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NHK杯に見る受けの手筋

(2018年1月29日出題)

第634問(2018年1月28日 畠山鎮七段-菅井王位戦)
(問634-1)
先手畠山七段、後手菅井王位で、戦型は横歩取り△3三角戦法。先手が▲6八玉と上がり、後手も横歩を取り最新の研究へと進んだ。その後、一手一手の難しい中盤戦は続いたが、後手が機敏に動き局面をリード、そのまま終盤戦へと突入した。この将棋は、終盤の入口で先手に疑問手が出て後手が有利に。下図はその終盤。今、△4六桂と龍の利きを止めながら金取りに打ったところ。金は逃げられないが、このままでも金を取られると先手玉は寄ってしまう。そこでどうするか?悪いながらもまだ頑張るための先手の粘りの一着は?先手畠山七段の指した次の三手を問う。
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問634-2)
後手が駒得をし優勢に進めている終盤戦。それでも今▲2一飛と王手をかけられている。王手なので応手は限られるが、最も良い受け方は何か?どのように受けてもまだ後手良しではあるが、優勢と有利に戻るのではさらに最終盤で何があるか分からない。ここで後手菅井王位の指した最善の受けの一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問634-1解答)「玉の早逃げ八手の得」
▲7九玉と早逃げし、△2五角にさらに▲8九玉と早逃げをしたのが、逆転を狙う終盤術。何もしないと△5八桂成に玉と龍が近すぎてまずい。そこで一歩先に逃げ、△5八桂成が王手にならないようにし、桂成りなら▲4三歩を用意。後手は△2五角とその筋を防いだが、さらに▲8九玉まで潜り込むと▲7九歩も利き、格段に固くなった。

ただ、駒損は大きく、依然先手不利。それでもちょっとでも間違えれば逆転する余地を残しての終盤戦は続いた。そして第2問の局面へと進んでいる。


(問634-2解答)「攻めが切れないなら持ち駒を投入」
ここは△3一金打と一枚入れるのが第一感で本譜。ソフトもこれを最善とし、他の手(△5二玉や△3一歩)はこれより2〜300点低い評価。ただし、金を投入するのはあくまで使ってしまっても攻めが切れない時だけ。さらにその金を持っていると、相手玉にすぐに必死がかかったりするような場合は、温存して置いた方が良く、実戦では、「歩の合駒」、「玉の逃げ」と「当てて先手を取る手」は同程度出現しているかもしれない。

本譜は▲1一飛成に(△6八成桂▲7七金の交換を入れ)△2一歩とさらにしっかり手を入れた。そして先手の攻めを少し遅らせると、△8六歩から反撃、最後は先手玉が受けなしとなり、後手菅井王位の勝利となった。

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