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NHK杯に見る受けの手筋

(2018年5月14日出題)

第648問(2018年5月13日 及川六段-加藤桃子女王戦)
(問648-1)
先手及川六段、後手加藤女王で出だしは角換わり。しかしすぐに後手が角道を止めると最近多い最新の相居飛車戦となった。こういった将棋の構想は難しいが、持時間の少ない本局は先手が積極的に棒銀で仕掛けた。対して後手も反撃し、細かいやり取りの後、飛角交換に。そして下図、今△2七飛に▲3九金と寄って桂取りを受けたところだが、△3八歩の手筋を打たれている。もちろん良くある筋なので承知の上での金寄りだが、▲同金△2九飛成では金を寄った意味がない。ここで駒損しないように受けるにはどうすべきか?先手が指した次の一手は?実戦の進行をここから五手(▲3八金と歩を払う)まで。
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問648-2)
上図の進行は持ち駒すべてを自陣に打たされ少し先手の辛かった形勢だが、中央から反撃すると局面は混沌としてきた。今、▲6三角成と▲1八にいた角を成り込んだところ。後手から見て、このまま次に▲5三銀と上からかぶせられると受けがなくなる。そこでこういう所ではどのように受けるべきか。基本の受けであり実戦でも指された後手の次の一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問648-1解答)「駒損しない辛抱の手順」
ここからの進行は、▲1八角△4七飛成▲4八銀△4六龍▲3八金だ。まず飛車に当てて桂も守りつつ角を打つ。後手も銀が浮いているので不用意に飛車を動かすことは出来ない。△4七飛成にさらに銀を投入して最後に金を助けるということ。このように持ち駒をすべて自陣に打たされるのは辛いが、とにかく駒損をしないで、ここを凌いで「もう一局」という考え方だ。

実際大きな差はなく、ここから先手は中央に狙いを付け、形勢不明の終盤戦へ突入していった。


(問648-2解答)「大駒に当てて金を投入」
ここはほぼ△5二金の一手。金がない場合、銀で代用することもあるが、やはり自陣の守りが金と銀では耐久力が違う。金を持っていてしっかり守りたいなら、そして(金があれば)すぐ相手の玉が詰むという局面以外は、このように金を投入しておきたい。

本譜、先手もここで単に馬を逃げるだけの手では辛いので、▲7一銀と迫り、一手指した方が良く見える白熱の終盤戦が繰り広げられた。しかし最後の最後、攻めても受けても少しずつ先手の良さそうな局面だったが、一手受け間違え、いきなり先手玉が即詰み、とん死のような状況で後手加藤女王が辛勝した。

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