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NHK杯に見る受けの手筋
(2009年3月16日出題)

第190問(2009年3月15日佐藤NHK杯-森内九段戦)
(問190-1)
先手佐藤NHK杯、後手森内九段で角換わりの出だしから先手が振り飛車を匂わせ、これに後手が機敏に反応したため急に戦いが始まり完全な手将棋となった。
下図は△8八角から後手が香得を果たしているが、その分後手玉は薄く、まだまだ大変な終盤の入口。そして▲6六歩に△6四桂と反撃の一手を指したところ。ここで先手の佐藤NHK杯の指した一手は?


(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問190-2)
少しずつ駒得をして後手が有利になっていったが、それでも今▲6二歩成と後手玉に肉薄してちょっとでも対応を誤るとたちどころに逆転してしまう局面だ。
ここで後手森内九段の指した一手は?


(難易度・・・



(これより下に解答)

(問190-1解答)「玉の早逃げで戦いに備える」
すぐに攻めても△5六桂の反撃が厳しい。そこで佐藤NHK杯の指した一手は早逃げの▲4九玉。先手がすでに香損をしている上に9九馬が活躍するようになると苦しくなる為、本来は急がされているのだが、だからといってすぐに攻めるのはやはり負けを早める。
ここでは早逃げと言うより玉が5九では遊び駒となっている2七の銀を働かす意味でも玉を囲いに近づけたい。
但し、実戦は△5六桂に▲6七金と逃げた手が悪く(感想戦で悔やんでいた手。玉を2八に入れるなら▲5八金とかわすべきだったとのこと。)、少しずつ形勢を損ねていった。



(問190-2解答)「玉の早逃げで攻めを余す」
こちらも△4二玉の早逃げがひと目の一手。6二の駒が金のように価値の高い駒なら取る手もないことはない。但しその場合でも、△6二玉▲6三金△5一玉▲6四金△4二玉となり、手得もしていないし駒得もしていない(6二の駒が金であれば6四の銀が金として持ち駒になった勘定。と金であれば銀損となる)。
したがって、この場合は△4二玉と単に逃げるのが正しい。

実戦は▲6三銀成に△1五桂から先手玉に襲いかかり、その後先手も反撃、準決勝に相応しい攻防が続いたが、最後は先手の攻めを余し森内九段が決勝に勝ち上がった。


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