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NHK杯に見る受けの手筋

(2014年12月1日出題)

第477問(2014年11月30日 羽生名人-森内竜王戦)
(問477-1)
先手羽生名人、後手森内竜王で戦型は角換わり腰掛け銀。4筋に飛車を回り、▲4五歩から▲3七角〜▲6四角と攻める定跡形で先手が先攻したが、△6三角から玉頭の垂れ歩に△1三玉と強く受ける方針で後手が立ち向かった。
そして下図、今▲3五角と飛び出して△5三の金取りになっているが、すでに後手は桂得を果たしているのでここで大きな損をしなければ良くなりそうなところ。後手森内竜王の指した手は?三手一組の手順を。

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問477-2)
後手が駒得を果たし有利に進め、今、△5五歩と急所の銀に働きかけたところ。実戦はここから▲6三金△5六歩▲同歩△6九銀と進んで差が開き後手優勢となった。特に△5六歩の後の△5五桂が厳しく、ここに桂を打たれるとあっという間に先手玉は寄ってしまう。そこで、感想戦で話されたここでの粘りの手順は?三手まで読みを進めた局面を考えて欲しい。

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問477-1解答)「敵駒に当てる強気の受け」
ここで森内竜王の指した手順は△4四歩▲同歩に△2四銀。まず△5三金は助けなければならないが、4三金右など単純に角を成らしてしまうのは桂得が吹き飛んでしまう。そこで△4四歩は普通だ。対して▲4四同歩も先手としてはこれしかない。ここで三手目△2四銀と歩を払いながら角に当てたのが強気な読み。▲4三歩成からの殺到や▲1五香〜▲2四角、さらには角を逃げずに何らかの手を指される可能性も読まなければならずこの瞬間はやや危険。しかし、これで受け切れると読んだ受けの強手だった。

本譜は▲4三歩成△同金上に▲同飛成と切って▲7一角成と角を成り込んだが、さすがに駒得は大きく後手優勢となって終盤戦へ入っていった。

(問477-2解答)「急所の攻めを防ぐ妙手順」
本譜の進行は▲5六歩の一手を入れざるを得ず、手番を後手に渡してしまった。しかし、感想戦で話された手順は、問題図で▲6五銀と出、△同銀に▲6三金と角を取っておくというもの。確かに図なら△5五桂と打てず、もし銀を逃がすようなことがあれば、まるまる一手違ってくる。

ただ実際は、この手順でも△6九銀から攻め込んで後手有利は変わらなかったようだが、本譜はそれ以上に大差になってしまった。そして最後、森内竜王は飛車取りを放置して「端玉には端攻め」を敢行、ちょうど100手で先手玉を必死に追い込んだ。
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