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NHK杯に見る受けの手筋

(2015年1月12日出題)

第482問(2015年1月11日 菅井五段-丸山九段戦)
(問482-1)
先手菅井五段、後手丸山九段で戦型は相振り。先手向かい飛車、後手三間飛車で囲いは、先手の金無双対後手の美濃囲い。双方が端に桂を跳ねるという珍しい形から、先手がコビンを狙う軽い攻めで戦いが始まった。
下図は△7三の桂頭を狙い、先手が一本取ったかと思われるところ。と言うのも、次の▲7四歩を受けるピッタリした手がないように見えるからだ。つまり単に△7四歩と守っても、▲6六歩△5四銀▲7四飛で、以下再度の飛車引きから▲7四歩が受からない。しかしここで丸山九段は、巧みな手順で桂頭を守った。三手一組のその手順とは?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問482-2)
下図は最終盤。2手前に△5九銀とかけ▲5八金寄の交換をし、△6五桂と金取りに打ったところ。現時点、後手玉に即詰みはないが、▲8六銀と押さえれば部分的には必死。但し2手前から常に王手をかけられながら飛車でその押さえの駒を抜かれる筋が残り一筋縄ではない。
ここで先手菅井五段の指した一手は何か?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問482-1解答)「手筋の歩で桂頭を守る」
ここで丸山九段の指した手は△7七歩の「焦点の歩」。これを▲同角と取らせ、さらに△7五歩と打って▲6六歩に△7四銀を用意し相手からの▲7四歩を守った。
問題図、単に△7五歩では▲同飛と取られ、△7四歩は先手で打てるものの依然▲6六歩からの攻めが残っていてまずい。そこで△7七歩と焦点の歩。感想戦では▲同飛もあったらしいが、△4五歩と角を使われるので実戦的には指しづらい。▲同角と取らせれば△7五歩で桂頭をしっかり守れるという訳だ。


(問482-2解答)「かわしながらの”詰めろ”」
▲8六銀と打って何もないなら簡明だ。しかし△4九角と打たれ、▲3九玉△3八歩▲4九玉に△5七桂不成から詰まないまでも押さえた銀を取られる筋が残る。
そこで実戦は▲6七金寄。これが金をかわしながら、次に▲8五銀〜▲8三龍〜▲7六銀を見た詰めろ。このように逃げながら「詰めろ」をかけられるならこれは非常に味の良い一着と言える。

本譜はそれでも△8八飛の「詰めろ逃れの詰めろ」をかけながら先手玉に肉薄。際どい終盤戦となったが、この攻めを余すと、最後はしっかり詰めろをかけて先手の菅井五段が勝ち切った。
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