ここでは、2003年、第44期王位戦第5局の速報感想を書いていきます。棋譜の速報は、トップページからリンク先へ。
このページの更新予定は、1日目(9月8日)は、2回(正午、午後7時過ぎ)、2日目(9日)は、随時(但し数回)載せて行くつもりです。(2003/09/08正午)
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この第5局は、先手羽生四冠、後手谷川王位、である。 左図は、12時10分の実況にある局面。 先手羽生四冠の3手目▲2六歩に対し、谷川王位は△3二金、そして、▲7八金に△1四歩!と突いた。めったに見ない出だしだ。 これは、どういう意味かと言うと、あくまで推測だが・・・。 週刊将棋に連載している「いま、将棋界の話題」の中で、鈴木宏彦氏が、「後手番1手損戦法は流行するか」と題して、次のような文を載せている。 『8月11日に行われた竜王戦決勝トーナメントの谷川王位対山崎五段戦。先週号でも報道されたように、この大一番で後手の山崎がまたも1手損戦法を用いたのである。しかも、その手順の異様さはこれまで以上。初手から▲7六歩△3四歩▲2六歩△1四歩▲2五歩△8八角成▲同銀がその出だし。異常に早い△1四歩プラス後手の1手損。こんなんで本当に将棋になるのかと思うが、この将棋はなんと、後手の山崎が作戦勝ちしたというのである。』 |
| 結局、竜王戦では、この後、谷川王位は、良く分からないまま、仕掛け、形勢を損ねたらしい。この文を見れば、その問いかけを今、羽生四冠にしている、と解釈できるかもしれない。 それに対して、羽生四冠は、▲2五歩を伸ばさずに、▲6六歩と角道を止めた。角換わり1手損戦法を避け、無理矢理矢倉、もしくは、手将棋への誘導だ。単に1手損戦法への対策がなかった消極的な手順か、あるいは、後手番で指した△1四歩を甘くしようとの狙いで、これが最善と思って指した▲6六歩か、今のところは分からない。 しかし、この対局で、△1四歩がどういう役割を果たしていくか、どちらに有利に働くかは興味あるところ。2日に渡る戦いが始まった。 (9月8日午後12時20分記) |
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1日目終了局面。 上図から、谷川王位は、5筋を突き、早めに角を引いて、8筋の交換を急いだ。対して、羽生四冠は、▲5九角から▲7七桂と角交換を避けて、左図のような囲いにする。これを菊水矢倉と言い、玉は通常7九から8九へ入る。 今、△6四角とのぞいた手に対し、羽生四冠は、2時間以上に及ぶ長考の末、封じたようだ。 さて、この局面をどう見るか?△1四歩は不急の一手となったが、飛車先を切った手も大きいと思う。むろん、形勢そのものは互角。以前、「(飛車先を切らせるなんて)菊水矢倉は、明らかに損だろう」と言って、ずいぶん検討したこともあったが、当然、(どちらかが)良しになる変化など出なかった。ただ、菊水矢倉は、横からの攻めに弱く、どちらかと言うと守勢になりやすい。先手の羽生四冠とすれば、△1四歩をとがめたと言った感じではなく、主導権を後手に握られ、やや不満ではないか、そんな感じのする1日目になった。 (8日午後6時40分記) |
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2日目午前11時10分の局面。 封じ手は、▲1八飛だった。矢倉では良く見る手で、利かされと言う感じではない。いずれ、角を追った時には、いつでも振り戻せるからだ。 これに対する谷川王位の△4四銀!には驚き。矢倉を自ら崩す手であるし、本来なら6二の銀を持って来たいところだからだ。しかし、△5三銀だと、▲6五歩から▲6六銀▲7五歩と角頭をいじめられることを心配したのかも。△4四銀なら一手早い。次に△3五歩とされると3筋方面を制圧されるので、▲4六銀と受けたが、これだけ利かして△5三銀上から△4二銀と守りを固めた。 羽生四冠も戦いに備えて玉を固めた後、一躍▲3七桂から▲4五桂!これは、こちらから動くと言うよりは、△5五歩からの後手の攻めを牽制した手だ。依然、主導権は後手にあると思うが、先手の玉が深く、むしろ後手の玉が戦いの近くにいるだけに開戦の方法が難しい。どこからどのように手を付けるのか興味深く追っていきたい。 (9月9日午前11時30分記) |
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2日目午後2時40分の局面。 上図から△5一飛と引いたのは、△5五歩から攻めたときの▲5三歩という叩きを未然に消した一手。▲4八角は、▲6五歩から▲6六角の好位置に角を据えるための一手。 これに対し、谷川王位は、いきなり△5五歩と仕掛けた。待つなら、△9五歩とかは、損のない一手なのでもう少し様子を見るかと思ったのだが(△2二玉と入るのは、かえって角筋など戦場に近づくので危険)。 しかし、仕掛けのあるところでは、積極的に仕掛けるのが谷川流。これは、採算ありの仕掛けだと思う。今、羽生四冠が、▲6五歩を決めてから▲5五同銀と取ったところ。この瞬間は、先手の飛角の位置が悪く(△2七銀などがある)、かなり気持ち悪い。羽生四冠が、ここをどう凌ぐのか見どころだ。個人的には後手を持ちたい。 (9日午後2時50分記) |
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午後4時10分の局面。 5五の銀は、飛車で取った(角もありそうに見えるが)。羽生四冠は、▲8五桂を利かせて▲5六銀と頑張る。 そして、△5一飛に▲5三歩。全ての持ち駒を使って、受けに専念するが、どうも一手ずつ遅い感じがする。 △4四銀!は手厚い。△5四銀から△4四歩を狙うのかと思ったが、9五角を追われた後、▲6六角などで暴れられることを嫌ったものか。しかし、これで、▲4五の桂がタダで取られることはなくなった。今度は、先ほど跳ねた▲8五桂だ。今、△6二角と引き、△8四歩を見せたところ。 桂を取られている間に、働きのない飛角に活を入れることができるかどうか。依然、微差ながら後手がリードを保っている感じがするが、どこか一点でも手を作れれば、▲4五桂と▲5三歩が大きな意味をもってくる。 (9日午後4時20分記) |
| ちょっと訂正。 まだ、終盤の入り口で、東大将棋6もそれほど得意な局面ではないが(ソフトが指すタイトル戦最終盤)、試しに、上図の局面で指して見た。今(上図の局面)、東大6は、後手有利だが、後手を東大に持たせて指しているうちに、互角から先手優勢になった。反対に先手を持たせると、後手有利から後手優勢に。しかし、後手を持ってみて感じたのは、仮に桂得しても、思っていたより難しかった。駒得なので、後手良しかと思っていたが、▲4五桂と▲5三歩の働きも良く、見た目以上に難しい形勢かもしれない。 (9日午後4時40分記) |
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午後5時30分の局面。 ▲6四歩△7二金に▲2五歩!指されてみれば、なるほどと言う手だ。この局面、先手は5四に香か桂を打ちたい。羽生四冠は、無理矢理1筋から動いていった。 △8四歩から△8五歩の手はなかなか入らないが、これを見せられているので、先手が忙しいと言う訳だ。 ▲1五同角に一本△1七歩!は谷川王位らしい一手。普通は受けている時には(先手を取る場合を除き)、一歩も渡したくないものだが、飛車を八段目からそらしておくことで、将来の攻めを見たもの。 今、△1四歩と催促されたところ。単に引くのではつらそうだが、切るのも、攻めきれるかどうか微妙なところ。難しい戦いが続く。 (9日午後5時40分記) |
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午後6時10分の局面。 角を切って、▲5二歩成!から▲5四歩!うまい攻めで、さすがに簡単には切れない。しかし、△6三玉から△5四玉も駒落ち上手のような指し方。駒落ちなら、はっきり上手ペースだ。 そして、羽生四冠は、▲8四香と打つ。その局面、一目遅そうなので、後手優勢と書こうと思っていたのだが、実際に読むと意外に難しい。△7三桂▲8二馬△3九角に▲8三香成。次の▲7三成香が早く、むしろ先手持ち。思っているより難しい局面なのかと見ていたら、谷川王位は、△9三桂!と反対に跳ねた。 これはさっきの手順で桂を取られるのを防いだ妙手。そして、今▲6六桂を防いで、△4五銀と根元の桂を食いちぎった。これで、後手玉が広くなり、簡単には寄らないように見える。後手優勢か。 (9日午後6時20分記) |
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午後6時50分の局面。 谷川王位は、△6六桂で金を一枚はがして、△8六歩と玉頭に味を付けた。この形の急所だ(それと△6九銀など)。 羽生四冠も▲8四角から角を切って、▲6二銀とギリギリで嫌みをつけておく。あまり駒を渡すと▲4六桂から詰みますよ、と言っている訳だが、「両取り逃げるべからず」と△8七歩成と成り込んだところ。 谷川王位には、もう寄せが見えているのでは、と思う。今までのような波乱があるかどうか。 王位防衛まで、あと少し。 (9日午後6時55分記) |
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126手で、谷川王位の勝ち。左図が投了図。 上図から谷川王位は、きっちり寄せた。先手もあまり粘れる形ではなかったのだろう。羽生四冠にしては、ちょっとあっさりした感じがしなくもないが。 全体的な流れとしては、36手目の△4四銀から谷川王位が攻勢、羽生四冠の攻めを余して、最後は玉頭から寄せきった完勝譜、と言った感じに見えたが、実際は複雑な水面下の変化もたくさんあったのだと思う。来週には、週刊将棋を見て、また違っているところがあったら、書き加えておきたい。 (9月9日午後7時30分記) |
| (週刊将棋を見て) 今回も3ページに渡って詳細に書かれているが・・・形勢の動きを簡単に説明するのが、難しい、不思議な将棋だったようだ。 全体的な流れとしては、まず谷川王位の作戦勝ち。ところが、46手目△5二飛からの構想があまり良くなく、難しい形勢に、そして、▲1五歩からの攻めが成立(但し、▲4二角成はまずい)。後手優位に思えた終盤戦も実際は、先手ペースで、最後に▲5一銀不成の敗着が出て終局となった。と言うことらしい。 まず、ポイントの一つ目は、序盤。1日目で、すでに先手が指しにくいと言う。但し、45手目の▲3七桂に対して、△5二飛の構想が良くなったらしい。ここでは、いきなり△3五歩と突いて後手優勢だったという。 二つ目のポイントは終盤。 67手目の▲6四歩に対しては、△同歩の方が良かったらしい。と言うのも、71手目の▲1五歩が成立してしまったからだ。但し、77手目▲4二角成と切り込んでいったのがまずく(正着は▲4八角)、84手目△5四玉となって、対局者も(控室も)、後手有利と考えていた・・・が。 実際の終盤は先手ペースだったと言う。 敗着は、117手目の▲5一銀不成。以下週刊将棋からの抜粋。 『ここは▲5一銀成が正着だった。△8八と▲同玉△5九角(△8七歩以下の詰めろ)には▲5二飛△5三銀▲6六桂△6五玉に▲5七桂がピッタリ。(中略)以下△7六玉に▲7七歩△7五玉▲7六銀と先手玉の詰めろを消しながら迫り、後手勝てない。(以下略)』 ちょっと分かりづらい説明になってしまったと思うが、実は週刊将棋を読んでも分かりづらかった(詳細な手順は、是非実際に読んで下さい)。▲4二角成と切り込んでいったのがまずいとあるのに、なぜ先手ペースなの?と言った感じだが、対局中は(ほとんどの人が)、片方が優勢と思っていたのに、検討して見ると難しかったと言うことは良くあること。週刊将棋にも、こう書いてある。 『終始後手ペースと思われていた形勢も、実際は先手にいくつかチャンスがあった。といっても2時間掛けた感想戦でようやく発見したものである。羽生が勝ちを逃したというよりは、谷川の粘り強い指し回しが実を結んだ結果だった。』 (9月14日記) 「ミニ感想9月分」に終盤の感想、変化を書いてみました。 |
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