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NHK杯に見る受けの手筋

(2010年8月30日出題)

第264問(2010年8月29日 森内九段-鈴木(大)八段戦)
(問264-1)
先手森内九段、後手鈴木八段でゴキゲン中飛車戦法。過去、NHK杯で二度出現した飛車を捕獲する急戦の将棋になった(2009年3月の羽生-丸山戦と5月の瀬川-広瀬戦)。そこでの解説では、飛車を逃げるのは最後に△5一香を打たれて悪いという話であったが、その先をさらに森内九段は研究していたらしい。
それが下の局面。今、▲5九香と二段に香を打って▲5二香成からの攻めを見たところ。部分的に受けがなく、見事な研究手順と思われたが、ここで指された鈴木八段の一手も深い受けの一手だった。簡単にはつぶされないその受けの手とは?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問264-2)
先手の攻めが成功し、後手がはっきり苦しくなった下の局面。△4四角も攻防の一手だが、打つ順序を間違え、ここでは起死回生の一手とはなっていない。
ここで、指された先手森内九段の次の一手は?このような局面における最も味良い受けの一手がある。

(難易度・・・



(これより下に解答)

(問264-1解答)「ふところを深くする美濃の受け」
ここで鈴木八段の指した一手は△7四歩。香成りは部分的には受からないので不思議な手だが、△7三馬と引く筋を作ったり、局面によっては△7三銀と上がって6二の地点を受けたりすることを可能にした一手だ。
普通は、このような終盤における単独の△7四歩は美濃のコビンを開ける悪手になることが多いが、自分の馬が利いている時は、弾力性のある受けの手として記憶しておくと役に立つかも知れない。


(問264-2解答)「この形での攻防の一着」
ここで森内九段の指した一手は▲6六桂。これは、美濃対舟囲いで、角をこのように打たれた時によく出る味の良い攻防手。8八に駒を打たれたり、△9九角成を防ぐ為には何か角筋に打つ必要があるが、▲6六桂はそれを受けると同時に、▲7四桂と直接美濃囲いの玉を王手する手も見ていると言う訳。

本譜は、この桂を打たれて、これ以上先手玉に迫る手がなく、後手玉はほとんど受けが利かない為、この後数手で後手の投了となった。感想戦は30分近く放送され、30〜50手前後が検討されたが、それにしても平凡でありながら、意表の新手「▲1八飛」でも難解となることに驚いた一局だった。

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