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NHK杯に見る受けの手筋

(2017年6月19日出題)

第603問(2017年6月18日 青嶋五段-八代六段戦)
(問603-1)
先手青嶋五段、後手八代六段で出だしは相振り飛車風だった。しかし、先手が9筋の位を取り居飛車に変更、居飛車対三間飛車の対抗形へと進んだ。戦いは後手が△5五歩、△3五歩と動いて始まる。これに先手がしっかり受けた後、2筋から反撃すると難解な中盤から終盤戦へ突入。下図は、▲3一角成と角を切り、△同飛に▲2二歩成と成り込んだところ。飛車取りなので逃げる一手だが、どこへ逃げるのが良いか。後手八代六段の指した一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問603-2)
難しい終盤戦が続いている最中。△5二の金を受けずにタダで取らせ、その間に後手は△6五歩から△6六歩と急所を取り込んだ。金銀あれば▲7一銀から簡単に詰みだが持ち駒は金二枚。対して先手玉は詰めろになっているので、受ける必要がある。ここで先手はどう受けるか?青嶋五段の指した次の一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問603-1解答)「受けに使う飛車」
普通は△3五飛と敵陣に向かって動かす手を考える。しかし、この局面、△3五飛と出てもすぐに成れる訳でもなく、▲3七歩と飛角両方を同時に止められる手も見える。そこで、じっと△6一飛と横に逃げたのが実戦。確かにこう逃げられると先手の攻めも難しい。▲3二とと寄っても▲2一飛成と成れないし、▲1一との後、▲2一飛成では実戦もそうなったが、△同飛で使えていない飛車を交換することが出来、後手としては効率が良い。

本譜は、互角の難しい勝負が続いていたが、第2問辺りから徐々に先手の方が良くなってきたようだ。

(問603-2解答)「あえて先手を取らない受け方」
終盤の受けは、基本的には先手を取って受けたい。たとえばこの局面なら▲6六銀と歩を払い△同馬に▲7七金打と当てて受けるような手段だ。それがもっとも普通だと思うが、先手の青嶋五段は単に▲7七金打と埋めて受けた。これは△6六に馬を呼ぶと△5七歩成からの攻めを気にしたと思われる。このように普通は先手を取って受けることが多くても、終盤では良く読みを入れて、単に受けた方が良い場合もあるということを覚えておきたい。

本譜はここから後手も△6一銀打と粘って難解な終盤戦は続いた。しかし、先手の陣形が厚く、攻め合いは先手有利に。そして最後は確実に詰む所までしっかり受け、先手青嶋五段の勝利となった。

なお途中、後手玉に一瞬詰みがあった。その局面を「今日の実戦の詰み」として載せたのでそちらもどうぞ。
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