ホームへ戻る/受けの手筋表紙へ

NHK杯に見る受けの手筋
(2006年7月17日出題)

第57問(2006年7月16日:松尾六段-青野九段戦)
(問57-1)
一手損角換わりの出だしから、序盤いきなりの戦いへ。最初は、松尾六段の研究にハマったかと思わせる展開だったが、馬を幸便に引きつけると逆に後手の指しやすい局面へ。
その後、両者熱のこもった駆け引きが行われ見応え十分の中盤戦に移った。
そして今、先手の松尾六段が▲3八角を▲2七角と上がって、次に▲6三銀成を見せたところ。この局面だけを見れば、△6二玉と上がって受ける手も考えられるが、実はこの一手前は6二の玉を5一へ引いたばかり。ここで6二へ上がるのは、自分の見落としを認める手で、プロの場合、間違ってもあり得ない手だ。
テレビを見ている時は、適当な受けがないので、△8六歩と攻め合うのかと思っていたが、実はピッタリとした受けがあった。青野九段の用意していた一手とは?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問57-2)
長い中盤から終盤戦が続き、頑強な受けで我慢していた先手がようやく優勢になってきたところ。今、せかされて後手が△8七銀成から△8六歩と強襲をかけた。ここで玉を安全にする受け方とは?


(難易度・・・



(これより下に解答)

(問57-1解答)「陰から角(馬)を利かす受け」
ここで青野九段は△4一馬と引いた。指されてみれば、6三を受ける当然の一手だが、このように陰から角を利かす受けは気づきにくい。角には角のような手筋で実戦にも時々出るが、読みの中にきちんと入れられれば高段者だ。
この後、▲7四歩△8六歩からギリギリの攻防が続いた。


(問57-2解答)「駒損でも拠点を残さない受け」
▲8六同金と取るのは、△同飛で、金損となり、普通は(中盤なら)攻めが成功していると言える。しかし、終盤ではそれ以上に手番や玉の安定度が大きい事もある。この場合も、▲8四龍と取る手もあるが、△同金▲8六金と手番を渡し7三の金を使われるよりは、金損だが、玉を安定させ飛車を追い回す方が良いと判断したようだ。
実際、この後、飛車を追いかけ、7三の金を龍で取る手が回り先手ハッキリ優勢に。後手も何とか手をつないで勝負形に持ち込もうとしたが、最後は8二のと金も使われ先手が熱戦を制した。

先週の問題へ/来週の問題へ

ホームへ戻る/受けの手筋表紙へ