚きだ。正解は、△9四歩の代わりに△7一金(谷川王位の指摘)。 この第二のポイントについては、ホントは全部抜粋したいくらい面白い解説が多かった。この部分については、是非週刊将棋を買って読んでもらいたいと思う。 第三のポイントは、最終盤、147手目▲5六馬と引いた後の局面。控室では、「逆転した」と言われていたらしい。しかし、きっちり羽生四冠が寄せきったのは、ご存じの通りだ。 さて、この部分については、週刊将棋には、特に目新しい事実はなかったのだが、この最終盤、調べれば調べる程、難解で面白い筋がたくさんある。おそらく、この最終盤については、月刊誌でもそれほど詳しく解説されることはないと思うのだが、この面白い応酬(水面下の変化)が、ほとんどの人の目に触れないのはとっーても惜しい。そこで、一分将棋の中で、いかにトッププロが多くの手を読み、その中で、正解手を見つけるのか、そのすごさを詳細に(ミニ感想に)、書いてみたいと思う(9月3日ミニ感想アップ済み)。 (8月31日記) |
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