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NHK杯に見る受けの手筋
(2009年8月17日出題)

第211問(2009年8月16日小林(裕)六段-渡辺竜王戦)
(問211-1)
先手小林六段、後手渡辺竜王で相矢倉、脇システムと言われる形になった。その後、先手が桂損するかわりに歩得と後手の歩切れという分かれになり、難解な中盤戦へと進んだ。
下図は後手が玉の固さを頼りに端を攻めて、先手が受けきれるかどうかという局面。ここで先手小林六段の指した一手は?


(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問211-2)
つながるか切れるか延々と攻防が続いていたが、今▲1四歩とついに先手が端に反撃ののろしをあげたところ。
この手は△同歩なら▲1二歩と叩き、△同香なら▲1三歩から▲4六角打を狙っている。この最後の▲4六角打は飛車取りと同時に詰めろ(▲1三角成△同桂▲同角成△同玉▲1四飛△2二玉▲1一飛成まで)となる厳しい狙いを秘めている。
その為、どこかで手を抜いて△5八飛成かあるいは別の反撃をするものかと思っていたら・・・。ここで渡辺竜王の読み筋は?


(難易度・・・



(これより下に解答)

(問211-1解答)「受け切りを目指すときは駒を渡さない」
ここで小林六段の指した一手は▲8四桂と桂で角を取る手。ここは▲8四金と金で取れば飛車にも当たるので、こう取りたくなる気もするが、さらに金を手駒にされるのは先手玉にとっても危険と見た。
実戦は先手にはなっていないが、駒得をし、△9七歩成に▲8八歩、△4五金に▲7九角と丁寧に受け、最後の反撃に期待することになった。



(問211-2解答)「終盤は正確な読みで」
▲1四歩を△同歩、▲1二歩を△同香と取ると、後は▲4六角打の詰めろ飛車取りまで一直線で進む。そしてこのような手を指されては普通はダメとしたもので、その為途中の▲1四歩や▲1二歩に手抜きを考えるのだが、そこを手抜いても厳しい攻めがある。
渡辺竜王は、▲1四歩からの攻めを詰めろ飛車取りの後、△1五香と打って凌げるとまで読み進めてこの順を選んだ。

本譜はこの順でも難解でどちらが勝っているか難しい局面が続いたが、最後は後手玉に必死がかかり、先手玉を華麗な手順で詰ませて激闘に終止符が打たれた。


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