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NHK杯に見る受けの手筋
(2007年5月7日出題)

第97問(2007年5月6日:飯島五段-松尾六段戦)
(問97-1)
相掛かりの出だしから、中盤先手の飯島五段が、角成りを受けない意表の攻めを見せ、有利に立った(と思われた)。そして、お互い角で香を取り、今先手が▲9二馬と飛車取りに当てたところ。後手の玉が4一なので飛車を取る手が非常に厳しく、しかも取った後も王手金取りが残っている。
ここでは後手が窮したかに思えたのだが・・・。ここで指された松尾六段の一手は?


(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問97-2)
先手が良かったと思えた仕掛けだったが、いつの間にか逆転し、ここでは後手優勢になっている。今、8三の龍を▲7二龍と入り、敵玉に照準を定めた所だが、ここで後手が指した手堅い受けの一手は?


(難易度・・・



(これより下に解答)

(問97-1解答)「玉の早逃げ八手の得」
飛車を取られる時は玉の早逃げが有効なことが多いのだが、この局面はちょっと微妙だ。と言うのも、△3一玉と逃げても▲8三馬△同金▲8一飛の王手金取りの受けになっていないからだ。そこで、普通は飛車を逃げる手を考えるのだが、△6三飛は▲7四馬で△8四飛は▲7三桂成から▲8五香(又は単に▲9三桂成)でやはり飛車は助からない。
ところがここでも「早逃げによる八手の得」は生きていた。本譜も金は取られるが瞬間、龍の位置が悪くなり、また固い玉形と居玉の差が金損以上に差を詰めていて後手が逆転、優勢になっていった。



(問97-2解答)「馬は自陣に/馬の守りは金銀三枚」
ここで松尾六段はじっと△3三馬と自陣に馬を引きつけた。二枚の馬が重複しており、その一枚を自陣に引きつけるのが非常に味良く、これで後手陣は鉄壁、先手からの寄せが見えない形になった。

この将棋、先手からの仕掛けは十分成立していたように見え、優勢になったと思えたのだが、△3一玉から金損の変化を選んだ大局観がすぐれていたようで、いつの間にか逆転していた。感想戦でも、似たような形勢判断の話がなされていたが、(そこでも話されていたことだが)金得でも良くないという不思議な将棋だった。


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