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NHK杯に見る受けの手筋

(2016年1月18日出題)

第532問(2016年1月17日 豊島七段-佐藤康光九段戦)
(問532-1)
先手豊島七段、後手佐藤九段で戦型は相居飛車の出だしから、後手の佐藤九段が飛車を振り、変則的な向かい飛車となった。その後、先手は居飛車穴熊に後手は銀冠に組み上げ、形としてはそれほど不自然ではない居飛車振り飛車対抗形に進んだ。
仕掛けは後手から開始し、その後先手も反撃、難解な中盤から終盤戦に入って下図、今▲2一飛成と飛車を飛び込んだところ。このまま▲8一銀の攻めを見られては、▲8四桂の金銀連携を崩す手もあり凌ぎ切れない。ここで指された後手の受けは?この一段飛車の利きを止めるとすればこれしかない。

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問532-2)
上図から先手も自陣に手を入れ、難しい終盤戦は続いた。下図は、△8六歩と急所の歩を突いた手に対し、一旦▲8五桂を決め、△8二玉と後手も一手は受けに手を入れたところ。しかし、後手玉に詰めろでもかけられない限り△8七歩成は許す訳にはいかない。ここで指された先手の受けは何か?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問532-1解答)「内飛車と外飛車」
4筋に飛車がいなかったり持ち駒がない場合は、部分的には△8二玉と割り打ちを防ぐ手もある。但しこの局面のように、角銀桂と持たれていてはとても受け切れない。ここは△4一歩と打って龍の利きをさえぎるのがこの一手だ。
さて、この図のように、玉側にいる△4五飛を内飛車、▲2一龍のように玉から離れた所にいる飛車を外飛車と言う。そして多くの場合、内飛車の方が力が強い。と言うのも、▲3二のと金がいなければこの△4一歩は取り除くことが出来ず、鉄壁の外堀となるから。但し、本譜は▲4一龍と歩を払いながらの飛車交換が可能なので、不利な外飛車を同等な持ち駒に出来で熱戦は続くことになった。


(問532-2解答)「終盤は先手を取って受ける」
▲8六同歩と取るのは、8七の地点が開いてしまい、(△6六角成もあり)ここに駒を置かれて勝てない。そこで銀を埋めることになるが、▲8八銀打は穴熊としては固いが、先手になっていないので、△8七歩成▲同銀△8六歩と結局先手で8七の地点を開けさせられてしまう。
ここは▲7八銀と飛車に当てつつ△8七歩成を受けるのが手筋。やはり終盤では先手を取ることが重要だ。先手を取って、▲6一飛に回り、先手の寄せ、後手の受けがはっきりした。

本譜は、その先手の寄せも、後手が頑強に受けて攻め切れるかどうか難しい寄せとなった。特に最後、問題にしたいような妙着の受け(128手目の△4三飛)も飛び出し、ギリギリの終盤戦が続いたが、攻めの妙手のお返しもあり、最後は先手の豊島七段が後手玉を寄せ切ることに成功した。
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