ホームへ戻る/受けの手筋表紙へ

NHK杯に見る受けの手筋
(2008年12月29日出題)

第179問(2008年12月28日:渡辺竜王-谷川九段戦)
(問179-1)
先手渡辺竜王、後手谷川九段で一手損角換わりの戦型になった。
そして先手の早繰り銀に対し、これも良くある△5五角の反撃でやや後手が良くなったかと思われたが、先手も勝負手を出し後手との差を縮めていった。
下図は、数手前に▲7二銀と打ち、この局面をそのままに、後手の攻めに▲5九金という渋い受けを放ち、今、△3八とに▲6八飛と逃げたところ。
ここで後手谷川九段の指した一手は何か?


(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問179-2)
先手の玉は固いがその分攻めは細い。取っかかりが少なく、後手玉にどのように迫ったらよいか難しいところだが、ここで渡辺竜王の指した一手は何か?
受けと言うよりもこの局面においては攻めの一手とも言えるその手とは?


(難易度・・・



(これより下に解答)

(問179-1解答)「根っこの駒を催促する受け」
打ち込まれた▲7二銀を取ることから考えるのは自然だが、△同金は▲5二金の一手詰み。同角や同飛も大駒を取られて手がつながってしまう。そこで谷川九段の指した一手は△5五角。次に△6四角と要の桂を外せれば必勝なので、後手の攻めをせかした手だ。
これに対し、▲8三金や▲6一銀成から攻めるのが普通に見える手であるが、渡辺竜王は▲8一銀成と驚愕の一手で攻めをつなげた。



(問179-2解答)「先手を取って、支えとなる駒を作る」
ここで渡辺竜王は▲5六金と打った。
この手は△5七角成を防ぐという意味も多少はあるが、本当の狙いは次の▲4五桂の支えとなること。ここからの桂打ちがもっとも厳しい攻めで、ここに打てないとなかなか後手玉に迫れない。

実戦はこの後、△3七角成▲4五桂となり、先手の攻め後手の受けが続き、細い攻めを受け切れるかどうかにかかっていたが、やや受けに疑問手も出て、飛車を取った先手が後手からの最後の強襲を受け止め勝利した。


先週の問題へ/来週の問題へ

ホームへ戻る/受けの手筋表紙へ