将棋タウン(ホーム)へ/受けの手筋表紙へ

NHK杯に見る受けの手筋

(2018年4月30日出題)

第646問(2018年4月29日 阿部健治郎七段-橋本八段戦)
(問646-1)
先手阿部七段、後手橋本八段で戦型は後手の三間飛車対先手の左美濃。序盤から駆け引きがあり最終的に後手は石田流に組み、先手は飛車浮きから▲5五歩と動き、天王山に銀を据え局面をリードした。しかし△5五角切りからの逆襲が機敏で、逆に後手がリードを奪う形で中盤から終盤戦に突入。下図は先手が▲2一飛成と桂を取り、次に▲6一龍から▲7四桂を見たところ。ここで後手はこの筋をどのように受けたら良いか?後手橋本八段の指した次の一手は何か?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問646-2)
上図から後手有利の局面は変わっていないが、先手も決め手を与えないように受け続け難解な終盤戦が続いている。下図は△9七歩成▲同香△9六歩からの攻めを狙いとしながら、今一旦△4三金と角に当てて上がったところ。ここで先手はどのように指したら良いか?先手阿部七段の指した次の一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問646-1解答)「角のラインを止める攻防の桂」
角筋の利いている所で美濃囲いの▲7四桂はほとんど打たれてはまずい。また手筋として△6四歩と突き、▲同角に△6三金のような手もあるが、この局面では良くない。ここは実戦もそう打ったように、△6四桂がピッタリの受け。▲7四桂を防ぐと同時に△7六の地点に利いているのが大きい。

この局面、次に△5四角のような手もあるので、先手は▲6六歩と受けつつ▲6五歩を見せて先手の攻めを催促した。しかしもう一つの後手の攻め筋、△6八香も厳しく、後手優勢のままの終盤戦が続き、第2問へ続いていく。

(問646-2解答)「攻めを見せることで相手の攻めを制約する」
角取りに対し、▲2二角成と馬を作っておくことは部分的には大きい。しかし終盤ではどこに利いているかの効率の方がより優先されることも多い。ここで、▲3五角と引いたのが渋い一着だった。▲7一に利きを残しておくことで、▲9四桂の反撃、▲6三歩成〜▲6二歩などの攻め筋を見せておくことで、相手からの攻めを間接的に制約している。

本譜はそれでも後手優勢のままの終盤戦が続いた。しかし決め手を与えないまま先手が反撃に出ると、徐々に形勢の差が縮まっていき逆転、最後は後手玉を即詰みに討ち取り、先手阿部七段の勝利となった。

先週の問題へ/来週の問題へ

将棋タウン(ホーム)へ/受けの手筋表紙へ