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NHK杯に見る受けの手筋

(2011年9月5日出題)

第315問(2011年9月4日 畠山七段-谷川九段戦)
(問315-1)
先手畠山七段、後手谷川九段で戦型は、後手のゴキゲン中飛車。これに角交換する丸山ワクチンで迎え撃ち、中盤はお互いが生角を打ち合うという模様の取り方の難しい手順が続いた。そして終盤に入り、今▲6三歩と手筋の一発を叩いたところ。ここで指された後手谷川九段の次の一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問315-2)
下図は終盤、いまだに駒の損得もないが、後手としては2三の金が遊んでいるのが痛い。それでも△8四銀と出て、次に香を取りながら玉頭を攻める形になれば遊び金のマイナスも取り返せる。しかし、ここで先手の畠山七段は味の良い攻防手を指した。その一手とは?

(難易度・・・



(これより下に解答)

(問315-1解答)「拠点を残す”場合の受け”」
本来、叩かれた歩は取るのが基本。急所を叩かれ、その歩を残すと、そこへ打ち込まれたりするからだが、谷川九段はこの局面、何と△5三金とかわして受けた。△6三同金と取るのは▲7五桂と打たれるのが厳しいという訳だが、それでもこの歩を残す受け方はこの局面にしか当てはまらない”場合の受け”だ。実戦は以下▲6五角△6四歩▲5六角△6五桂と進んで難解な終盤戦へ突入した。


(問315-2解答)「終盤は攻防の一手を」
この受けの手筋でも何度も出てきているように、終盤は攻防の一手が局面を決定づけることが多い。ここでも、先手の畠山七段の指した一手は▲7五歩という攻防の一着。
受けては、△9五銀を防ぎ(取ると▲8五角と銀を取れる)、攻めとしては▲7六桂(局面によっては7四に駒を打つ手)を見ている。

本譜は△9七歩と紛れを求めた手に対し、▲7六桂と急所に桂を据え、△9五銀に▲6四桂から▲8五角と決めに出た。最後は手筋の銀捨てから飛車を取り、先手玉に詰みがないのを見越して、後手玉に必死をかけた。
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