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1999から2002年に出版された本の紹介


ここでは、1999年から2002年に出版された将棋の本の紹介及び感想を載せています(技術的な本だけで、将棋の読み物は入っていません)。
将棋の本を購入するときの参考にして下さい。


2002年

8月15日
(買ってきました)・・・[5級から三段向け](ごきげん中飛車のコツを知りたい人に)
○「ごきげん中飛車を指しこなす本」(近藤正和著:河出書房新社:2002年7月刊:1300円)

河出書房新社の最強将棋塾シリーズの一冊で、四間飛車を指しこなす本と同じような形式で構成されている。
最近はやりのごきげん中飛車を、分かりやすく説明していると思う。有段者なら、あまり指したことがなくても、概略を簡単に知ることができ、級位者なら、何度も読み返すことで、指し方のコツが身に付くだろう。
内容としては、居飛車が飛車先を切ってくる超急戦(乱戦)から、△6二銀の基本形、△3二金の形などがある他、居飛車穴熊に対する指し方、先手で初手▲5六歩からごきげん中飛車にする指し方などがある。

8月15日
(買ってきました)・・・[初段から五段向け](定跡を詳しく勉強している人に)
○「定跡外伝2」(週刊将棋編:毎日コミュニケーションズ:2002年7月刊:1200円)

前作「定跡外伝」の出版が、1993年のことだが、それ以降の「新しい裏ワザ」を集成した本。数が多いだけに一つ一つの変化は詳しくはないが、定跡通の人には、「こんな変化もあるのか」と勉強になることは多いはず。
内容を見てみると、四間飛車急戦、持久戦、相穴熊、力戦振り飛車、右四間、三間飛車と振り飛車が多い。他には、矢倉と横歩取りがある。

6月13日
(買ってきました)・・・[5級から三段向け](四間飛車対策に苦心している人に)
○「三浦流右四間の極意」(三浦弘行著:毎日コミュニケーションズ:2002年5月刊:1200円)

この本は、NHK将棋講座に掲載され、講座で放送されたものを、加筆し再構成したものだ。
定跡編は、第1章から第4章まであり、第5章は実戦編になっている。第1章では、右四間飛車の基本を、第2章では飛車先不突きの右四間飛車を解説しているが、それぞれに舟囲い、左美濃、銀冠の場合の変化が記されている。そして、第3章では、右四間穴熊、第4章では振り飛車からの急戦の変化にも触れている。
内容が多岐に渡るため、一つ一つの変化手順の解説は少なく、正直、自分の知りたい変化はあまり載っていなかった。しかし、それもこれだけ多くの内容を盛り込んだのでは仕方ないのかもしれない。右四間飛車の本筋を会得したい人には十分役に立つ本だと思う。

6月13日
(買ってきました)・・・[3級から四段向け](矢倉を指す人に)
○「東大将棋:矢倉急戦道場」(所司和晴著:毎日コミュニケーションズ:2002年5月刊:1200円)

東大将棋ブックスには、矢倉道場と四間飛車道場があるが、今回出版されたのは、「矢倉急戦道場」。中は2章に分かれ、第1章では棒銀、第2章では右四間飛車(対矢倉)が解説されている。
構成は、今までのシリーズと同じで、やはり詳しい。まえがきに所司六段の言葉として、「従来の定跡に新研究を加えて、十分に先手番矢倉に対抗できる内容に仕上げましたので、(中略)先手番矢倉対策の秘策としてお手元においてくだされば(以下略)」と書かれている。

5月1日
(買ってきました)・・・[3級から四段向け](四間飛車を指す人、相手をする人に)
○「東大将棋:四間飛車道場」(所司和晴著:毎日コミュニケーションズ:2002年4月刊:1200円)

将棋ソフト「東大将棋四間飛車道場」の定跡講座を書籍化した本の第四巻で「4五歩早仕掛け」を解説している。
最新である、2四同角の9五歩突き捨てから、2四同歩、その他の形までかなり詳しく、有段者から定跡通の上級者向けだ。

さて、まだ続編が出てくるのだと思うが、ここで、今までに出た東大将棋ブックスをまとめておく。
・四間飛車道場第一巻(ミレニアム)、第二巻(右4六銀)、第三巻(左4六銀)、第四巻(4五歩)
・矢倉道場第一巻(4六銀)、第二巻(続・4六銀)、第三巻(3七銀)、第四巻(新3七銀)

5月1日
(立ち読みしました)・・・[4級から四段向け](羽生のファンやその棋譜を並べたい人に)
○「羽生善治の入魂の一手100」(森けい二著:日本文芸社:2002年4月刊:1400円)

下の「強襲の一手100」の続編、この二冊で完結する。
こちらは、七冠達成から五冠王復活までを、同じように次の一手形式で出題、解説している。
形式は下の本と全く同じだ。やはり、最後に全部の棋譜を載せているので、棋譜を並べたい人にはちょうどいいだろう。

5月1日
(立ち読みしました)・・・[4級から四段向け](羽生のファンやその棋譜を並べたい人に)
○「羽生善治の強襲の一手100」(森けい二著:日本文芸社:2002年4月刊:1400円)

新人王戦から名人戦、竜王戦の勝利(七冠達成以前)までの羽生の棋譜から100局を選び、それらを次の一手形式で出題、解説している本である。
中は読みやすく、森の解説なので、それほど棋力にも関係なく(級位者でも難しくはない感じで)、読み進められると思う。
そして、最後に全部の棋譜を載せているので、棋譜を並べたい人にもちょうどいい。

5月1日
(買って来ました)・・・[3級から四段向け](横歩取り△8五飛戦法の最新定跡を知りたい人に)
○「谷川の21世紀定跡2/横歩取り△8五飛戦法編」(谷川浩司著:日本将棋連盟:2002年3月刊:1300円)

シリーズ1の角換わりに続き、横歩取り8五飛戦法について解説されている。
角換わりの時もそうだったが、プロローグで横歩取りの変遷、考え方が説明されており、良く知らない人にとっても、たいへん分かりやすい。内容は、▲6八玉の攻防と角交換型の攻防(8七歩を打たない形)だけで実戦譜の解説にもかなりの部分が割かれており、定跡そのものの変化は少ない。
居飛車高段者に取ってはやや物足りないかもしれないが、横歩取りの最新型を一通り知っておくには読みやすくていい本だ。

3月15日
(立ち読みしました)・・・[8級から1級向け](やさしい詰将棋を解きたい人に)
○「ラクラク詰将棋 基本手筋集」(日本将棋連盟:2002年2月刊:1000円)

級位者を対象にして、3手から7手まで216問の詰将棋が収録されている。
詰将棋の内容も、本当にやさしい、良問が多い。ちょうどこの将棋タウンで出題している「やさしい3手詰」と同じようなレベルなので、毎週この問題がちょうどいいと言う人に、この本はピッタリだろう。

3月15日
(立ち読みしました)・・・[8級から1級向け](やさしい次の一手問題を解きたい人に)
○「ラクラク次の一手 基本手筋集」(日本将棋連盟:2002年2月刊:1000円)

級位者を対象にして、(1)序・中盤編と(2)終盤編に分け、次の一手問題216問を収録している。
問題の内容も、やさしく、基本手筋を問うものが多い。この将棋タウンで言うなら、棋力判定問題集に出題している問題と同じような感じだ。やさしい問題がたくさんある本と言うのは、意外に少ない(と思う)ので、級位者向けにはなかなかいい本が出たと思う。

3月7日
(買って来ました)・・・[4級から二段向け](基本的な急戦定跡を勉強したい人に)
○「青野照市のノックアウト四間飛車」(青野照市著:フローラル出版:2002年2月刊:1300円)

この二つ下の「解いてごらんよ詰将棋」と同じフローラル出版の本で、やはり表紙がイラストになっている。但し、詰将棋の本は初心者向けだが、こちらは定跡を解説しているだけにやや難しい。
それでも、従来の定跡本に比べると比較的やさしく「これにて良し」から先まで解説されている。もっともその分、変化の解説が少なくなっている訳だがこれは仕方ないところか。
全体的には、初段前後の人が、対四間飛車に対する急戦定跡の大まかな流れを勉強するのに良い本だと思う。

3月7日
(立ち読みしました)・・・[5級から二段向け](定跡だけの勉強で、伸び悩んでいる人に)
○「B級戦法の達人プラス」(週刊将棋編集部編:毎日コミュニケーションズ:2002年1月刊:1300円)

以前出版された「B級戦法の達人」に新戦法を加えた改訂版だ。
振り飛車、対振り飛車、そして居飛車編と通常は知られていない戦法が紹介されている。将棋と言うものは面白いもので、正攻法の「定跡」だけを知っていれば強くなれると言うものでもない。
はめ手と言うわけでないが、いろいろな戦法を実戦で試してみて、あらためて「定跡」がすぐれていることを知るのもいい勉強になるだろうと思う。

3月7日
(立ち読みしました)・・・[6級から初段向け](やさしい詰将棋を解きたい人に)
○「中原誠の解いてごらんよ詰将棋」(中原誠著:フローラル出版:2001年12月刊:1300円)

表紙がイラストになっていて、楽しそうな本だ(この表紙については好き嫌いがありそうだが)。
中身を見てみると、まず詰将棋の説明から入っていて、将棋初心者用の本だと分かる。詰将棋の内容も、本当にやさしい3手から5手が多く、良問が多いと思う。
後半は13手詰まで全部で200問あるが、これだけ初心者用に特化したなら、せめて9手までにして欲しかった気はする。
それでもなかなかいい本だ。
今まで聞いたこともない出版社だが、これからの「フローラル出版」にはちょっと期待したい。

2001年


12月14日
(買ってきました)・・・[初段から五段向け](伸び悩んでいる人に)
○「羽生善治の戦いの絶対感覚」(羽生善治著:河出書房新社:2001年11月刊:1400円)

すべて羽生本人の実戦からテーマ図を作りそこでいかに読み進めるべきかを解説している(巻末にすべての棋譜がある)。内容は、序盤のテーマが18個、中盤のテーマが16個、終盤のテーマが9個だ。
それぞれにかなり突っ込んだ、読み、考え方が書かれており、たいへん参考になりそうだ。ただ、もちろんプロの読みを実戦から解説しているだけに、難しい。初段からとしたが、初、二段クラスで実際に役に立つかどうかは微妙だ。なかなか四段になれない人や、将棋の筋が悪いと良く言われる人などが、一問一問、時間をかけて問題を解いていけばきっと十分な成果が得られると思う。

12月14日
(買ってきました)・・・[4級から三段向け](8五飛戦法の概略を知りたい人に)
○「8五飛を指してみる本」(森下卓著:河出書房新社:2001年11月刊:1300円)

「四間飛車を指しこなす本」と同じような構成で作られている(主要ポイントを次の一手形式にしている)。内容も、前書きに、「アマ2、3級から二、三段のレベルに合わせて作っている」とあるように、全体的に詳しい説明がない代わりに、概略を理解できるように作られていてすらすら読める。
目次には、第1章超急戦の基本、第2章中住まいの攻略、第3章4二玉型への攻防、第4章角交換型への対策と一通り8五飛戦法の変化がある。
ただ、森下独自の考え方と言うものがこの本の中には出てこないのが残念だが、定跡をやさしく解説してしまうと仕方ないのかもしれない。
読みやすく、初段前後の人が何度も読むには良い本だと思う。

12月14日
(買ってきました)・・・[主に初段以上向け](詰将棋が好きな人、若島ファンに)
○「盤上のファンタジア」(若島正著:河出書房新社:2001年7月刊:1500円)

実は発売されたのは7月でちょっと前だったのだが、近くの本屋になかった為、今になった。
この本は、帯にも「若島マジック、炸裂!若島正、最後の詰将棋作品集」とあるように、詰将棋の様々な妙技を見せてくれる問題が全部で100題だ。短いものは5手詰からあるが、十数手から二十数手のものが多く、詰将棋の苦手な人にはちょっと難しいかもしれない。
長いものは、コンピュータに解かせ、最初の手順だけ見て、また考えると言うやり方でも詰将棋の魅力を感じることが出来るかもしれない。

11月15日
(買ってきました)・・・[3級から四段向け](四間飛車を指す人、相手をする人に)
○「東大将棋:四間飛車道場」(所司和晴著:毎日コミュニケーションズ:2001年10月刊:1200円)

将棋ソフト「東大将棋四間飛車道場」の定跡講座を書籍化した本の第二弾。
下の矢倉道場に引き続き出版された本で、やはり私自身は、このソフトを持ってはいない。しかし、この本も矢倉と同じでかなり詳しい。
特に今回は、四間飛車道場の第一巻として、「ミレニアム」戦法(要するに居飛車持久戦の8九玉型)にだけ絞って1冊にまとめられている。今まで、ミレニアムだけについて書かれた本と言うのは出ていないと思うので、四間飛車を指す人には必需品だろう。
第一章ミレニアムの概要、第二章6七金型ミレニアム、第三章6六角型ミレニアム、第四章5五角型ミレニアムという構成になっている。
前回の矢倉道場と一緒で、非常に専門的であるが、この戦型をじっくりと勉強したい人にはいい本だろうと思う。

10月18日
(買ってきました)・・・[3級から四段向け](矢倉を指す人に)
○「東大将棋:矢倉道場」(所司和晴著:毎日コミュニケーションズ:2001年9月刊:1200円)

将棋ソフト「東大将棋矢倉道場」の定跡講座を書籍化した本だ。
私自身は、このソフトを持っていないので、ソフトの講座内容は分からないが、この本はかなり詳しい。
今回は、第一巻として、「4六銀」戦法にだけ絞って1冊にまとめられている。著者の所司プロは、定跡を解説させたら、その分かりやすさには定評があり、実際、雑誌の連載なども明解だ。
今回の矢倉道場の第一巻は、やや専門的過ぎる嫌いがあるが、矢倉をじっくりと勉強したい人にはいい本だろう。
このシリーズの、矢倉以外の戦法も見てみたい。

10月18日
(立ち読みしました)・・・[5級から二段向け](特に初段前後で、伸び悩んでいる人に)
○「これで簡単:形勢判断」(高野秀行著:毎日コミュニケーションズ:2001年9月刊:1200円)

週刊将棋に連載されていた講座をまとめた本だ。
実は自分は、この講座をあまり読んだことがないので、詳しいコメントが出来ない。
ただ、形勢判断について書かれた本と言うのは、ほとんどないので、面白い試みだと思う。内容的には、比較的やさしかったと思うが、特にいろいろな勉強をしても、なかなか棋力がアップしないと言う人には、考え方を身につける方法として役に立つかもしれない。

10月18日
(立ち読みしました)・・・[3級から四段向け](初段を目指す級位者と詰みの苦手な有段者に)
○「新9手詰めパラダイス」(週刊将棋編:毎日コミュニケーションズ:2001年9月刊:1000円)

5手詰、7手詰に続く第三弾。7手詰25問、9手詰60問、11手詰20問を載せている。内容的には、この「新〜」シリーズすべてに言えることだが、やさしく、形も簡素なものが多い。
今回も、立ち読みで、9手詰を何問か解いてみたが、比較的早く解けた。このくらいの問題なら、初段前後の人が、じっくり取り組むのにいいだろうと思う。
「新〜手詰パラダイス」は、これで、5手、7手、9手と揃ったので、自分の棋力に合ったところから始めて、解き終えたら、次へ進むと言うやり方がいいかもしれない。

10月18日
(立ち読みしました)・・・(次の一手などの問題集が好きな人に)
○「四段の終盤」(週刊将棋編:毎日コミュニケーションズ:2001年9月刊:1000円)

下の「初段の終盤」から、「二段の終盤」「三段の終盤」が出版され、その後、この「四段の終盤」が出された。
これは、下にも書いたが、「週刊将棋の段級位認定の四段クラスの中から、特に終盤の問題を集めたもの」だ。
私の個人的な見解は、下にあるのと同じで、問題用に製作されたものが、どの程度棋力向上に役立つかは疑問だ。

7月5日
(立ち読みしました)・・・[3級から二段向け](初段前後で、次の一手などの問題を解きたい人に)
○「初段の終盤」(週刊将棋編:毎日コミュニケーションズ:2001年6月刊:1000円)

週刊将棋の宣伝にこの本が出ていて、題名を見た時、「お、これは面白そうな本だな」と思い、本屋へ見に行った。ところが、独自に終盤のポイントが書かれた本ではなく、「週刊将棋の段級位認定の初段クラスの中から、特に終盤の問題を集めたもの」であった。
この段級位認定問題は、問題用に作ってあるため、個人的には、棋力向上にそれほど役に立つとは思っていない。ただ、どういう手があるか、いろいろと読みを入れて考える、そうすることで棋力が上がる、ということはあると思うので、詰将棋が嫌いで、次の一手などのほうが好きだという人は、面白いと思う。

6月15日
(立ち読みしました)・・・[5級から三段向け](級位者と詰みの苦手な有段者に)
○「新7手詰めパラダイス」(週刊将棋編:毎日コミュニケーションズ:2001年5月刊:1000円)

2月に発売された、「新5手詰めパラダイス」の第二弾。5手詰20問、7手詰60問、9手詰25問を載せている。詰将棋の内容は、前回の5手詰もそうだったが、「詰パラ」のイメージとは違って、やさしく、形も簡素なものが多いようだ。
立ち読みで、5手、7手、9手と何問かずつ解いてみたところ、比較的早く解けたので、同じ手数でも難問を載せているという感じはない。
週刊将棋にも紹介されていた、表紙に載せられている詰将棋をここにも載せておくのでやってみて欲しい。この7手が標準くらいの難易度なので、これを10分前後で解けるくらいの人にちょうどいいと思う。

5月11日
(買ってきました)・・・[3級から四段向け](管理人から全ての人への推薦本)
○「蘇る秘伝大道棋」(湯川博士著:毎日コミュニケーションズ:2001年4月刊:1400円)

この本は、以前出版された「秘伝大道棋」の復刻本。本の体裁が変わっただけで、内容はまったく同じだ。
大道詰将棋とは、昔お祭りなどで、お客さんに出していた詰将棋のこと。詰められれば、賞品をもらえ、間違えるとお金を払うというのが基本だが、そのため、いかにも簡単そうに見えて、実は難しい、というものが多い。
大道棋は、受けの絶妙手の宝庫であり、今まで知らなかった将棋の奥深さが見られるものでもある。この本は、比較的やさしいものを集めてはいるが、それでもある程度難しくなるのは、仕方ない。
3級から、と書いたが、面白いコラムもあるし、少し考えた後、解答を見ても面白いと思うので、級の人でも買って読んで欲しいと思う。
実は、この本が出るちょっと前に、木本書店から6000円の大道棋の本が出版されたと言う情報を得ていたのだが、近くの本屋に入ってこないので、内容を見られないでいた。ただ、聞くところによると、この本は、過去の大道棋を集めただけの本のようだ。いかにしても値段が高いので、前の「秘伝大道棋」が復刻しないかな、と思っていた矢先のことなので、たいへん喜んでいる。
できるだけ多くの人にこの本を手に取ってもらって、詰将棋の面白さを感じてもらえたらと思う。さらに一冊読みきれば、今までとは違った「読み」の力が付くことは間違いない。

5月11日
(立ち読みしました)・・・[6級から二段向け](全体的な棋力アップを図りたい人に)
○「失敗しない仕掛け」(小野修一著:毎日コミュニケーションズ:2001年4月刊:1200円)

週刊将棋に連載されたものをまとめて出版された本。
居飛車と振り飛車に分け、どのように仕掛ければよいか、「暗記するよりコツをつかめ」との主旨で、その仕掛けの方法について解説されている。
本をざっと見たところでは、内容的には、比較的やさしいと思う(週刊将棋の連載を読んでいなかったので、詳しくは分からないのですが)。

4月25日
(立ち読みしました)・・・[6級から二段向け](全体的な棋力アップを図りたい人及び羽生のファンに)
○「羽生の新格言集105」(羽生善治・木屋太二著:日本将棋連盟:2001年4月刊:1300円)

将棋の格言を、羽生の実戦集から解説したもの。通常の格言以外に、将棋を指す上で手筋となっているものや考え方を、新格言として新たに作っている。
ただ、羽生の実戦の一場面から取って、格言の解説をしているため、正直ちょっと分かりづらい。というのは、当然プロ同士の対局なので、格言に出てくるような明らかに分かりやすい局面と言うものはないからだ。たとえば、「桂の高跳び歩のえじき」にしても、アマ初級者のように単純に桂が取られることはなく、代償があるのが普通だ。それ故、解説用に盤面を作成したものとは違い、分かりづらいのだ。
級位者が読む場合の分かりやすさから言えば、1999年発行の「将棋格言豆事典」の方がいいだろう。ただ、新たに追加した新格言は、なるほどと思わせるものも多く、特に羽生ファンにとっては、棋力アップを羽生の名場面から勉強でき、こたえられない一冊となっている。

4月19日
(立ち読みしました)・・・[棋力に関係なく](将棋の歴史に興味ある人に)
○「持駒使用の謎」(木村義徳著:日本将棋連盟:2001年3月刊:2000円)

将棋博物館館長である著者が、日本将棋の起源を解明した本。
1997年6月から1998年10月にかけて17回にわたり、将棋世界誌に「2000年の将棋史」として連載したものを加筆、修正してまとめたもの。
豊富な文献資料を引用しており、将棋の起源を知る上で、大変貴重な本だと思う。

3月14日
(買って来ました)・・・[3級から五段向け](横歩取りをする人とプロ将棋を鑑賞したい人に)
○「横歩取り△8五飛戦法」(中座真著:日本将棋連盟:2001年2月刊:1500円)

横歩取り8五飛戦法の創始者、「中座真」が書き下ろした定跡書だ。
単行本の大きさで、ページ数は300ページに及ぶ。しかも、実戦譜は最後にちょっと参考棋譜として載せられているだけで、ほとんどは、研究された定跡の解説になっている。大作だと思う。
中は4章に分かれていて、第1章、基礎知識編、第2章、対▲5八玉型の攻防、第3章、対▲6八玉型の攻防、第4章、対▲8七歩保留型の攻防となっている。
まだ前半しか読んでいないが、様々な変化が分かりやすく書かれている。その内容から級位者にはちょっと難しいかもしれないが、プロ将棋を見る上で、ある程度こういった知識を仕入れておけば、より面白いのは間違いない。私も今度の名人戦までに、2、3回は読んでおくつもりです。

2月21日
(常連が持って来ました)・・・[7級から三段向け](級位者と詰みの苦手な有段者に)
○「新5手詰めパラダイス」(週刊将棋編:毎日コミュニケーションズ:2001年1月刊:1000円)

以前発売された、「5手詰めパラダイス」の続編で、3手、5手、7手の短編傑作集となっている。詰将棋の内容だが、「詰パラ」のイメージとは違って、やさしいものが多いような気がする。
ただ、最初のやさしい3手詰と後半の難しい7手詰では、かなり対象棋力が違う。できれば、3手、5手くらいで一冊にして欲しかった。
また、実戦のための、と言うより、パズル的な意味合いのものの方が多い。級の人や、有段者でも、詰みの苦手な人には、ちょうど良いと思うので、楽しみながら挑戦してみて欲しい。

2000年


1月26日(去年出た本なので、こちらに載せています)
(立ち読みしました)・・・[7級から二段向け](級位者の人が手筋を会得するために)
○「見えたら初段:詰将棋100次の一手100」(週刊将棋編:毎日コミュニケーションズ:2000年12月刊:1200円)

週刊将棋に載った、詰将棋と次の一手から出題されている。問題の質は良いので、週刊将棋を取っていない人には、お勧めだ。
詰将棋は、3手と5手詰。次の一手は、週刊将棋の上級向けから中終盤の局面(但し3択の候補手をなくしている)を出題している。この二つは、普通の詰将棋の本、次の一手の本と変わらない。
そして、もう一つ、題名にはないが、「囲いの崩し方」のページがある。美濃や矢倉など、囲いごとに、その崩し方の手筋が書かれており、これが結構初心者には役に立つのではないかと思う。
すべて解いた訳ではないので、あくまで、私の感じだが、「囲いの崩し方」は、7級から4級くらい。「詰将棋」は6級から2級、「次の一手」は3級から二段前後にちょうどいいかな、と思う。

12月20日
(常連が持ってきました)・・・[4級から四段向け](角換わりの最新定跡を知りたい人に)
○「谷川の21世紀定跡1/角換わり編」(谷川浩司著:日本将棋連盟:2000年11月刊:1300円)

角換わりの最新状況について解説されている。
前書きに代えて、角換わりの変遷が説明されており、良く知らない人にとっても、たいへん分かりやすい。内容は、第1章すたれた先後同型、第2章角換わりの原理、第3章最新の△6五歩型、第4章後手棒銀の戦い、第5章実戦編となっている。各章の始めに、「羽生の頭脳」みたいに、局面図が載せられており、「光速の見解」として、その局面がどうなのか書かれていて、これも一目で内容を見るには、非常に分かりやすい。
やや実戦編にスペースが多く取られているのは不満だが(約3分の1が第5章)、内容は文句ない。
私は、近くの本屋にまだ、置いてないので、見られなかったのだが、(角換わりは指さないけれども)一般常識として、後でこの本を買って来るつもりでいる。

12月8日
(立ち読みしました)・・・[4級から四段向け](こういう戦法を指してみたい人に)
○「ゴキゲン中飛車戦法」(近藤正和著:日本将棋連盟:2000年11月刊:1300円)

角道を止めずに攻める力戦中飛車、通称「ゴキゲン中飛車」の解説書。
前に将棋世界に、連載されていたが、おそらくはそれを中心にまとめたものだと思うが(将棋世界をまとめたものとは書いてない)、急戦から持久戦まで、幅広く、定跡を解説しており、力戦中飛車を指してみたい人とか、何か得意戦法を持ちたい人には、かなり参考になる本かもしれない。
各章ごとに復習になる次の一手もあり、また、参考棋譜は、最後の方に、まとめてポイントだけ載せていたのも、その分定跡部分が多くなって好感が持てる。
私は、まず指さないので、買って来なかったが、本の内容は、良さそうなので、(場合によると)後で買いに行くかもしれない。

11月30日
(買ってきました)・・・[3級から四段向け](相振りを指す人には絶対の一冊)
○「新相振り革命」(杉本昌隆著:毎日コミュニケーションズ:2000年10月刊:1200円)

前作「相振り革命」も分かりやすい解説であったが、今回もはっきりした定跡のない相振りを、分かりやすく説明している。
第1部研究編と第2部実戦編に分かれているが、それより前に、相振り飛車の基本というページが7ページあり、そこには、相振りでは、なぜ向かい飛車が多く、四間飛車が少ないのか、その理由が明解に書かれており、それだけでも役に立つ。
研究編は、相三間の他、美濃や矢倉を中心に実戦に即して研究されている。
前作「相振り革命」は金無双が主なので、相振りを指す人にとっては、この2冊がバイブルとなり得るかもしれない。

10月31日
(買ってきました)・・・[7級から二段向け](詰将棋の好きな人と嫌いな人にお勧め)
○「あっと驚く三手詰」(森信雄著:講談社:2000年10月刊:950円)

スーパートリックで有名な森信雄の三手詰詰将棋集。
帯に、初心者感動、有段者茫然とあったし、何と言っても著作が森信雄なので、かなり期待していた。
ちょっと期待が大きすぎたせいか、正直言うと、それほど難しい内容ではなく、少々拍子抜けした感がある。
前書きに「棋力アップというよりも、個性ある駒の動きの不思議さユニークさ、そして詰みの迷路の楽しさを味わっていただけたらと願っている」とあるように、詰将棋をそれほどたくさんこなしていない人にとっては、有段者といえども、偽作意に惑わされたり、なかなか面白いかもしれない。
実戦型ではないのだが、楽しみながら、200題を解くことで、読みの訓練にもなり、それなりに実戦にも役に立つと思う。
また、個人的には、こういう本は好きなので、出来る限り多くの人に読んでもらい、詰将棋の面白い一面を知ってもらえれば、と思っている。

10月31日
(立ち読みしました)・・・[4級から三段向け](振り飛車に悩まされている人に、一つの考え方として)
○「高田流新感覚振り飛車破り」(高田尚平著:毎日コミュニケーションズ:2000年9月刊:1200円)

週刊将棋に連載されていた講座を、大幅に書き加え、まとめたもの。
振り飛車対策として、変幻位取り戦法と左玉戦法といった、今までの定跡本にはない戦法が紹介されている。
週刊将棋連載中は、私自身は、ほとんど読んでいなかったので、あらためて、中を見てみた。
戦法そのものは、なかなか味があって面白そうだが、実戦をもとに解説しているだけで、特にこういった定跡にない戦法は、読む人にとってどれほど役に立つかは疑問だ。
ただ、将棋というものは、固定観念にとらわれず、奥の深いものだと再認識させられる。

10月7日
(立ち読みしました)・・・[7級から初段向け](終盤の力をつけたい級位者にお勧め)
○「将棋の力をつける本」(武市三郎著:毎日コミュニケーションズ:2000年9月刊:1400円)

週刊将棋に連載されていた、「目指せ初段」を大幅に書き加え、まとめたもの。
中は4章に分かれているが、詰みの手筋や必死のかけ方など、速攻で強くなるための、基本的な筋が解説されている。
将棋の基本的な筋は、本来なら、時間をかけて、実戦などで、身につけていくものであるが、これらを理論的に解説しているこのような本を何度も読むことで、いち早く身に付けることができるかもしれない。

10月7日
(買ってきました)・・・[8級以上](プロ棋界に興味を持っている人にお勧め)
○「百人の棋士、この一手」(田中寅彦著:東京書籍:2000年9月刊:1600円)

この本は、週刊文春に二年間連載されたものをまとめたものであり、表題通り、田中寅彦が、今までに戦った、プロ棋士百人について、様々な思いを込めて、語っている。
ベテランから若手まで(どちらかというとベテランが多い)、熱く語られており、プロ棋士について興味を持っている人には面白いと思う。本文には、図面もあり、そこで指した手の解説もあるので、ある程度、棋力があれば、より面白いだろう。

9月8日
(買ってきました)・・・[5級から四段向け](先崎の文章が好きな人にお勧め)
○「先ちゃんの順位戦泣き笑い熱局集」(先崎学著:日本将棋連盟:2000年8月刊:1500円)

先崎が、過去戦った、順位戦20局が収められている。
しかし、その棋譜と解説だけだったら、たいして面白くもないが、この解説が、「先崎流」。
以前、出版された、「世界は右に回る」も面白かったが、このノリで、今回の解説も書かれている。もちろん、手の解説もあるが、それ以外に、当時の心の動きまで、楽しく読ませてくれる。
私は、本屋で、パラパラッと、本をめくり、すぐに買って来てしまった。先崎の対局なので、当然、居飛車ばっかりであるが、そのことに関係なく、この解説は面白いと思う。
いつも辛口になってしまう、「実戦集の単行本」で、私がこれだけ誉めるのは、珍しいかも。(半分はエッセイとも言える)

9月8日
(立ち読みしました)・・・[5級から四段向け](対振りの実戦を並べたい人にお勧め)
○「実戦の振り飛車破り」(郷田真隆著:日本将棋連盟:2000年8月刊:1200円)

郷田八段の初めての著作であり、表題にあるように、居飛車と振り飛車の実戦集である。
内容は、対四間飛車10局を中心に、三間飛車、向かい飛車、中飛車がある。また、郷田が振った対局や、振り飛車が、勝ったものも収められていて、対振りの実戦を勉強したい人に役に立つだろう。
ただ、解説をちょっと読んだ限りでは、際だった特徴はなく、普通の解説になってしまっているのは、ちょっと残念。
毎回言うように、この人でなければ、「書けない」解説が欲しい気がする。

7月26日
(買って来ました)・・・[6級から四段向け](詰将棋に興味を持っている人たちにお勧め)
○詰将棋手筋教室(村山隆治著:毎日コミュニケーションズ:2000年6月刊:3800円)

非常に解説、評価の難しい本だ。
前書きをそのまま抜粋すると、「ただ平易な問題を羅列するのみの入門書ではなく、詰将棋を可能な限り形と筋によって系統的に分類をし、その考え方と解き方のコツを単純明快に講述することによって、従来に全くない規範となる画期的な詰将棋の独習書となった」とあるように、内容的には詰将棋の手筋を分類した本であり、力作と言える。
ただ、値段がかなり高く、どういう人が読むだろうかと考えたとき、ちょっと首をかしげてしまうのだ。詰将棋の入門書と名打ってはいるが、その内容の性格上、それほどやさしくはない。3級から初段くらいで、詰将棋に興味を持ち始めた人には、非常に面白いかもしれないが、棋力アップの為に詰将棋をやろうという人には、役に立つかどうか疑問だ。
しかし、再度言うように力作ではある。一度、手にとって、内容を見て欲しい本だ。

7月4日
(立ち読みしました)・・・[6級から二段向け](四間飛車の定跡を学びたい級位者から、定跡を知らない有段者にお勧め)
○将棋最強塾「四間飛車を指しこなす本3」(藤井猛著:河出書房新社:2000年6月刊:1300円)

将棋最強塾8冊目の本であり、指しこなす本の三冊目。
やはり前2冊と同じような構成になっており、今まで読んで、役に立ったという人は、またこの本も役に立つに違いないと思う。
内容は、藤井システムの応用の他、左美濃、中央位取り、玉頭位取りの対策について書かれている。
私自身は、ほとんど知っている内容だったので、買わなかったが、一般的に定跡の本は、細かい変化が多いため、一冊読破するのにかなり時間がかかる。その点、このシリーズの本は、三冊とも、次の一手形式で書かれているので、比較的すらすらと読み進められるはずで、級位者向けの定跡書として、お勧めしたいと思う。

7月4日
(立ち読みしました)・・・[6級から二段向け](藤井システムを学びたい級位者から、知らない有段者にお勧め)
○将棋最強塾「四間飛車を指しこなす本2」(藤井猛著:河出書房新社:2000年5月刊:1300円)

将棋最強塾7冊目の本であり、前作1の続き。
形式も前作と同じ方法を取り、読みやすい。
この2冊目は、対居飛車穴熊について、4六銀の速攻の他、6六銀、4八飛など様々な振り飛車側の戦法が解説されている他、藤井システムの基礎についても解説があり、戦法の中では、難しいと思われる「藤井システム」について、すらすらと読み進めるだけで、理解することができるようになっている。

5月25日
(買ってきました)・・・[5級から四段向け](四間穴熊と力戦振り飛車を指す人にお勧め)
○「攻める振り飛車」(鈴木大介著:日本将棋連盟:2000年4月刊:1200円)

四間飛車穴熊と力戦振り飛車の実戦集であり、5局づつ計10局が収められている。
実戦集の単行本については、毎度辛口になってしまうが、この本も、普通の実戦集という感じで、際だった特徴もない。
この本の中に、ミニコラムとして、鈴木大介の将棋上達法についての考えが載っているが、こういったコラムを10個くらい挿入しただけでもずいぶん違った感じの本ができるんじゃないかな、とちょっと残念に感じてしまう。
でも、四間穴熊や、力戦振り飛車を指す人には、必需品です。

5月25日
(立ち読みしました)・・・[2級から四段向け](詰将棋に興味を持った人に)
○「あぶりだし詰将棋」(岡田敏著:毎日コミュニケーションズ:2000年4月刊:1200円)

題名通り、あぶりだし詰将棋を100問以上収録しているユニークな詰将棋の本だ。
実は私も買ってこようと思い、本屋へ出かけたのだが、内容をみてみたら、ちょっと解く気がしなくなってしまった。
ほとんどの作品が、非常に駒が多く、一目見ただけで、難解そうな感じを与えてしまうのだ。あぶりだしという性格上、駒の多さはしかたないのかもしれないが、多くの実戦派の人は、解く気がしないと思う。
せっかくあぶりだしという、特殊な楽しい詰将棋の作品を載せたのなら、もうちょっとやさしい(駒の少ない)作品を混ぜて欲しかった気がする。

4月6日
(買ってきました)・・・[6級から二段向け](四間飛車の定跡を学びたい級位者から、定跡を知らない有段者にお勧め)
○将棋最強塾「四間飛車を指しこなす本1」(藤井猛著:河出書房新社:2000年3月刊:1300円)

将棋最強塾6冊目の本。
但し、今までの本と違い、内容はやさしい。次の一手形式で、定跡を学べるように工夫してあり、すらすらと最後まで読み進めることができる。中は、斜め棒銀、6五歩早仕掛け、最短の仕掛け(6四銀戦法)、山田定跡、棒銀、矢倉引き角、終盤の手筋に分かれている。
構成も、河出書房新社らしく、「まず、右ページだけを読み進め、最後までいったら、本をさかさまにし、また右ページだけを読み進める」というように、面白く作られている。
唯一、ちょっと不満を言うなら、矢倉引き角の代わりに、右四間飛車を加えて欲しかった、ということぐらいだ。
定跡を学びたい級位者だけでなく、定跡をあまり知らない、有段者にも充分役に立ちそうだ。

4月6日
(買ってきました)・・・[8級から二段向け](駒落ちを指す機会のあるすべての人にお勧め)
○「駒落ち定跡」(所司和晴著:日本将棋連盟:2000年3月刊:3000円)

将棋世界に連載していたものを、さらに書き加え、一冊の本にしたもの。
3000円と少々高いが、ページ数は、480ページと重量感は充分だ。また、8枚落ちから、香落ちまで、非常に分かりやすく解説されており、駒落ちを指す人には、是非1冊持っていてもらいたい本でもある。指し手そのものは、将棋大観をベースに、さらに研究を加えたという感じだが、大観とは違い、口語体なので、読み易さはこちらの方がだんぜん良い。
ただ、私の個人的な考えだが、香落ちを解説している部分をもっと二枚落ちに割いて欲しかったな、と思っている。アマチュアに香落ちはなじまない(理由を説明すると長くなるので省くが)と考えているからである。
しかし、将棋大観に代わり、駒落ちのバイブル的存在になり得ると思う。

3月10日
(常連が持ってきました)・・・[初段から五段向け](ある局面におけるプロの考え方を学びたい有段者にお勧め)
○最強将棋塾「戦いの絶対感覚」(森内俊之著:河出書房新社:2000年2月刊:1400円)

最強将棋塾五冊目の本だ。
中は、3章に分かれており、序盤、中盤、終盤と、実戦からある局面を取り出し、そこでの読みを解説している。
テーマは、全部で42。1月に出版された、佐藤康光著「戦いの絶対感覚」と全く同じ構成と言っていい。それを、今度は、森内が出したと言うこと。
内容は、やはりかなり難しい。同じ河出書房新社の本で、「読みの技法」や佐藤の「戦いの絶対感覚」が良かったという人には、この本も勧めることができ、これらの本が役に立たなかったと言う人には、この本もまた役に立たない、と思う。

3月2日
(買ってきました)・・・[2級から四段向け](振り飛車穴熊の指し方を学びたい2級以上の人にお勧め)
○「スーパー穴熊」完結編(小林健二著:毎日コミュニケーションズ:2000年3月刊:1200円)

週刊将棋に連載されたものを、加筆して、まとめたものだ。
1部定跡編と2部実戦編に分かれていて、その1部は、さらに、1章「振り飛車穴熊のルーツを探る」と2章「激闘!相穴熊」に分かれている。ページ数でいうと、1章が86ページ、2章が52ページ、2部が5局で73ページとなっている。
メインである2章のページ数が少ないなど、定跡を詳しく勉強したい、と言う人には、ちょっと不満が残るかもしれない。
ただ、私は、過去の穴熊の実戦譜が解説されている、1章も、面白く読ませていただいた。1章以外は、今までに出版された、コバケンの振り飛車の本と同じような構成になっていると思っていい。

3月2日
(買ってきました)・・・[初段から五段向け]
○「つみのない話」(勝又清和著:毎日コミュニケーションズ:2000年2月刊:1200円)

副題に「投了後の逆転」とあるように、プロが見逃した詰みの局面を集めた本である。
面白そうなので、買ってきたが、問題の「詰み」は、プロが逃したと言うだけあって、相当難しい。このHPの難解な「実戦の詰み」と同じか、それ以上の難解さだ。
したがって、「終盤の強化に」と思って、初段くらいの人が読んでも、おそらく役に立たないと思う。
ただ、この本には、コラムとして、終盤の話が、27個載っている。このコラムは、読んでいるだけでも楽しい。
読み物としては、なかなか面白いが、棋力向上の本としては、四段以上の人でなければ役に立たなそうだ、ということを考えた上で、買ってみて下さい。

2月4日
(常連が持ってきました)・・・[初段から五段向け]
○最強将棋塾「戦いの絶対感覚」(佐藤康光著:河出書房新社:2000年1月刊:1400円)

最強将棋塾四冊目の本だ。
中は、3章に分かれており、序盤、中盤、終盤と、実戦からある局面を取り出し、そこでの読みを解説している。
テーマは、全部で52。前に、「読みの技法」という本が出ているが、構成は同じような感じだ。それを、佐藤一人の考えで、進めている、ということである。
内容は、かなり難しいと思う。一応、初段からと書いたが、三〜五段にちょうどいい感じだ。
使用した実戦譜が、最後にまとめて小さく載せてあるのもいいし、なにより、テーマ毎に、佐藤流分析として、考え方を披露しているのがとても役に立ちそうだ。
一問一問、盤に並べながら考えたら、相当力が付きそうなか気がする。
但し、再三言っておきたいが、かなり難しいので、本をさらっと読み進めてしまう人には、役に立たないので、注意して下さい。

ここから下は、1999年に出版された将棋の本についての紹介・感想です。

(ランク付けについて)
出来るだけ客観的にランクを付けていきたいと思いますが、人により評価は違うものです。あくまで目安としてお使い下さい。
Aは、対象とする段級位の人には、是非勧めたい本。
Bは、良い本なのだが、あまり一般的でないなど、すべて良しとはいえない場合。
Cは、可もなく不可もない普通の本又は長所短所があり、全体ではCになるという場合。
Dは、一部に欠点があったり、ちょっと普通の本より劣る場合。
Eは、人には勧められない本で、買わなきゃ良かったと感じた本。


12月24日
(常連が持ってきました)・・・[2級から四段向け]ランクC
○窪田流四間飛車2 (窪田義行著:毎日コミュニケーションズ:1999年12月刊)

副題に「撃退!右四間」とあるように、ページの大半が右四間飛車に対する、四間飛車の指し方の解説である。
従来の単純な右四間飛車は、なかなか居飛車、うまくいかないが、8筋も突かない急戦や、左美濃、穴熊は、振り飛車にとっても、結構やっかいだ。この辺の指し方が、解説されていて、そういう意味では、貴重な本と言えるかもしれない。
ただ、この種の本全般に言える事だが、実戦編がかなりの部分を占めている上に、7二飛急戦についても解説している為、メインである、対右四間定跡の変化が、あまりに少なすぎるのは、おおいに不満が残る。

12月24日
(買って来ました)・・・[3級から四段向け]ランクC
○超過激!トラトラ新戦法 (田中寅彦著:日本将棋連盟:1999年12月刊:1200円)

この題名を見たときは、何か奇襲戦法かと思い、買う気は全然なかった。
しかし、本屋で、中身をみたら、実戦でも使っている、「無理矢理矢倉」についての解説であったり、それ以外でも、「序盤のエジソン」田中が、創作した、「ちゃんとした戦法」の解説書であったので、買ってみることにしたのである。
内容は、「無理矢理矢倉」の他、「串カツ囲い」「田中流棒銀」「矢倉早囲い」について書かれている。
ただ、研究した変化を書いているのではなく、実戦をもとに、その解説をしているだけだ。したがって、ちゃんとした定跡書(研究書)でないのが不満だ。内容は、分かりやすく、使えそうな戦法であるだけに、表題と中身との不一致も含め、構成にちょっと疑問が残る。

11月23日
(買って来ました)・・・[3級から四段向け]ランクC
○続・[定跡]相振り飛車 (小林健二著:日本将棋連盟:1999年10月刊:1200円)

前著[定跡]相振り飛車の続編である。
金無双、矢倉、穴熊、美濃と囲い別に戦い方が、解説されている。
内容は、分かりやすいが、幅広く解説したため、いまいち変化の説明が足りないようにも感じる。
全体的には、可もなく不可もなく、といったところか。
相振り自体の本が少ないという意味では、貴重な本かもしれない。

11月23日
(買って来ました)・・・[3級から五段向け]ランク付け不要
○看寿賞作品集 (詰将棋パラダイス編:毎日コミュニケーションズ:1999年10月刊:3800円)

すぐれた詰将棋作品に送られる、「看寿賞」を集めて、詳細な解説を入れた作品集である。
ランクはあえて付けなかった。詰将棋の魅力を知っている人にとっては「ランクA」であり、全く興味のない人にとっては、「ランクE」だからである。
また、棋力は3級から、五段向けとしたが、長編が多いので、級位者では、かなり難しいかもしれない。
ただ、詰将棋が好きなら、全部を詰まそうとするのではなく、その手順を並べて見るだけでも、十分に堪能できる。
私も、時間をかけて読んでいきたいと思っている。

11月23日
(常連が持ってきました)・・・[初段から五段向け]ランクC
○未来の定跡「8五飛戦法」 (森下卓著:河出書房新社:1999年10月刊:1400円)

今、プロ間で最も話題になっている、8五飛戦法の本。
まだ、新しい戦法であるが故、当然のごとく、はっきりした定跡手順というものはない。
この本も、8五飛戦法を研究して、発表したのではなく、今までに出た実戦譜を解説したものだ。ただ、解説内容など、本そのものは、「河出書房新社」の他の本と同じで、かなり読みやすく作られている。
8五飛を指すか指さないかを別にしても、居飛車党なら、持っていなくてはならない本と言える。

10月21日
(常連が持って来ました)・・・[2級から四段向け]ランクB
○これにて良し? (高野秀行著:毎日コミュニケーションズ:1999年9月刊:1200円)

副題に「四間飛車VS急戦定跡再点検」とあるように、四間飛車と居飛車急戦について書かれている本である。
また、題名に「これにて良し」の後に?があるように、今までの定跡でこれにて良しと言われた局面が、本当に良いのか、また、そこからどう指すのかといったことを検証、解説している、今までにない本である。
対象としては、定跡を良く知っている、初段前後の人から有段者の人には大変役に立つ本だと思う。
実際、私自身、右四間飛車の変化で、振り飛車側を持って、自信の持てない局面(今までの定跡書では振り飛車良し)を見てみると、居飛車が勝ちやすい将棋となっていた。
当然の事ながら、限られた誌面では変化の一部しか載っていないが、それでも、四間飛車党、居飛車急戦党なら一度は読んでおきたい本だ。

10月21日
(立ち読みしました)・・・[棋力関係なし]ランク付け不能
○[証言]将棋昭和史 (田辺忠幸著:毎日コミュニケーションズ:1999年9月刊:1900円)

加藤治郎、原田泰夫の話でつづられた、将棋昭和史の話である。
巻末に詳細な棋界年表を掲載しており、重量感ある本に仕上がっている。
本屋で立ち読みしたのだが、ちょっと読んだくらいでは、とても内容を把握できるような本ではなかった。
将棋の歴史的な話に興味のある人なら、これ以上ないというくらい面白い本と評価するかもしれない。
ただ正直なところ、私は(あくまで私は)、あまり興味が持てなかったので、買ってこなかった。

9月17日
(買って来ました)・・・[初段から五段向け]ランクA
○未来の定跡「現代矢倉の闘い」 (森下卓著:河出書房新社:1999年8月刊:1300円)

5月に出版された「現代矢倉の思想」の続編である。この二冊は、現代矢倉を解説したものとしては、トップレベルの解説書と言える。前に、「思想」は立ち読みしたとしてこの欄に紹介したが、その後、購入して全部読み終えた。二冊目のこの、「闘い」では、現代主流となっている4六銀の形から詳しく解説されている。
この二冊について、私が最も好感を持てるのは、形勢判断の書き方である。今までの本は、「一般的にこれで良し」のような書き方しかしていないが、この本では、私(森下)の考えとしては、こうだ、とか、私ならこの局面で後手を持ちたい、とか、この手は悪手だと思うが、プロ棋士でも指す人がいる、とかいう風に、かなり主観的に表現しているところだ。
トッププロである、森下がどう考えているかが分かって、今までにない面白い本になっていると思うのである。

※振り飛車党の私としては、振り飛車党のプロ棋士に、こういった主観的な本を出してほしい。戦う上で、やりづらくなるかもしれないが、「この手は居飛車の定跡であるが、実は私はありがたいと思っている」などという風にはっきり意見を書いた定跡書があったら、特Aランクで推薦したい。

8月23日
(買って来ました)・・・[8級から初段向け]ランクA
○将棋格言豆事典 (浦野真彦著:毎日コミュニケーションズ:1999年8月刊:1200円)

題名を見たときには、買ってこようとは思わなかったのだが、本屋で見るとなかなか良さそうなので、思わず買ってしまった。
もともと、将棋の格言を扱った本というのはそんなに多くなく、有段者は、人から聞いたり、雑誌等で見たものを自然に覚えていく人がほとんどだと思う。
この本は、格言の解説を、頻繁に出てきそうな実戦や手筋をまじえ、非常に分かりやすく解説している。とにかく全ての内容が、実戦でそのまま使えそうなものばかりなので、何度もこの本を読めば、確実に棋力アップを計れそうだ。
級位者向けの本としては、久々の良書だと思う。

8月23日
(買って来ました)・・・[6級以上向け]ランクB
○勝敗を分けるもの (青野照市著:毎日コミュニケーションズ:1999年7月刊:1300円)

四年前に出された「勝負の視点」の新版で、棋譜の解説と言うよりは読み物に近い。
現在も連載が続いている、近代将棋の「実戦青野塾」を中心に過去連載されたものをまとめた本だ。
青野の本や解説は分かりやすく、この「実戦青野塾」も、近将の中ではもっとも楽しみにしている記事で、当然この本もかなり面白い。
ただ、実戦を解説している部分も多く、初級者にはちょっと難しい箇所があるかもしれない。それと唯一の不満であり、評価をBにした理由であるが、単行本化するに当たり、追加された記事がなかったのは残念だ。単に過去の連載を収録しただけでは、単行本を買う者としてはちょっとつまらないと感じでしまう。

8月23日
(買って来ました)・・・[3級から五段向け]ランクB
○最強藤井システム (藤井猛著:日本将棋連盟:1999年7月刊:2000円)

二年前に出された、「居飛車穴熊撃破-必殺藤井システム-」の新版である。
この二年間で、藤井システムに対する居飛車側の対策も進んできており、その対策に対する対策といったことが載せられており、振り飛車党にとっては必見の本である。
ただ、相変わらず内容はかなり難しい(わずかの差で攻めのパターンが変わる)。
また、ここで評価している全ての本についていえることだが、個人的には「実戦集」を高く評価していない。この本も、ほぼ半分のページが実戦集に割かれているのは、おおいに不満の残るところだ。(さらに難しくなってしまうかもしれないが)、もっと多くの変化手順を知りたかった。

8月23日
(立ち読みしました)・・・[6級から初段向け]ランクC
○アマの将棋ここが悪い(1)序・中盤の急所 (桐山清澄著:(株)創元社:1999年6月刊:1000円)

第1章から第4章まで、次の一手形式で問題が載せられている。
振り飛車、対振り、矢倉、その他といった内容であるが、問題はなかなか役に立つものが多いように思う。ちょうどうちの棋力判定問題集に、詳しい解説が付けられているといった感じだ。

7月3日
(常連が持ってきました)・・・[4級から三段向け]ランクC
○最強将棋塾「将棋新理論」 (谷川浩司著:河出書房新社:1999年6月刊:1300円)

最強将棋塾の三冊目で、駒の特性から解説したこれも異色の本である。
歩から玉まで、まず、基本的な駒の特性を解説した後、その駒を使った実戦譜でより詳しい解説をするという形式で進められている。
まえがきに「上級者には高度な将棋の本質を、中級者には一層の飛躍のための考え方を、初級者には効率よく上達するための秘訣を伝えたいと思っている。」とあり、また本の内容も決して悪くはないのだが・・・。
この本を読む限り、対象の段位がよく分からないのだ。駒の特性の解説では、3級から、6級くらいを対象にしているように取れるが、実戦譜の解説になると、かなり高度な内容になり、有段者でないと理解できないようなところが多い。
内容と切り口は評価できるが、対象を級位者なら級位者、有段者なら有段者とはっきりして欲しかった。
また、さらに注文を付けるなら、谷川でなければ書けない本を書いて欲しい気もする。

7月3日
(常連が持ってきました)・・・[4級から三段向け]ランクC
○81マスどこでも詰ませる5・7・9手 (岡田敏著:毎日コミュニケーションズ:1999年6月刊:1000円)

題名にあるように、王様のいる場所を上・中・下段に分けて詰将棋が105題載っている。
この人の作品は手筋ものが多く、まえがきにもあるように、「詰将棋は苦手だが、5手〜9手までの一桁物ならやってみようかな」と思う方を対象にしてある。
級の人ではちょっと難しいかもしれないが、時間をかければ解けると思う。詰将棋の苦手な有段者にはちょうどいいだろう。

7月3日
(常連が持ってきました)・・・[初段から五段向け]ランクB
○矢倉3七銀分析(上) (森内俊之著:毎日コミュニケーションズ:1999年4月刊:2000円)

出ていたのは知っていたのだが、近くの本屋になく、見られないでいた(上の二冊はあります)。
矢倉の3七銀型だけを解説した、従来にない異色の本と言える。
中は5章に分かれていて、順に、7五歩早仕掛け編、4三金右編、8五歩編、脇システム(6四角に4六角とぶつける)編、急戦6五歩(6四角に6五歩)編と5章からなる。
図面を多用し、解説も分かりやすい。
欠点は二つ。一つは、普通の単行本よりやや大きいとはいえ、2000円は将棋の本としては、やや高い感じを受けること。二つ目として、序説に、基本図に至るまでの分かりやすい矢倉の概略を載せて欲しかったことだ。
しかし本は読みやすく、参考棋譜が、小さく全部載せてあるのと、付録として分析チャートがあるのもいい。矢倉を指す有段者の人にとっては後悔しない良書と言えそうだ。

7月3日
(立ち読みしました)・・・[5級から初段向け]ランクD
○自然流中原誠の振り飛車破り (中原誠著:東京出版:1999年6月刊:1500円)

中飛車、四間飛車、石田流の3章に分かれて解説してある、定跡本だ。
中飛車は、原始中飛車から解説してあり、内容的には、ほとんど定跡を知らない人向けと言える。
私自身、級位者向けの易しい定跡書を出してもらいたいのだが、なかなか「これは」というような本に出会ったことはない。
この本も、あくまで「易しい一つの定跡解説本」としかいいようがない。図面と、棋譜の表記の仕方も、(作った人は)初心者向けに分かりやすく、と思ったのかもしれないが、一般の本と違うので、返って見づらいものになってしまっている。

6月3日
(立ち読みしました)・・・[初段から五段向け]ランクA
○未来の定跡「現代矢倉の思想」 (森下卓著:河出書房新社:1999年5月刊:1300円)

河出書房新社から出ているが、将棋最強塾とは別シリーズのようだ。
全部で、222ページ、中は6章に分かれていて、矢倉の基本の解説に始まり、加藤流、森内流、郷田流、佐藤流と難解な矢倉をかなり分かりやすく説明している。
ただ、内容はかなり高度だ。矢倉の定跡をある程度は知っていて、たとえば早い時期に7七銀と上がらない理由などを(漠然とでも)答えられる人には、非常に参考になる定跡本と言えるだろう。
買うかどうか迷った上、ランクもAかBか迷った。矢倉の解説という特別な分野で、さらに河出書房新社の本ばかりAにしては、という思いもあったが、それだとかえって不当なので、他の矢倉の本を考えた場合、間違いなくトップに推したい本という意味で、Aにした。
森下が以前著した「森下の矢倉」(私の本棚にある)に比べたら、格段にこちらの方がいい(力作だ)。

5月7日
(立ち読みしました)・・・[10級以下]ランクB
○一人で強くなる将棋入門 (伊藤果著:日本文芸社:1999年4月刊:1000円)

駒の動かし方も知らない、入門者向けの本である。
「初心者の方へ」というページに、お勧めの本を載せようと思い、入門用の本をいくつか見ていたときに偶然見つけた本である。内容は、駒の動かし方、実戦の進行方法、1手3手の詰みなどあるが、他の入門者用の本と比べてもたいへん分かりやすく作られていた。
ここを見に来る人にはあまり関係ないかもしれないが、早速「初心者の方へ」のページに追加しておいた。

5月7日
(買って来ました)・・・[初段から五段向け]ランクA
○最強将棋塾「これが最前線だ!」 (深浦康市著:河出書房新社:1999年4月刊:1400円)

この本は三部構成になっている。第一部は振り飛車、第二部は矢倉、第三部は居飛車であり、全部でテーマを50個設け、それぞれについてかなり詳しく、最前線の定跡について解説されている。
最強将棋塾、二冊目の本であるが、この本も文句なくいい。内容、分かりやすさ、テーマ図、値段など全てにAランクをあげたい。ただ、全ての人に勧められるかと言うとそうでもない。棋力的には有段者であれば、理解できると思うが、とにかく定跡を知っていることが前提になりそうだ。対振りで、5四歩と6四歩の違いによる山田定跡の攻め方の違い、森下システムや雀刺しの変遷、最新横歩取りの変化等を知っている人なら、間違いなく面白いと思うだろう。
四段くらいの人でも、力戦が得意で、定跡を知らない人が買ってもあまり面白くないかもしれない。

5月3日
(常連にもらいました)・・・[初段から五段向け]ランクA
○最強将棋塾「読みの技法」 (島朗著:河出書房新社:1999年3月刊:1300円)

前々から見たいと思っていたのだが、近くの本屋にないので、内容を見られないでいた。
常連さんが、本を三冊、いらないからあげると言って持ってきた中に一冊あった。
この本は、25個のテーマを設け、それぞれについて、羽生、佐藤、森内の考え、読みを披露してもらったもので、それを島が編集したものである。
テーマ図の選び方から、本の構成、内容など今までになく非常に面白い本だと思う。一問一問をじっくり読んで、自分の読みと、トッププロ三人の読みを比べて見るのも面白いし、役に立つだろう。
ただ、一冊の本、一つの局面をじっくり読まない人には面白くないのかもしれない。本を持ってきた常連さんは三段の人だが、「面白くなかった」と言って持ってきている。この人の棋風は筋は良いが早指しで、粘られるのが嫌いな人だ(参考のために)。
今までこの手の本はなかったし、私自信は非常に価値ある本と思ったのでAランクにした。たくさん売れて、是非続編を出してもらいたい。

4月26日
(買って来ました)・・・[3級から四段向け]ランクB
○塚田詰将棋代表作 (塚田正夫著:日本将棋連盟:1999年4月刊:1600円)

塚田詰将棋が200題載っている。5手〜9手までが84題、11手〜17手までが108題、19手以上が8題だ。
この本の詰将棋のほとんどが、「詰ませて見るか」とやる気にさせる簡明な形なのがとてもいい。ランクをAにするか迷ったくらいだ。
ただ、詰将棋慣れした人にはちょっと物足りないかもしれない。将世の詰将棋サロンや近将の詰将棋シアターなどをいつも楽しみに解いている人にはちょっと物足りないだろうが、こういった詰将棋は解く気がしないという実戦派の人にはちょうどいい。
一ヶ月くらいかけて、私も全部解いてみます。

4月26日
(買って来ました)・・・ランクC、但し読み物なので人により評価は変わる。
○将棋これも一局読本 (宝島社:1999年4月刊:933円)

前回宝島社で出版された「将棋王手飛車読本」と同じ形式で書かれた本だ。
棋譜や図面をいっさい載せず、プロ棋士へのインタビューや話だけで構成されている。
前回の本もそうだったのだが、表紙や副題の付け方がうまい。「盤上から溢れ出る本音と素顔、寡黙な天才たちがここまで語った!」と書いてあると、読んでみたいと思ってしまう。
だが、内容はそれほどでもない。中には面白い話もあったが、表紙の期待感が大きいだけにイマイチな感じがしてしまう。
ただ読み物なので、人により感じ方は違うだろう。1000円してない本なので、私はまあ普通かなって思った。

4月12日
(立ち読みしました)・・・ランクC、但し読み物なので人により評価は変わると思う。
○81桝物語 (鈴木宏彦著:毎日コミュニケーションズ:1999年3月刊:1900円)

盤上81の一つ一つに様々な話をつづった読み物。
週刊将棋に連載していたものを、単行本化したものであるが、手に取って見たところ、週刊将棋に載っていたものより読みやすく作られている。
値段がちょっと高いのが難点だが、週刊将棋で見ていない人が読むにはなかなか面白い本だ。

4月12日
(立ち読みしました)・・・[4級から三段向け]ランクB
○新版奇襲大全 (湯川博士著:毎日コミュニケーションズ:1999年3月刊:1200円)

以前に出版された、奇襲大全の新版である。
前の奇襲大全もなかなか良い本なので、初段前後の人には是非一冊持っていてもらいたい本だ。
私自身、買うかどうか迷ったが、新規追加分が少ないのと、週刊将棋に載っていたものであるなどの理由で買うのはやめた。
前の奇襲大全を持っていなくて、初段前後の人は文句なく「買い」です。

3月9日
(立ち読みしました)・・・[8級から1級向け]ランクB
○超初心詰将棋 (週刊将棋編:毎日コミュニケーションズ:1999年2月刊:1000円)

96年8月から98年1月までに週刊将棋に載った詰将棋をまとめたもの。
3手詰132問、5手詰68問あり、やさしい手筋ものが多く、級位者にとっては、とてもいい本である。
週刊将棋を取っていなくて、実戦でもよく詰みを逃すという級の人は是非買って何度も読んでもらいたい。
私のこの本に対する不満は三つある。一つは「まえがき」がないこと。帯には森下の言葉が書いてあるが、まえがきがないので、内容や対象者が一目で分からない。二つ目は、題が「超初心」とあること。超の字を付けるなら10級以下で、1手詰と3手詰の詰将棋くらいだろう。「超」の字はいらない。三つ目は、森下の言葉に、「有段者にも大いに推したい」とあること。はっきりいって、有段者ではさすがに簡単すぎる。超初心とあるのにそれはないだろう。
と、まあ不満は、内容に直接関係のないものだけだ。問題の質はとても良いので、級の人にはお勧めの本である。

3月9日
(買って来ました)・・・[4級から四段向け]ランクB
○B級四間飛車の達人 (週刊将棋編:毎日コミュニケーションズ:1998年12月刊:1200円)

B級などど書いてあるので、買うつもりは全くなかったのだが、内容を少し見てみたら、面白そうなので買ってみた。相手の戦型は、棒銀、居飛車穴熊、中央位取り、左美濃の四つで、これらに対して、四間飛車側の結構分かりやすい対応策(6五を突いて角交換を挑む)が書かれている。
道場でも強い四段同士だとちょっと無理っぽいところもあるが、初二段クラスの人には十分すぎるほど通用する戦法だろう。
最近は四間飛車が全盛だが、藤井システムもどきの戦法は、玉が薄いので、アマチュアには不向きなところがある。この本のまえがきにもあるが、「玉も堅くて主導権も握れて指し方も分かりやすい四間飛車」として、なかなか面白い本だ。

3月1日
(立ち読みしました)・・・[初段から五段向け]ランクD
○康光流四間飛車破り (佐藤康光著:日本将棋連盟:1999年2月刊:1200円)

佐藤が、対藤井システムの本を出したというので期待して買いに行った・・・・・のだが、
この本は、居飛車穴熊対藤井システムの15局を解説しているにすぎない本だった。私は、定跡研究を本にしたのかと思って、かなり期待していただけに、がっかりした。
もちろん内容を一字一句読んだ訳ではないが、実戦の解説なら、雑誌で十分だと思う。
振り飛車には居飛車穴熊という居飛車党で、アマの大会に出る人には、おおいに参考になるかもしれない。

2月24日
(買ってきました)・・・[2級から五段向け]ランクB
○杉本流四間飛車 (杉本昌隆著:毎日コミュニケーションズ:1998年刊:1200円)

定跡編約130ページ、実戦5局約80ページからなっている。
定跡編は、急戦穴熊封じと相穴熊の解説がされている。急戦穴熊封じは、藤井システムの発展形だが、こちらの方が本家より分かりやすいかもしれない。
杉本の本は、前に買った相振りの本もそうだが、なぜか分かりやすい。
全体的な本のできは十分ランクAに匹敵するが、相穴熊のページが少なく、実戦の解説がちょっと多いのが不満であえてBにした。

2月24日
(立ち読みしました)・・・[4級から三段向け]ランクD
○自然流会心の一局 (中原誠著:日本将棋連盟:1998年刊:1200円)

実戦から、出題した次の一手20問と、実戦の解説8局がある。
私は、実戦の解説本をあまり高く評価しない。何の研究もなしに、簡単に本が作れてしまうし、実戦の感想なら将棋雑誌の方が新しいし、それで十分だと思うからである。
将棋雑誌や週刊将棋を読んでいない人が見るにはいいかもしれない。

2月13日
(常連が持ってきました)・・・[4級から五段向け]ランクB
○小池重明実戦集 (宮崎国夫著:木本書店:1998年刊:5800円)

小池重明の実戦譜160局と小池の様々な話が載っている、面白い本だ。
特に、実戦譜をこれだけ揃えたのは価値がある。アマチュアとしては群を抜くその終盤力は、盤に並べて味わって見たい。
ただ、値段がだいぶ高いのが難点。豪華本にしないで、物語も少し削って、せめて2000円くらいで出してほしかった。
私は、常連に(友人なので)、いつでもいいから読み終わったら、貸してもらうことにしました。

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