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NHK杯に見る受けの手筋

(2014年1月13日出題)

第432問(2014年1月12日 屋敷九段-中田宏樹八段戦)
(問432-1)
先手屋敷九段、後手中田宏樹八段で戦型は相矢倉。途中の駒組みは双方工夫の手順だったが、角交換して駒がぶつかると一気に全面戦争となった。そしてそこを抜け出したのは先手の屋敷九段。下図は飛金交換の駒得になっている。後手としてはちょっと辛い所だが、ここを凌いで△3七馬など駒損を回復しつつ攻めを緩和し逆転の余地を残したい。ここで後手中田八段の指した次の一手は?▲5三銀不成と金取りに引いた所なので、当然の一着ではある。

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問432-2)
駒割りは飛銀交換で先手が得をしている。しかし後手の陣形は固く、先手は玉の回りに金銀二枚しかいない。ここで先手屋敷九段の指した一手は何か?後手からどのような攻めをされるかを見越した一手であり、有段者ならまずその手から考える筋の一着。
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問432-1解答)「金は引く一手」
このような局面、ほとんどの場合金は引くことになる。引くと当然▲4四歩と叩かれ、これはこれで痛いのだが、それでも△5三金▲同馬△4二金までほぼ必然の手順で凌ぐしかない。
金を逃げずに▲4四銀成△同銀となるのでは、陣形が弱体化し過ぎるし、金を寄ったり上がったりするのも、いつでも▲4二銀成と来られ、すぐに寄ってしまうからだ。

(問432-2解答)「歩の垂らしに歩で受ける準備」
ここで屋敷九段の指した一手は▲6三歩成。堅陣を攻めるにはと金攻めが一番有効だが、ここではその意味ともう一つ、6筋に歩を垂らされた時、歩で受けられるようにする準備だ。そしてこの後、実戦も△6七歩に▲6九歩としっかり受けて優勢を維持している。

本譜はこの後、後手は5筋からと金を作ろうとしたが、その瞬間攻めに回った先手の屋敷九段が後手玉を攻略、優勢を見事勝ちにつなげた。
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