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NHK杯に見る受けの手筋

(2018年8月2日出題)

第659問(2018年7月29日 竹内四段-阿久津八段戦)(関東の放送は8月2日)
(問659-1)
先手竹内四段、後手阿久津八段で、戦型は先手の中飛車に、後手が向かい飛車に振ったため相振り飛車となった。戦いは中盤、先手が▲6五銀と出て5筋の歩を切りながら銀交換して始まった。下図はその直後、△4三金と上がった手に先手が▲2八玉と美濃に入ったところ。感想戦ではこの玉上がりで何か別の手を指した方が良かったかという話も出ており、実際ここで後手の指した手から局面は後手リードとなった。特に受けだけの手ではないが、ここで指された後手阿久津八段の指した次の一手は何か?筋より読みと経験で放ったと思われるこの将棋でのポイントの一着。
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問659-2)
玉頭を緩和する意味もあり、銀を投入して飛車を取りに行ったが(感想戦では悔やんでおり)実際あまり良くなかったようだ。下図はその銀が残ってしまい逆に狙われている。今、角を打たれ、銀取りと玉のコビン攻めの両にらみ。△6四角の感触が良く、すでに先手苦しそうに見えるが、こういう所ではじり貧になるのを避け勝負手を放ちたい。先手竹内四段の指した次の一手は何か?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問659-1解答)「盤面中段を制圧する銀」
ここでの後手の一手は△4五銀。本来、角を活用するために△4五歩と歩を突きたいところなので、そこに銀は筋が良いとは言えない。しかし、飛車取りの先手を取りながら盤面を占拠する。5筋を緩和しつつ△3五歩から玉頭攻めを見せるこのような銀はいかにもプロの手と言えそうな攻防手だ。

本譜はこの後▲4六歩と銀を追ったが、今度は△4五が争点になり角交換を挑まれると徐々に後手ペースとなっていった。そして痛打とも言うべき△6四角を打たれ第2問へと続いている。

(問659-2解答)「駒損せずに反撃の味を見せる」
玉頭からの攻めは強烈だが、銀を取られるのも痛い。と言うことで、その銀を守りつつ、▲5三歩と垂らしたのが実戦(感想戦では△3六歩の瞬間に▲5三歩の方が良かった、と)。この▲5三歩は後手の攻めがぬるければ▲5二歩成があり、歩を受けてくれれば銀取りがなくなるという手。終盤で、特に形勢が悪いと思う所では受けるだけの手を指し、じり貧になっては逆転の目もなくなる。悪いながらも何か主張する点を作っておきたい。

ただ本譜、△4六歩からの攻めは予想以上に厳しかった。先手も▲5二歩成から▲6二とと銀を一枚取ったが、その間に玉頭に殺到、一気に寄せ切り後手阿久津八段の勝利となった。

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