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NHK杯に見る受けの手筋

(2015年7月27日出題)

第509問(2015年7月26日 谷川九段-阿部健治郎五段戦)
(問509-1)
先手谷川九段、後手阿部五段で戦型は横歩取り△3三角戦法。両者中住まいから先手は中央へ、後手は2筋に飛車を回り仕掛けのチャンスをうかがっていた。そして▲7五歩に後手が角交換から△2七歩〜△4五角といきなり攻めに出たのが下図。飛車を逃げるのは△2七角成があり論外。ここではどのように受けるのが良いか。実戦で指された当然とも言える次の三手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問509-2)
後手の、研究手とも思える角捨てが強烈で、一気に先手陣だけ終盤という先手に取っては辛い展開となった。しかしその後、辛抱強い受けで局面はやや難しくなり先手が猛追。下図は終盤、▲6五角の利きを見て、今▲4四桂と王手金取りをかけたところ。これは王手なので取るかどこかへ逃げるしかないが、ここで指された一手は何か?終盤の考え方として最も自然な一着は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問509-1解答)「連打で飛車先を止める」
将棋の手筋として、連打で飛車先を止める場面というのは良く出てくる。ここでも▲2五歩△同飛▲2六歩と連打するのが第一感でありこれがもっとも普通の受け方。(感想戦では▲2五歩に△同銀も指され、その場合は▲5五飛と逃げておいて難解とのこと)

本譜はこれに対し、△5六角▲2五歩の後、△4七角成が研究手順とも思える鋭い踏み込みだった。瞬間、角損の攻めだが、▲同玉△4九飛から桂を取り返し、さらに2筋に歩も利く為容易に切れない。しかし、先手も二枚の角を攻防に放ち、簡単には終わらせず、どちらが勝っているか分からない終盤へと突入していった。

(問509-2解答)「終盤は駒の損得より戦場から離れる」
▲4四桂に対し、△同歩と取ったり、△4二玉と寄るのは、桂は入るが、玉の危険度はかえって増し逆転される一因にもなる。その駒(ここでは桂)を入手することで、相手玉が詰むならともかく、それほど役に立たない場合は、駒得より、玉の安全度を優先するのが終盤の鉄則だ。
そこで△6二玉と寄るのが実戦でも指されまたもっとも自然な一着。▲3二桂成に△3七とが厳しく、これで後手の一手勝ちかと思われたがそれほど簡単ではなかった。

感想戦によると、△3七とは詰めろと思っていたとのことだが、これが詰めろではなく、さらに▲8三銀と打ったのが強烈な勝負手でこの瞬間は詰めろ。最終盤はどちらが勝っているか分からない難解な一手争いになった。しかし、△3六とと角を取った手が(合駒に角を使える為)詰めろ逃れの詰めろとなり、後手の阿部五段が逃げ切ることに成功した。

なお最後、先手玉への詰めろのかけ方を間違えると後手玉がとん死になると言うことで、その局面を「今日の実戦の詰み」に載せてみましたのでそちらもどうぞ。(問題は放送で解説されたそのままの手順)
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