このページは、2004年、第45期王位戦第2局の速報感想です。(実況ページ−王位戦第2局)
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この第2局は、先手が谷川王位で後手が羽生王座。 左図は1日目午後3時の局面。 出だしは、▲7六歩△8四歩に▲5六歩という谷川王位のゴキゲン中飛車風だった。そして、△3四歩に▲5五歩からはっきりと中飛車を明示。図のように進んでいる。 一見すると、△7四歩を突いていなかったり、△3三銀と角道に銀が上がったりしていて妙な形だが、これは最新の定跡形。ここ2〜3年でも、何局も現れていると思う。 |
| 私自身は振り飛車党でも、ゴキゲン中飛車はほとんど指さない。棋風的には、振り飛車も指す”居飛車党の振り飛車”と言った感じの戦法だ。ただ、▲5五の位を取れ、▲5六銀の好形に出来るなら、この戦法も指してみたい感じもする。 とはいえ、形勢の結論はもちろんまだ出ていない。東大将棋定跡道場完結編を見てみると、今回の戦型では参考になる部分が多い。 完結編では、ゴキゲン中飛車側が後手なので、▲3八銀の一手が入っていないが、それ以外は、まったく同じ局面が解説されている。それによると、△7四銀から△6五銀と攻勢に出る指し方と△1四歩と様子を見る指し方の二通りがある。 ・・・と書いているうちに、「最新の盤面」では、羽生王座が△7四銀と上がった。これに対しては、▲7八金と守る受け方と▲5九角と一旦当たりを避ける指し方がある。ただ、面白いのは、この後の結論では、いずれも居飛車良し。 ちょっと長くなるが、たとえば、一つの変化に△7四銀▲5九角△6五銀▲7五歩△4二銀▲4六銀△5四歩▲同歩△9九角成▲7七角△同馬▲同桂△5六香▲5三歩成△5八香成▲4二成香△同金寄▲5八金左△7九飛。ここまでで居飛車良し。 しかし、これはゴキゲン中飛車が後手の場合で、▲3八銀の一手が入っていない。これが入っていれば、この変化は、振り飛車良しとなるはず。 という訳で、これから難しい中盤戦に突入する。 (7月27日午後3時20分記) |
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1日目終了局面。羽生王座は、一直線に右銀を繰り出して、角頭に圧力を加えていった。 羽生王座の△7四銀に谷川王位は▲5六銀。定跡道場には載っていない手だ。定跡道場では、▲4六に銀が出て、すぐに▲5四歩と突ける形を見ている訳だが、▲5六銀ではさばくのに、この銀を動かす必要がある。反面、△6五への銀の進出を牽制し、▲6七の地点を守っているという利点もあり、どちらが良いかは微妙か。 ところで、△3三銀と角道をさえぎっておいて△7四銀と出るこの戦法の評価はどうなのだろう?もちろん、現時点で、プロが指し、研究でも結論が出ていない訳だから戦法そのものは、”互角”なのだろうが・・・。 |
| どうもこの形そのものは、初心者には薦められない。それは将棋の棋理に反しているからである。将棋は、終盤に入るまでは、駒の効率を最大限に発揮させるように駒組みを進めなければならないのであり、特に大駒の活用は大切だ。ところが、△8五銀と出た図を見てもらえば分かるように、2二の角は動けるところが一つしかなく、8二の飛車は、利きが4場所しかない。飛車を活用するためには、8四の歩を突いていかなければならないのに、その歩は銀がじゃまをして突けない。 先手の陣形を見せずに、後手の陣形だけを見せたら、10年前なら、誰が見ても、「級位者の将棋」と言うのではなかろうか。駒の効率が悪すぎるのである。 しかし、これで実際の形勢が互角なのだから将棋は難しい。△3三銀は、相手のさばきを封じる狙いを持ち、場合によっては、△4四銀から5五の位を奪回する狙いもある。右銀の動きも、狙いは角頭であり、攻めそのものは分かりやすい。 結局、駒損をせず、駒を働かせることを最大限に考えなければならないが、それも相手次第、相手の陣形を見て、それに合わせて駒組みを進めなければならない、ということになるのだろう。 さて、今日の封じ手局面。後手の角は、銀が動けば一手で使えるとはいえ、飛車は容易に使えるようにはならない。8七に入った銀が今後どのような働きをするかが鍵だが、この局面、どちらを持つかと言われたら、やはり振り飛車である。 個人的には、今回羽生王座が勝って1勝1敗になった方が盛り上がるので、そう期待したいところだが、この局面は、振り飛車を応援したい。少なくとも、こんな棋理に反した単銀戦法に振り飛車が負けて欲しくないと言うのが理由だ(同じ意味で、第1局目の石田流の理想形も負けて欲しくなかったが)。 封じ手は、▲4五銀が第一感だが、先に▲5四歩や▲7四歩を突いたり、▲4六角と上がったりと手は広そうだ。8七銀が働き出す前に、中央からさばければ、振り飛車完勝となるのだろうが・・・。2日目の戦いが待ち遠しい。 (27日午後6時30分記) |
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2日目が始まった。左図は、お昼の局面。 谷川王位の封じ手は▲4六角。△4四銀に▲7四歩とさばいていくのが読み筋だったらしい。この辺り、先手の手は広いが、後手は△4四銀や△6三金などほとんど必然手。とにかくさばかれたら後手は負けになるので、形にこだわらず押さえ込む一手だ。 しかし、△7五成銀!はなんとも渋い。このままだと、▲5四歩から▲6五歩と飛車のこびんを攻められるので、飛車をかわしておくくらいかとも思ったが、成銀を引きつけて、”何もさせない”と言うわけだ。 先手に手が作れるかどうか。ソフト相手なら、▲7六歩△同成銀▲5四歩△同歩▲6五歩△3五銀▲6四歩で”簡単に”つぶれてくれるが、何と言っても相手はあの羽生である。しかも、攻めそのものも非常に細い。切れるかつながるか、どちらにしても勝敗が決まるのは早そうだ。 (7月28日午後12時30分記) |
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2日目午後3時の局面。 上図より谷川王位は、▲7六歩△同成銀▲6五歩と突く。△7六同成銀で△7四成銀と引くのは、▲7七桂から▲6五歩で調子良い。 谷川王位は、▲6五歩△同歩▲5四歩と攻めたが、先に▲5四歩はまずいのだろうか?もちろん△同歩とは取ってくれないだろうが、▲6五歩が先だと本譜のように△6六歩と突き出され、飛車のさばきが難しくなってしまうような感じを受ける。 とは言え後手陣はバラバラで先手陣はまだまだ固い。(あまり駒損せずに)どこか一点でも突破できればそれでおしまいというギリギリの勝負だ。谷川王位が、どのようなさばきを見せるか大いに興味のあるところ。勝負所は続く。 (28日午後3時10分記) |
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2日目午後4時半の局面。 上図より谷川王位は▲5三歩成△同銀としてから▲6五銀!と出た。△6七歩成が見えているだけにすごい手だ。そして、▲6四歩を利かして成銀を取る。これで飛銀交換。 4時の段階でそこまで進んでいたので、いくらなんでも飛銀交換では、先手が無理し過ぎているのだろう、という感想を書き込もうとしていたのだが、▲7四歩も予想外に厳しく、一概にそうとも言えないんじゃないか、と思うようになった。で、いろいろ考えているうち、4時半になってしまい、局面も進んでしまった。 その飛車を羽生王座は△7九に打ち込み、谷川王位は▲7八銀!と捕獲。むろん承知の上だがなんとも華々しい攻防。 今日のお昼頃は、さばけるかどうかの勝負で、ともすれば中押しになりそうな将棋だったが、なぜかこの二人の将棋ではそうならない。見応えのある面白い終盤戦が見られそうだ。 (28日午後4時40分記) |
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2日目午後5時半の局面。 羽生王座は、上図△4四香を打ち、△6六馬と攻め合いを目指した。7六の銀が受けづらいので勢い▲7四歩から桂を取っての攻め合いだが、△7六馬と銀得しながらの馬がなんとも味が良い。 △4四香が4七へ、△7六馬が4九と急所へ利いており、歩のない先手美濃は、見かけほど固くない。 今▲6三歩成と最後の攻撃に移ったところだが、やはり銀損は大きそうだ。羽生王座、この攻めを凌ぎきって、対戦成績をタイに戻せるか。 (28日午後5時40分記) |
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谷川王位投了。左図が投了図。 ▲7一飛に△6五馬から△9二馬!は驚き。ちょっと羽生王座らしくない感じはするが、大勢に影響はない。駒得を生かし切り、がっちり1勝をもぎ取った。 本譜はやはり中盤、攻めきれる筋があるかどうかが全てと言えそうだ。▲6五銀はすごい一手だったが、これしかないのでは、ここでは足りないのかもしれない。 1日目が終了した△8七銀不成のところでは、振り飛車が悪いとは思えないので、何か攻め筋があるのではと思うが、この辺りは、週刊将棋に載ってくるだろうから、またそれを見て追記したいと思う。 (28日午後6時20分記) |
| (週刊将棋を読んで) 今回の将棋は、不思議な将棋だ。一日目の終了図△8七銀不成の局面をどう見るかだが、これを後手良しと言う人は、よっぽど強いか(谷川より?)、筋が悪いかどちらかだろう。 事実、週刊将棋にもこう書いてあった。 『この局面の形勢判断が本局の大きなポイント。1歩をもうけたとはいえ銀がソッポで、働くまでには手数が掛かる。「振り飛車さばきごろ」。控室でも先手ノリの声が多かった。普段は間に合わないはずの美濃囲いが完成しているなど谷川も「さばいてしまえばよくなる」と感じていた。』 しかし、結果としては、感想戦でも、有望な攻めは見つからなかったらしい。と言うことは不思議な局面ではあるが、この図は後手有利と言うことなのかもしれない。但し、先手には、様々なさばきの筋があり、そのすべてを後手は凌がなければならない。トッププロならともかく、アマチュア同士なら先手の方が勝ちやすいだろう(週刊将棋には有力な攻め筋とその対応がいくつか載っている)。 週刊将棋では、59手目の△7九飛を妙手としていた。実況を見ている時、飛銀交換になった局面を自分も検討していて、△9九角成▲7四歩と進むと思い、意外にこの歩打ちが厳しく、まだ難しいのではと思っていた訳だが、 『以下△4四香▲6三歩成△同金▲7三歩成△4六香▲6三とと進めばまだ難解だ。ところが羽生は妙手順を用意していた。(中略)△7九飛が妙手。▲7八銀とされると飛車がすぐ詰んでしまうので見えにくい。後手は△9九角成と△4四香が同時に指せれば完封態勢。△7九飛は飛車を犠牲にその2手を一気に指してしまう狙いなのだ。理詰めのマジックだった。』とのことだ。 (8月1日) P.S.今週号の「オレたち将棋ん族」はこの王位戦の話題。かなり笑えます。 |
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