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NHK杯に見る受けの手筋

(2016年7月11日出題)

第556問(2016年7月10日 黒沢五段-山崎八段戦)
(問556-1)
先手黒沢五段、後手山崎八段で戦型は先手の角道オープン四間飛車。後手が早めに端の位を取った為、先手は穴熊に。その穴熊を見て、△4四角〜△3三桂〜△2二飛と向かい飛車にし、大上段に構えた。先手は、穴熊には囲ったものの左銀が立ち後れ、駒組みが終わった所ではすでに後手の指しやすい局面になっていた。そして中盤、下図は今△4五角とここに角を打ち下ろしたところ。この角では、△7八角も目に付くので迷う所だが、これは直接先手玉を狙っている。ここで指された先手黒沢五段の指した一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問556-2)
後手からの攻めを一度は凌いだ先手だったが、中段の飛車を攻められると飛角交換が必然になり、今度は飛車を打ち込まれ攻められている。対して、先手も角の打ち込みから、後手のもう一枚の飛車を攻め、あわよくば千日手に持ち込もうかと言うところ。そして下図、今▲4二の馬を▲4三馬と飛車取りに引いたところ。この馬引きは、飛車取りと言うよりも、▲3四馬と引き、銀桂を払ってしまうのが真の狙い。と言って、△3一飛とこの歩を守ると▲4二馬で千日手を狙われる。ここで指された後手山崎八段の指した一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問556-1解答)「角には角」
角の両取り(両狙い)に対し、角で受けることは良くある。ここでも▲4九角は手としては当然見える手ではあるが、ただ、この地点に角を受けるのは、後で使えそうもないだけにかなり打ちづらい手になっている。それでも、玉頭方面に数を足しておかないとつぶされてしまうと言うことで、実戦はこの▲4九角。対して、やはりここまで徹底して受けられるとこれ以上は攻め込めないと言うことで、後手の山崎八段は、△2六飛〜△2一飛の後、△5六歩として飛車の退路をふさいでから陣形の整備に移った。

本譜はその後、9筋から攻めた先手に対し、▲5五の飛車を攻めて飛角交換に持ち込んだ後手がリードしたまま終盤戦に入った。

(問556-2解答)「終盤は攻防手を」
ここで後手の指した手は△5二香。これが飛車取りを防ぎつつ、次に△5七歩成を見た攻防手で味が良い。先手は▲3四馬とし、何とか後手の攻め駒を一掃してしまいたいが、△5七桂不成▲同歩に一旦△3一飛と馬取りに回って銀を取られるのを防いだ手が参考になる一着。▲4三馬の交換は大きな利かしで、後手優勢のまま最終盤戦に突入した。

本譜は、先手も粘り腰を見せたが、どこまで行っても逆転までには至らず、上部脱出が不可能になり、最後馬を消され完全に勝ち味のなくなったところで先手が投了、後手山崎八段の完勝譜となった。

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