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NHK杯に見る受けの手筋

(2010年2月1日出題)

第234問(2010年1月31日久保棋王-渡辺竜王戦)
(問234-1)
先手久保棋王の▲5六歩からの中飛車に、後手の渡辺竜王は△3四歩から三間飛車に振り、お互いが飛車を浮くという珍しい相振り飛車になった。
下図はまだ駒組み段階だが、後手の美濃囲いに対し、先手は銀冠から後手の飛車に圧力をかけ始めたところ。▲7九角という手があり、もちろん△3五の歩をタダで取られてはいけないが、どのような形で先手の攻めを受けるのが良いか?ここで指された三手一組の渡辺竜王の手は?


(答えはこの下に)
(難易度・・・やさしい



(問234-2)
手になるかどうかギリギリの攻めだったが、後手が端を破り、今△8七香とこちらに手をつけたところ。桂取りに対し、自然な手は桂を逃げる▲9七桂で以下△8九香成▲1三角成となれば先手に都合の良い進行。しかし、後手には▲9七桂の後、強烈な一手があった。その手を読み、それがあるならどうすべきだったかというもの。感想戦で示された手順は?


(難易度・・・超難問



(これより下に解答)

(問234-1解答)「飛車を狭い場所に囲わない」
ここで渡辺竜王の指した手は△8四飛。以下▲8六歩に△3四銀▲7九角△4四角と進んだ。飛車をこのままにして▲7九角に△4四銀とすれば3五の歩はとりあえずは受かるが、先手に一歩でも入ると、▲3六歩△同歩に▲3五歩がある。また、△2四歩を突いてしまってる以上、攻めるには△3三桂から△2五歩だが、今の▲3六歩がある為、桂も跳ねづらい。
そこで、△8四飛と転回し、▲8六歩(又は▲7八金)と受けさせて、形良く△3四銀と上がって受けた。これなら本譜もそうなったが、△4四角から△3三桂で△2五歩からの開戦を目指せる。何より、飛車を狭い場所に囲うことになるといろいろと手が生じることが多いので注意したい。



(問234-2解答)「相手の攻めを丹念に読み最善の受けを」
攻めを見落とすことがあるのは仕方のないことではあるが、ここで▲9七桂と跳ねると△6九銀が猛烈に厳しい攻めとなる。つまり、(△6九銀に)▲6八金と逃げるのは△8九香成で角が死んでしまう。
この将棋は、後手玉が固いので後手の攻めがつながるかどうかがポイントであり、そういう場合は、特に大駒が交換になったり手に入ると勝負が決まってしまう。本譜も△6九銀には結局▲6八金と逃げるよりなかったらしく、△8九香成で角が死んで事実上の勝負が決まった。

実戦は、飛車交換と角香交換が行われ、この後、先手も上部脱出で粘るが、手筋でその脱出を阻止した後手の完勝譜となった。

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