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金銀の格言

ここでは小駒の重要な駒である金と銀の格言を見ていきます。守りの金と攻めの銀、なぜそういう使い方をするのか、この格言から勉強して下さい。

金底の歩岩より固し

まずは金から見ていきます。
この格言は、金の下に打つ歩は、非常に固く、いい手だということを言っています。
特に、飛車を下段に打たれて、玉への攻めが厳しい時、途中で遮断する金底の歩は守りを強固にする手になります。

金は引く手に好手あり

受けの達人、大山が好んで指した手ですが、現実になかなかこういう場面に遭遇することは少ないかもしれません。
でも、金は、下段にいるほど、その力が強い、ということは覚えといて損はないでしょう。

金はななめに誘え

図面
左図は、やさしい詰将棋です。詰めて見て下さい。


答えは、簡単ですね。▲3三桂△同金▲2二金までの3手詰です。
このように、金はななめに進むと元いた位置に利きがなくなります。この格言は、金はななめに誘えば、無力化できると言っているのです。

要の金をねらえ

図面
玉を攻めるときは、直接王手をしたりするのではなく、その側にいる金を攻めるのが正しい、と言っています。
図は、矢倉などによく出てくる局面ですが、ここは、▲4一銀と打つのが厳しい攻めになります。
玉の側の金を攻める、これは、矢倉に限らず、美濃やそれ以外の囲いでもしばしば発生する攻めの基本ですので覚えておきましょう。

金なし将棋に受け手なし

図面
金が持ち駒にないばっかりに、受けがなくなることが良くあります。これはそう言うことを格言で表しています。
左の図ですが、金か飛車がないと受かりません。
詰める時、もっとも役に立つのは、金ですが、受けるときにも、もっとも役に立つ駒が金なのです。

金はとどめに残せ

金というものは、玉を詰める時に、大変役に立つものです。
ですから、最後の最後、玉を詰める時まで、金を残しておきなさい、という格言です。

一段金に飛車捨てあり

一段金というのは、自陣の一番下にいる金の事です。
この金がいると、飛車に対して強く、飛車を捨てる強襲をしても、自陣はすぐにつぶれないので大丈夫という意味です。
ただもちろん、その局面ごとに違いますので、飛車を切る時は、十分考えましょう。

攻めは銀、受けは金

これは、駒の特性をそのまま表している格言です。
ここにある他の格言を見ながら、その特徴をつかんでうまく使って下さい。

銀は千鳥に使え

銀は斜め前や斜め後ろに進めますから、ななめななめと千鳥足のように使いなさい、という意味です。
また、横には行けないことが銀の欠点ですが、一度斜め下に戻ってから前に進むことで、事実上横に動くこともでき、このように銀を立て直して使うのも、駒のうまい使い方です。

桂頭の銀定跡なり

図面
この図面は、桂香の格言に出てきたものです。
今先手が▲2六桂と「桂は控えて打て」と打ったところです。

ここで次の一手は、△2五銀と受けるのが正解です。そしてこれが、「桂頭の銀定跡なり」という意味でもあります。
この局面、次に▲3四桂と角金両取りに跳ねられてはまずいのですが、△3三銀と受けるような手は、いけません。2二の角が使えなくなってしまいますし、いずれ、▲3五歩から▲3四歩と攻められる手も残ってしまいます。△2五銀は、打たされた手で、やや悔しいのですが、代わりに、いつでも桂が欲しいときに、△2六銀と交換できる権利を得た訳です。

銀は成らずに好手あり

飛車、角、歩は、ほぼ100%成った方が得です。桂や香も、ほとんどの場合、成った方が得です。それは、成らなかった時と、成った時では、その強力度が増すからです。
ところが銀だけは、必ずしも成った方が得と言うわけではありません。たぶん、6、7割は成った方が得なのですが、成らずの方が得な場合もあり、その時々で考える必要があります。

歩越銀には歩で受けよ

図面
歩越銀(ふごしぎん)とは、歩の上に出ていく銀のことを言います。
左図ですと、▲3六銀や▲4六銀のことです。相手に△3四歩△4四歩と歩で受けられてみると、この二つの銀はなかなかこれ以上進むことができません。
歩越し銀は、攻め足は速いのですが、反面受け止められてしまうと、立ち往生してしまうことがあります。
反対に、△6三銀のように歩の下にいる銀を、歩内銀(ふないぎん)と言い、攻め足は遅いのですが、確実です。
なお、歩越し銀そのものが悪いわけではなく、腰掛け銀や右四間飛車などのように、歩越し銀でも、優秀な戦法もあります。

銀が泣いている

これは、格言ではなく、阪田三吉の言葉として有名です。
「銀が泣いている」とは、実戦の場面でも、たとえば棒銀に出ていった銀がさばけず、最後まで残ってしまったような場合に、よく使われます。
強くなればなるほど、遊び駒を作ってしまうと、勝てなくなります。銀を泣かさないように、活用しなければなりません。

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