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NHK杯に見る受けの手筋

(2018年11月12日出題)

第674問(2018年11月11日 大橋四段-豊島王位・棋聖戦)
(問674-1)
先手大橋四段、後手豊島王位・棋聖で、戦型は角換わり腰掛け銀。流行の最先端の形から後手の手待ちに先手が▲4五桂と跳ねて戦いが始まった。これに後手も△6五歩と反撃、盤面全体を使う攻防戦へと発展。その中盤から終盤の入口。下図、△4五銀直と桂を補充してからの△8六歩の取り込みが好手順だった。▲8二歩と一旦は叩いたが、△同飛に▲7一角では△7六桂からどんどん攻められてしまいそうだ。そこでどうしたか?ここで指された先手の次の一手は?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問674-2)
(先手から見て)銀得はしているものの飛車には成られ、と金も作られていて必敗。玉と飛車の位置も悪く(次に△8九龍で2九の飛車が取られる)早い人なら投げてもおかしくない局面。しかしここで先手の大橋四段は妙防を放って凌いだ。しかもその後も頑強に粘り、局面を五分にまで戻している。ここで指された先手大橋四段の指した次の一手は何か?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問674-1解答)「大駒は近づけて受けよ」
先週に引き続きここでも正解は「大駒は近づけて受けよ」の▲8五歩だ。やはり飛車筋を通したまま△7六桂を打たれては支えきれない。▲8五歩と打ち、△同飛なら▲7六銀がピッタリでこれは逆に後手がまずい。後手側から見れば、銀桂交換の駒損をしているので、はっきりした戦果が欲しいところ。

本譜は△7六桂と先着してからの△8五飛だが、▲8八歩と受けて後手からの攻めがあるかどうかという進行になった。しかしここから後手が鋭く踏み込み優勢に。
個人的に、勝手な観戦中の感想を書くと、「豊島、強えー!こりゃ(早く終わるので)感想戦、長いな。」だったのだが・・・。

(問674-2解答)「諦めない終盤、一段歩の妙着」
飛車に成られ、と金まで作られまとめのようのない先手陣に見えるが、ここでじっと▲6九歩と打ったのが妙手。△同とならそこで▲4九玉と逃げれば△8九龍が王手にならない。実戦は単に△8九龍だが、今度は▲5八玉と立って▲6九には▲2九の飛車が利いてくるという訳だ。

本譜はそれでも後手優勢の局面は続いた。しかし頑強な先手の粘りに後手もおそらくは何度か間違えたのだろう、形勢は互角、流れ的には逆転模様にまで進んだ。それでも最後に踏みとどまったのはさすがの二冠。途中、「30分以上感想戦かな」と思っていたこの将棋は、感想戦がなくなるほどの熱戦になり、総手数172手。後手の豊島二冠が粘る先手を振り切り辛勝した。
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