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NHK杯に見る受けの手筋

(2011年10月31日出題)

第322問(2011年10月30日 丸山九段-島九段戦)
(問322-1)
先手丸山九段、後手島九段で、戦型は角換わり。お互い、相手の出方を見ながらの序盤だったが、結局後手が棒銀、先手が腰掛け銀で小競り合いが始まった。下図は、その腰掛けた銀を▲5五に出し、端を突き捨て、さらに▲3五歩と突いたところ。ここで島九段の指した一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問322-2)
終盤に入り、▲2八銀から▲5八玉と少し後手の攻めを先手が余しに出た局面。しかし、△4五桂とさらに先手玉に迫ってきた所で、もちろん▲同桂は△2六角成と飛車を素抜かれて逆転する。この局面、いく通りかの受けがありそうだが、ここで丸山九段の指した一手は?

(難易度・・・



(これより下に解答)

(問322-1解答)「守りの銀をぶつける受け」
本来、攻めの駒と守りの駒の交換は攻めの駒を交換した方が得、と言うのが将棋の常識だ。実際、棒銀にしろ、端攻めにおける香交換にしろ、攻めの駒を交換できれば成功と言える。
ここ、△3五同歩と取るのは、端で一歩を取ったり、▲2四歩の突き捨てがあったりするので、それを含みに▲4五桂と跳ねられると、一方的に攻められてしまう。
そこで、本来は守りの駒をぶつけることはあまりないのだが、島九段は△4四銀と銀をぶつけていった。これは銀交換になれば、△3六銀とここに打って、逆に飛車のコビンを攻められることが一つ。さらに、桂を跳ねられた後では間に合わないとの判断にもよる。
駒落ち(特に二枚落ち)などでも、下手に駒をぶつけられると困ることはあるのだが、有段以上になったら、こうした手も読みに入れると受けの幅が広がるかもしれない。


(問322-2解答)「攻防、天王山の角」
▲3九銀や▲4六飛などを解説していたが、丸山九段の指した一手は▲5五角だった。これは、△3七桂成を防ぎながら、▲4三歩成△同金▲2二角成を狙った攻防の一着。5五は角の利きが最も多く利く場所で天王山と言われるが、まさにこの一着で、先手の有利を拡大していった。

本譜は△2八銀不成に▲4三歩成から▲2二角成を決行。攻め合いに突入して一手勝ちを目指した。そして最後、先手玉もかなり際どかったが、詰まないことを見切って後手玉に必死をかけた。
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