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NHK杯に見る受けの手筋

(2012年9月3日出題)

第364問(2012年9月2日 行方八段-久保九段戦)
(問364-1)
先手行方八段、後手久保九段で戦型は後手の角交換四間飛車。先手は矢倉、後手は美濃に組み合った後、先手の軽い仕掛けから全面戦争に入っていった。下図は、▲5五桂から▲6三銀と露骨に打ち込んでいったところ。しかし、持ち駒もなく、攻めが成立しているかどうかは微妙。手が広く難しい局面だが、ここで後手久保九段の指した一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問364-2)
先手の攻めがつながるか切れるかギリギリの局面が続いていたが、結局攻めきる事が出来、後手玉に必死をかけた。そこで今△7七金と最後の王手がきたところ。応手は4つ。この場合はどう応対するのが最も安全か。先手行方八段の指した一手は?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問364-1解答)「相手の金駒に当てる受け」
厳しい先手玉への攻めがあれば、何もしない手もありそうだし、△7一桂や△2七角など受けるにしてもいろいろな手が考えられる。しかしここで久保九段の指した一手は△5四銀。6三の銀に当てる”強い受け”だ。これは5五の桂取りにもなっている為、単に6三の地点に利かせた手に比べると先手の攻めを急がせている。
本譜は▲4六金と一歩を取り▲7四歩からさらに激しい戦いになった。

(問364-2解答)「飛車の横利きで詰みを防ぐ」
王手なので取るか逃げるかしかないが、どの変化も詰むかどうか最後まで読み切るのはかなり難しい。ただ、有段者ならほとんどの人が▲8九玉と引くと思う。と言うのも、▲9八玉は△8七銀成からかなり危なく見えるし、▲同金と取るのも△同銀成から同じく危ないと考えるからだ。また▲7九玉は△4六角や角成が一本入るので(▲8九玉より)損という訳で、全てを読み切れずとも▲8九玉と引く一手に見える。

実戦も当然▲8九玉と引き、△8八銀▲同金△6七角には▲7八歩と受けて先手玉は詰まず、何とか上部開拓を狙ったが、駒をたくさん(先手に)与えたため、最後は後手玉が即詰みに討ち取られた。
なお、これは余談だが、最後の局面、詰みがあるかどうか「柿木将棋8」で調べた所、▲9八玉は△8七銀成から19手詰、▲7九玉は△5七角から21手詰という解を出し、▲7七同金と▲8九玉は詰みを検出しなかった。
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