将棋タウン(ホーム)へ/受けの手筋表紙へ

NHK杯に見る受けの手筋

(2015年7月13日出題)

第507問(2015年7月12日 戸辺六段-山崎八段戦)
(問507-1)
先手戸辺六段、後手山崎八段で戦型は力戦相振り飛車。出だしから、相手の陣形を見ながら、先手は四間から三間へ、後手は△3一角から△1三香〜△1二飛という変わった攻撃態勢を構築。途中、千日手の懸念もあったが、それを回避すると先手の玉頭で戦いが始まった。その後、後手は飛車を切り(切らされ)、先手玉のコビンを攻めたのが下図。△6四角▲4六歩に△4五香とここに香を打ち込んだのが強烈な勝負手。ここを大きな損害なく受け切れれば駒得なので良くなりそうだが、失敗するとたちどころに寄せきられてしまう。ここで指された先手戸辺六段の指した一手は?受けの筋では良くあるものの、さらに工夫を加え「なるほど」と感心させられた一着でもある。

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問507-2)
この将棋は終局までずっと難しい将棋だった。今▲8五桂と跳ね、次に▲7三桂成△同桂▲8三飛からの詰みを見せたところ。たいして先手玉も、△2九馬▲4九玉△3八馬▲5九玉△4八金から相当追えるが、詰みまではなさそうに見える。そこでここで指された後手山崎八段の指した一手は?受けるとするとこれしかない一着とも言える。

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問507-1解答)「角の筋から外れる」
玉のコビンを角で攻められると非常に受けづらい。なのでこうした場合は、玉を寄って角のラインから外れるのが手筋と言える。ただここで実戦指された▲3九玉が「なるほど」とちょっと感心した場所。下段に落ちるのはどうしても寄せやすくなるという意識が働くので、つい▲3八玉と寄りたくなるが、同じように進んだ時でも、▲3九玉と一段下にいた方がより耐久力がある。

本譜は、△4六角▲4七歩△1九角成に▲2六銀とここに引く銀の味が良く、駒得の先手が良いかと思われたが、実際は△3八歩▲同金を利かし△1七歩と垂らすとまだまだ難しい形勢が続いた。

(問507-2解答)「両方の大駒の利きを一歩で止める」
ここは先手玉が簡単な詰みでもない限り、△7五歩と止める一手に見える。そして実戦もこの手が指され、後手が残したかに見えた。

ところが実戦、▲7三桂成△同桂▲8三銀△7一玉▲5三飛と進み、ここから後手の手も乱れた。先手玉に対し、無用の王手をした為、最後は駒を渡せなくなって逆転(に見えた)。そして結局、終盤「詰むや詰まざるや」の面白い勝負は、先手の戸辺六段が勝利した。
なお、最終盤、両対局者も解説の広瀬八段も(当然私も)対局中は気づかなかった後手玉に詰みがあった。その局面も含め、面白い一戦だった為、7月13日発行のメルマガで取り上げたので詳しくはそちらをどうぞ(7月18日までに新規にメルマガ登録された方には13日分もお送りします)。
先週の問題へ/来週の問題へ

将棋タウン(ホーム)へ/受けの手筋表紙へ