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NHK杯に見る受けの手筋
(2009年12月21日出題)

第229問(2009年12月20日森内九段-堀口七段戦)
(問229-1)
後手の堀口七段が3手目△4四歩と角道を止めた為、普通の四間飛車になり、対して先手の森内九段は▲5七銀左から急戦の構えを取った。しかし、△3二金と急戦を受け止める手を見せると、その後はじっくりとした細かい動きの応酬になり、お互いが馬を作る持久戦模様へと進んだ。

下図は、端に手を付けた先手だが、すぐに動くこともなく今▲4八飛と回ったところ。この手自体に次の狙いがあると言うわけではないが、ここで後手の堀口七段は端を緩和する為の一手を指した。実際、良く出てくるこのような局面での端の緩和方法とは?


(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問229-2)
先手の攻めに対し、後手の辛抱が続いていたが、△8一の桂が6五まで跳び、今△7六歩と逆襲に転じたところ。固かった先手玉も急に薄くなり、後手玉もちょっと急所が見えにくい。
しかし、ここから森内九段は巧みな手順で後手玉を寄せてしまった。この局面でのまず最初の一手とは?


(難易度・・・



(これより下に解答)

(問229-1解答)「端攻めに対する受けの形」
堀口七段がここで突いた△8四歩が端攻めに対する一つの受けの形。先手が何もしなければ、△8三銀から△9四銀と歩を払う手を見せ、▲9五香にはじっと△9二歩と受けておいて、先手陣が弱体化しているのを主張する。
▲9四歩と垂らした局面は、先手からみると▲9五香と走るのではなく、(その暇があれば)▲8五馬から▲9五馬などと香を下段に置いたままで他の駒でこの歩を払いたい。もちろん実際にはその暇はないが、そうした狙いも△8四歩は防いでいることになるし、良く生じる手段として▲8九の桂が▲8五まで跳んでくるのを防いでいるという意味もある。

もっとも本譜、森内九段は△8四歩を待っていたかのように▲8六銀と攻めに銀を繰り出し、激しい玉頭戦へ突入していった。


(問229-2解答)「これも受けの形-飛車頭を叩く」
飛車が利いている為、部分的に△7七歩成を防ぐ手だてはない。しかし、ここで▲7二歩と叩いた手が、手筋であると同時に攻防手で非常に厳しい一着となっている。
△同飛と取って7七に利かせたいが、▲6一銀が、▲5二馬を見て厳しい。と言って、単に逃げたのでは、▲7六金と歩を払われてしまう。
と言うわけで、実戦は△7七歩成から金桂交換になった後△5一飛と逃げたが、桂が入ったことにより▲2六桂が寄せの急所になった。

実戦、一度は△5三玉から△4三玉と馬のいる方へ逃げ込めたかに見えたが、桂入手後の▲2六桂が激痛。その後、後手も粘ったが、▲9六馬の利きを最大限に活用した先手が後手玉を一気に寄せ切ることに成功した。


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