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NHK杯に見る受けの手筋

(2012年10月22日出題)

第371問(2012年10月21日 高橋九段-島九段戦)
(問371-1)
先手高橋九段、後手島九段で戦型は相掛かり。出だしに駆け引きはあったが、結局お互いが飛車を深く引く形となり、先手は棒銀調に後手は囲いを優先して駒組みを進めた。
そして戦いは、先手が6筋、後手は9筋から攻め込んだが、後手玉に近い先手に分のある戦いだったようで、形勢は次第に先手に傾いていった。下図はその終盤、今▲6三歩成と急所に歩が成ったところ。ここで指された後手島九段の次の一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問371-2)
先手優勢の終盤、少しでも差を詰める為△3九ととと金を捨て、▲同玉に△9九香成と相手に手を渡したところ。受けなくてもすぐに詰んだり必死になる訳ではないが、このような下段の玉は危険な位置でもある。ここで指された先手高橋九段の次の一手は?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問371-1解答)「玉の早逃げ八手の得」
ここで島九段の次の一手は△3三玉の早逃げ。先手が3三の地点をふさぐことは出来ないので、追われてから逃げても同じように思えるが、先に逃げておけば、角を渡したり、▲5二成銀なら別の手を指せるという利点もある。そして、場合によっては△2四歩を突いて後手玉を広くすることも出来る。

(問371-2解答)「ここでも、玉の早逃げ八手の得」
こちらも▲6八玉の早逃げが正解。前問よりさらにここでは▲6八玉と指したい。それくらい味良い一着だ。と言うのも、▲7九玉の局面は、駒が入ると△7七銀や△6六桂、△6七歩など様々な寄せの手段が生じる上、5三で精算した時、△9七角の王手で抜かれる手まである。そうした手段が一手で消えることになるので味が良いという訳だ。

本譜はこの後△9七角と打って5三の地点を守ったが、今度はその角を狙われ、駒得を許すと挟撃の形は作ったものの、駒不足で先手玉を寄せきれず後手の投了となった。
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