ホームへ戻る/受けの手筋表紙へ

NHK杯に見る受けの手筋
(2008年11月10日出題)

第172問(2008年11月9日:片上五段-藤井九段戦)
(問172-1)
最近よく矢倉を指すと言われる藤井九段だが、本局は多くの将棋ファンの為に振り飛車模様。対して先手の片上五段が早めに飛車先を決めた為、向かい飛車になった。
そして、お互い美濃から銀冠へ組み替え、今△2四歩▲同歩△同角と歩を交換したところ。向かい飛車では良く出る形で、このまま先手が何もしないと△7九角成の王手から△2八飛成と飛車を素抜かれてしまう。と言って▲6八角のような受けは△同角成から二枚換えで悪い。ここでは、同じような形から良く出てくる手筋の一着がある。先手の次の一手は?


(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問172-2)
上図より、お互い僅かなポイントを稼ぐため細かく動くことになったが、結果後手がやや作戦勝ちになった。そして▲1七角に△1五歩と仕掛け、飛車交換が行われた。
今▲4四角と飛び出したところで、何かに当たっているという訳ではないし、△3七桂成からどちらが早いかと思って見ていたのだが、ここで藤井九段の指し手にビックリ。その藤井九段の次の一手とは?



(難易度・・・



(これより下に解答)

(問172-1解答)「向かい飛車の時の▲4六歩」
向かい飛車で△2四歩▲同歩△同角の時に▲4六歩と突く形は非常に多い。素抜きを防ぐだけなら他の手もあるが、この手は、角道を通した後の▲4五歩の狙いもあり、もっとも良く出てくる一手。本譜はここから第二次駒組みに入ったが、その場合でも▲4六歩自体がマイナスになることはほとんどない。




(問172-2解答)「駒損より好位置をそらす一手」
ここで藤井九段の指した△4三歩が珍しい好手。1一の香が浮いている形であれば考えられないこともないが、この場合は、4筋に歩が利かなくなる上、ゼロ手で香を取られることになる。しかし、それ以上に4四角の位置が良く、このまま飛車を下ろされて攻め合われる方が損との判断だった。

実際この交換が好手で、▲1一角成と香を取った馬は働き出すまでに時間がかかった。結果、2五の桂が4七の銀を取り、以下は正確な距離感で攻め合い、最後はきれいな即詰みに討ち取った。


先週の問題へ/来週の問題へ

ホームへ戻る/受けの手筋表紙へ