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NHK杯に見る受けの手筋

(2018年3月12日出題)

第640問(2018年3月11日 山崎八段-郷田九段戦)
(問640-1)
先手山崎八段、後手郷田九段で、戦型は相掛かり戦。先手が、最近の▲3六歩を飛車で取らせる趣向に出て後手もこれを取った為、最新形でもあまり見ない戦いとなった。その後、一歩得対手得という構図で難しい中盤戦が続き、下図はその途中。今、△3四歩を取りに▲4五銀と出たところ。部分的にこの歩は受からないし、元々後手は一歩得しているので、取られても駒割りは五分。そこでどうするか?絶対にこう指さなければいけないという手はないが、郷田九段は軽い手筋でこの局面を収めた。後手の指した次の一手は?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問640-2)
中盤から終盤、互角で難解な戦いが続いている。下図は、△3七歩成▲同桂に△3六歩と打ったところ。後手の攻めは分かりやすく△3七歩成から△4七とが実現すれば良し。先手はこの間に何か出来るか?というところ。その敵陣に襲いかかる前にここでは軽快な手筋がある。ここで指された先手山崎八段の次の一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問640-1解答)「大駒は近づけて受けよ-歩の突き出し」
△3四歩を取られてもそれほど大きな被害を受ける訳ではないが、ここで郷田九段は△3五歩と歩を突き出して▲3四銀を防いだ。▲3五同飛と取る手もありそうだが、その瞬間の飛銀の形が悪く、たとえば△4四歩▲3四銀△2四銀とか、△8五飛とか浮かれてもどちらも動けない状況だ。歩を突き出して大駒を近づけるのは珍しい手筋だが、持ち駒を打って近づけることは良くある。今回は、先週に続いての歩の突き出しの手筋だった。

本譜は、やはりこの歩は取りづらいと思ったのか、▲5五歩△4四歩▲5六銀△3四銀と進み、さらに▲6五銀右△同銀▲同銀から一気に激しい終盤戦へ突入した。

(問640-2解答)「敵陣を乱す取られ方」
駒落ちなどでは、▲3八歩と受けて桂損してもと金を作らせない方が良いことも多いが、平手の将棋で、特に有段者以上の将棋では、歩を受けて単純に桂損に甘んじることはほとんどない。ここでもまず▲4五へ跳ねるか▲2五へ跳ねるか、取られる瞬間に桂を働かせる手を考える。実際、どちらもありそうな所だが、山崎八段は▲2五桂と跳ねて、逃げつつ▲3三の地点を押さえ攻めに参加させた。もちろん△2五同銀と取れば4三の地点が薄くなる為、▲4三銀打などの手段が生じる。

本譜は△3七歩成▲5五角から一手争いの終盤戦が繰り広げられたが、最後は軽快な一着で後手玉を即詰みにし、先手山崎八段の勝利となった。

なお、その軽快な即詰みを問題にしたので、「今日の実戦の詰み」もどうぞ。但し、余詰めを消すのに、やさしい手順の方を消したので、変化も含めしっかり読みを入れて下さい。
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