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NHK杯に見る受けの手筋

(2012年7月16日出題)

第357問(2012年7月15日 杉本七段-菅井五段戦)
(問357-1)
先手杉本七段、後手菅井五段で戦型は後手のゴキゲン中飛車に対し居飛車丸山ワクチンで対抗。そこから後手は△2二飛から△2四歩と動いた。その後、やや無理気味の開戦に下図は当たりを避けてじっと▲2九飛と引いたところ。ここで指された後手菅井五段の次の一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問357-2)
最終盤、後手玉は必死。先手玉が詰むかどうかと言う局面。王手なので本来は問題にするような所ではないが、あえてこの局面での正着を。先手杉本七段の指した一手は?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問357-1解答)「戦いの最中でも金銀を守りに」
ここで菅井五段の指した一手は△5二金左。本来囲いは戦いが始まる前にしっかり組んでおくべきものだが、必ずしもそうはいかない時もある。故大山十五世名人は、戦いながら金銀を玉周辺に引きつけるのが得意であったが、ここでも△5二金左▲2八歩に△4四銀とこの二手はなかなかの一着だった。これで後手の陣形全体が引き締まり、やや無理気味な攻めであったが、もうどちらが良いのか分からないような混戦へと進んで行った。

(問357-2解答)「最後は読みの力」
最終盤、「詰むや詰まざるや」の局面は、結局読みの力がそのまま勝敗に直結する。
ここは王手なので逃げ場所は五場所。しかし、▲7九玉は△7八金までと10級でも分かる。▲6八玉は、△5八角成なら▲6七玉と同じだが、△7八金▲6七玉△5八角成の手段を与えるだけ6七より損(実際はそれでも詰まない)。また、▲8八玉と▲7七玉は△8七角成と成れば進行は同じと言うことで、(6七と7七の)ほぼ二択。どちらがより危険かを考えて指すことになる。

本譜は、正着の▲6七玉を指し、以下△5八角成▲同玉△4八とから相当長い王手は続いたが、最後は際どく逃れ、先手の勝利となった。
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