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NHK杯に見る受けの手筋

(2018年4月2日出題)

第642問(2018年4月1日 黒沢五段-三枚堂六段戦)
(問642-1)
新年度の開幕局。先手黒沢五段、後手三枚堂六段で戦型は先手の中飛車穴熊対後手の角道を開けない居飛車左美濃。振り飛車に対し、後手は最新研究を取り入れた陣形からの仕掛けで、見事にヒットした。中盤では居飛車の左美濃が固いのに対し、穴熊の方が陣形を崩さざるを得なくなり、収拾困難な形に。下図はその途中、今△1六歩と垂らされて、歩成りを見られている。ただ、ここさえ凌げば△4五の銀取りになっているし、角は封じ込めているのでまだ盛り返せるチャンスはある。ここで指された先手黒沢五段の指した一手は何か?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問642-2)
中盤の形勢不利からなかなかチャンスが巡ってこないまま終盤戦に入りつつある。駒損こそないものの先手の陣形はバラバラだ。今△3四歩と角道を開け、次に△6六飛▲同歩△5五角を見られている。▲5五の歩を支える▲4六銀は△4四歩と突かれるとかえって目標になってしまいそう。ここで指された先手黒沢五段の指した一手は?悪い時の勝負の仕方としてどのように指し進めるか?ここからの進行を五手まで。

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問642-1解答)「穴熊の位置にこだわらない」
ここは▲2八玉と上がるのが第一感でこう受けるところ。▲2八金と受けても、部分的には歩成りは受かるが、▲2九の桂が跳ねていて穴熊としての体をなしていないこうした穴熊は単に寄せやすい下段にいる玉と変わらない。なので、▲2八玉と上がり、広さで勝負して相手の攻めを受け止めようとするのが逆転への布石となる。

ただ本譜は、後手も△3四銀とは引いてくれず、△1四香から香を入手すると△5六香と飛車取りで銀の行き場をなくし攻め立てた。そして後手優勢のまま最後の決めに入って第2問へと続いていく。

(問642-2解答)「持ち駒を温存して攻め味を残す」
ここで先手は飛車切りから△5五角を直接は受けず、▲1六香と玉を広くしつつ端からの攻め味も見せて手を渡した。もちろん、△6六飛からの攻めで後手優勢なので実戦もその通りに進んだが、△5五角に銀を打たず▲1八玉と寄って耐えたのも一つの勝負術。駒損をせず、持ち駒を蓄えていけばまだチャンスはあるということで、参考になる指し方。

しかし本譜、ここでの△6八歩が軽手で痛打だった。▲同飛と取るよりなく、△5七香成と飛車当たりにされながら香に成られてははっきりしてしまったか。最後は、玉を下段に落とし、教科書のような寄せで後手三枚堂六段の勝利、一回戦を完勝でスタートした。

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