将棋タウン(ホーム)へ/受けの手筋表紙へ

NHK杯に見る受けの手筋

(2016年12月19日出題)

第578問(2016年12月18日 羽生三冠-佐藤和俊六段戦)
(問578-1)
先手羽生三冠、後手佐藤六段で戦形は後手の三間飛車。ただ、居飛車の穴熊をけん制する駒組みだった為、最終的にお互い四枚の金銀で組み合うミレニアム対ダイヤモンド美濃となった。
戦いは▲3五歩から先手が仕掛けた。しかしこれを巧みに切り返すと、飛角交換ながら後手の指しやすい局面へと進んだ。下図はその中盤の戦いが行われているところ。今、△6五歩▲同桂に△8五桂と跳ね違いの手筋を指した局面。後手からは次に△9六歩▲同歩に△9八歩からの攻めと△6四歩の狙いがある。先手はどこを受けるべきか。先手羽生三冠の指した次の三手は何か?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問578-2)
先手も二枚飛車で迫ってはいるが、それ以上に後手からの強襲が厳しかった。下図はその終盤で、後手から見ると、△6一桂成からの攻めを間に合わせるわけにはいかない。そこで早い攻めをつなげているところだが、その間隙をぬって今▲9五香と詰めろをかけられたところ。ここでは▲9一角からの詰めろをどのように受けるべきか?後手佐藤六段の指した一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問578-1解答)「桂損を甘受し金を活用」
ここで羽生三冠の指した手は▲7五歩。そして△6四歩と桂は取られてしまうが、そこで▲7六金と寄って△8五の桂取りを見せた。▲6五の桂をタダで取られないように▲4五桂と跳ねるような手も見えるが、やはり△9六歩からの攻めは厳しく間に合わないとの判断。そこで桂損を甘受し、▲7五歩と角道を止めたのが実戦。さらに△6四歩に▲7六金は見習うべき手で、△8四歩と一手使わせることにより手番を得ることに成功。攻めも二枚飛車になり、形勢は急接近したかに見えた。


(問578-2解答)「中合いの歩で駒を近づける」
歩が一歩しかないので、△9三歩と受ける手は自然だ。ただ、玉も狭くなるし香一本で利かされた感はある。そこで実戦、△9四歩と一つ前に打ったのが好手。二歩以上あれば当然の一着だが、一歩しかないのでちょっと見落としてしまいそうだ。しかし▲9四同香と取らせればその瞬間に詰めろが解除されるという手。

本譜は後手玉に迫る早い手がなく、▲4六角と攻防に利かせた後、▲7九玉と早逃げしたが、後手からの寄せの網の絞り方がうまく、粘る羽生三冠を突き放し後手の佐藤六段が勝利した。

なお投了図から、「今日の実戦の詰み」を作成して見たのでそちらもどうぞ。
先週の問題へ/来週の問題へ

将棋タウン(ホーム)へ/受けの手筋表紙へ