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NHK杯に見る受けの手筋

(2017年11月20日出題)

第625問(2017年11月19日 山崎八段-羽生棋聖戦)
(問625-1)
先手山崎八段、後手羽生棋聖で戦型は相掛かりの出だしからの相居飛車。定跡形とは少し外れた形から後手が横歩を取り、これに▲8二角と先手が駒得を目指して戦いが始まった。そして下図。香は得したが、▲2六香と使わされており、形勢は不明。ただ、ゆっくりしていると△2四歩から香を取り返される手や△8五桂(△6五桂)から桂交換後の△1五桂などもある。ここで指された先手の次の一手は何か?その後の狙いも含め三手まで。
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問625-2)
先手優勢の最終盤。▲6一とが回れば勝ちだが、現状下図は先手玉に詰めろがかかっている。ここではどのように受けるのが良いか?優勢から勝ちに持っていくための手段とは?先手山崎八段の指した次の一手は何か?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問625-1解答)「攻め駒を取る手を見せ、せかす」
ここでの次の三手は▲1六歩△2四歩に▲1七桂。▲1六歩は△1五桂を防ぐ意味で分かりやすいが、続く▲1七桂が▲2九飛の角取りを見せた継続手。すんなり角が取れればはっきり良くなるので、後手としても動かざるを得ない。

本譜は△1七角成から△2五歩と攻めたが、取った角を▲8四角と据えて反撃。先手がポイントを上げて終盤戦へなだれ込んだ。


(問625-2解答)「先手を取る強い受け」
▲5八の金にかけられた時、普通は▲6八金右と逃げるのが自然。ただ、飛車を二段目に打たれると詰めろになり再び受ける必要はある。他に(部分的には)▲6八金左とこちらの金にヒモを付ける手もあるし、もし馬が(▲7四の好位置ではなく)▲9二とかにいるのであれば、▲4七馬と引く手も味が良い。このようにいろいろありそうな局面だが、先手の山崎八段はここで▲4八銀と打って受けた。これは、△3九の龍取りなので先手で受けようとする強い受けだ。ただ、△5八銀成と取られると玉を引っ張り出されるので危険な受け。このような受けは決め手になることも多いが、反面見落とすと一気に逆転するので丁寧に読みを入れる必要もある。

本譜は△5八銀不成▲同玉△2八飛に▲3八桂と合駒し、結局▲6一とを間に合わせることに成功。その後数手で羽生棋聖が投了、先手山崎八段の勝利となった。

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