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NHK杯に見る受けの手筋

(2011年9月19日出題)

第317問(2011年9月18日 郷田九段-金井五段戦)
(問317-1)
先手郷田九段、後手金井五段で戦型は、横歩取り△8五飛。最新形から、華々しく飛角が舞い、どちらが研究、あるいは読み勝っているのかという局面が続いた。そして下図、後手が△2八歩と飛車頭を叩き、▲同飛に、△6五桂と攻めたのに対し、当然の▲6六銀の受けに、どのような攻めを用意するかというところだが・・・。ここで指された後手金井五段の次の一手は受けの手だった。三手一組のその手順とは?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問317-2)
後手が強靱な受けで局面を戻し、9九の馬を8九、7九とじっと寄ってきたところ。もうどちらがよいのか分からない所まで接近したように見えたが、ここで郷田九段は、鋭い攻めを見越した受けの一手を放った。先手郷田九段の次の一手とは?

(難易度・・・



(これより下に解答)

(問317-1解答)「辛抱の手順で勝機を待つ」
△6五桂と跳ね、▲6六銀と受けさせた局面だけを見れば、△6八銀などまず攻める手を考えるのが普通で、それ以外の手では桂を取られて悪くなるものだ。
ところが、ここで金井五段の指した一手はじっと△2二歩と▲2三歩成を受ける手だった。そして▲4四桂を見た▲6五銀の桂取りに、さらに△4四金と打ってこの筋を守った。
普通は、攻めの途中で方向転換するのは悪くなるものだが、△2二歩から△4四金は、後の△8九馬から△9九馬と駒を蓄える手を見て一気に負けにしない辛抱の良い手順だった。
実際本譜は、形勢が急接近、途中はどちらがよいのか分からない熱戦になった。


(問317-2解答)「持ち駒を変える妙手順」
ここで郷田九段の指した一手は▲6九金。部分的にはあまり筋の良い手ではない。と言うのも、この金は玉しか利いていない為、通常は送りの手筋のような何らかの反撃がある場合が多いからだ。ここでも、△6六桂▲同歩△6七銀という手が見えるだけに(▲6九金とは)打ちづらいが、その手を誘った意味もあり、持ち駒の金が銀に変わると、後手玉に迫る手が生じる。

本譜は▲6九金に馬が逃げるのでは、「元気が出ない」ので、勢い△6六桂▲同歩△6七銀と攻めることになったが、金が銀に変わると▲5三香という鋭い一発があった。△同銀引と取るのは、持ち駒が銀になった効果で▲6一銀と打って詰み。△同玉と取る一手に▲5一龍から一気に後手玉を寄せきることに成功した。
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