将棋タウン(ホーム)へ/受けの手筋表紙へ

NHK杯に見る受けの手筋

(2010年3月1日出題)

第238問(2010年2月28日山崎七段-羽生NHK杯戦)
(問238-1)
先手山崎七段、後手羽生NHK杯選手権者で、戦型は相掛かり。序盤の細かい駆け引きの後、▲8八金から▲7八飛という驚きの構想を披露した先手の山崎七段に、角切りから銀打ちの反撃で難解な中盤戦に入った。
そして後手の△8五角が好手で、うまく切り返したと思われる下図の△7四飛に、今度は先手が三手一組の好手順で迎え撃った。その手順とは?

(答えはこの下に)
(難易度・・・超難問



(問238-2)
先手が駒得をし、後手が食いつけるかという局面が続いていたが、仮に切れなくても攻め足が遅いと、▲7四歩という反撃で攻め合い負けしてしまう局面になった。
下図は、△8七角成▲同金となったところで、一旦は△同飛成と取るよりないかと思っていたところ、羽生NHK杯は、驚きの受けと攻め手順を用意していた。この局面での次の一手は?

(難易度・・・やや難



(これより下に解答)

(問238-1解答)「相手の大駒の働きを悪くする歩の使い方」
▲7四同飛と取るのは△同角の位置があまりに良いので、まずは▲7五歩あたりから読みを入れるが、その瞬間は先手でも、△6七角成が残り結局先手を取っていない。
ここで、山崎七段の指した一手は▲7六歩という焦点の歩。△同角に、さらに▲5八歩と打って、大駒の働きをいっぺんに止めた。▲5八歩を打たないと、△4九角成▲同玉△7八飛成と存分にさばかれ、あっと言う間に終わってしまう。
この後、△2七歩成には▲4七角が好打で、以下△7五飛に▲8六銀で後手の飛車の処置が難しく、先手が良くなったと思われたのだが、じっと△7四歩が辛抱の受けで、難解な終盤戦に突入していった。


(問238-2解答)「敵の打ちたい所に打て」
▲7四歩と打たれると厳しいので、△7四歩と逆に打つのは部分的には手筋だ。但し、▲7八角が見え見えで、こう打たれるとせっかくタダで取れそうだった8七の金にヒモが付いてしまう。
その為、この局面での△7四歩は打ちづらいのだが、やはり単に△8七飛成では、▲7四歩と打たれ攻め合い負けすると見たのだろう。

実戦は、▲7八角に、驚きの△9九飛成(普通は駒損しないように、金か銀を取って飛車を取り返すもの)と香を取って▲7四角に、△7九龍〜△6八香という手順で先手玉に迫った。
この将棋は中盤から最後まで、驚きの攻防手が随所に出た将棋だったが、攻めを巧みにつないだ羽生NHK杯が最後はきれいな即詰みに討ち取った。
先週の問題へ/来週の問題へ

将棋タウン(ホーム)へ/受けの手筋表紙へ