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NHK杯に見る受けの手筋
(2008年11月24日出題)

第174問(2008年11月23日:深浦王位-堀口七段戦)
(問174-1)
先手深浦王位、後手堀口七段で始まった本局はガップリ四つの相矢倉に進んだ。さらに、双方が6六(4四)に銀を上がり、細かい応酬が続いた後、壮絶な攻め合いへと向かっていった。
今、△7五歩▲8六金に△8五歩と突いたところ。ここで深浦王位の指した次の一手は何か?


(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問174-2)
後手からの攻めは、△7五歩で銀が助からない為、先手も▲2四歩から▲4四歩と忙しく攻めている。単純に金を取られてはいけないのでこの歩には応対するしかないが、どのようにすれば被害が最小限に止められるか。手を稼いで、△7七歩▲同銀△7五歩が入れば、一手違いの寄せ合いに入る。


(難易度・・・



(これより下に解答)

(問174-1解答)「金を助ける例外的な場合」
例外的と言うべきか、あるいはもっとも普通と言うべきか難しいが、深浦王位はここで▲9五金と出た。実は、見ている時は、金が死んでいると思い、ここで▲2四歩から▲4四歩と攻め合いに出るものと思っていたのだが、9五へ出ることで金が助かっている。但し、問題なのはそれでもその手が良いかどうかということ。一般的に、「金はナナメに誘え」という格言もあるように、ナナメへ出ることにより、金の守備力は極端に低下する。一手の価値があるかどうかはその局面によるが、手抜いて攻め合う手も当然考えられるという訳だ。




(問174-2解答)「基本は三手の読み」
▲4四金と歩を取ると、▲6四角又は▲2四角と角を切られ▲4四飛で二枚換えになる。その手はちょっと強くなればすぐに見える。なので△3三金右と二枚換えが見えるとかわしたくなるが、そうすると▲4三歩成と成られ、△同金と取ると今度は角を切られた後、ダイレクトに▲4三飛成と成られてしまう。
ここまで読んだ上で、この局面は△4四同金と取った方が被害が少ないと考えられれば正解だ。こうした手については、もちろん何手も先まで読むに越したことはないが、基本は三手の読み。▲4三歩成とされるともっと悪いということに気づくかどうかで応手が決まるとも言える。

実戦は最終盤までどちらが勝っているのか分からないような難しい局面が続いた。しかし最後に受けを誤った先手が後手の強襲を誘い、ハッとするような受けの妙手も出たがそれでも助からなかったようだ。


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