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NHK杯に見る受けの手筋

(2010年3月15日出題)

第240問(2010年3月14日丸山九段-羽生NHK杯選手権者戦)
(問240-1)
先手丸山九段、後手羽生NHK杯で後手のゴキゲン中飛車。これに先手が二枚の銀を繰り出そうとしたが、その直前に後手が飛車先を切って戦いに入った。下図は、飛銀交換だが、先手は歩切れで、特に角ののぞきに飛車しかないため、やや受けづらいと思われるところ。ここで先手丸山九段の指した一手は?また、感想戦では、それをさらに上回る手が検討された。合わせてその一手も。

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問240-2)
後手は、3一の銀、3二の金を取られる間に先手玉に食いつけるかどうかという局面が続いていたが、僅かに後手の攻めの方が早そうに見えるところ。こういう局面で良く出る先手の受けは?逆転出来なかったものの、少しでも間違えると逆転に至る最善の受けとは?

(難易度・・・



(これより下に解答)

(問240-1解答)「駒を取られた後まで読みを入れる」
ここでは飛車取りなので、▲1八飛と逃げるのは自然だ。しかし△2七銀▲5八飛に△1九角成と香を取られ、歩のない先手には△5一香の痛打が残る。
そこで丸山九段は、ここで▲3八飛打と飛車を自陣に打って角成りを防いだ。これで△2八角成▲同飛なら、この交換は飛角交換であるが、その前に飛銀交換しているため、結果は角銀交換でまだ先手の方が駒得である、と主張している訳。
この後、実戦は△3三桂▲6六銀△2八角成と進んだが、▲3八飛打は、飛角交換を強要していない為、△3三桂の一手が入ってしまった。感想戦で話されたのは、▲2七飛打と上に打つ手。これなら△3三桂には▲1八飛と逃げることが出来、本譜よりはだいぶ得であった。


(問240-2解答)「逃げ道を開ける角の移動」
駒落ち(特に二枚落ち)でも良く出るが、右側から攻め込まれた時、壁角を移動することで、玉が広くなり、攻めを余せることが多い。この局面は、▲5五角と出ても詰めろではない(▲7四桂には角が利いている)のだが、攻める時に角をこの筋から外せないという制約を与えている。

玉が広くなり、先手の攻めは分かりやすく、後手の攻め方は難しい。アマなら先手が勝ってもおかしくない局面にまで進んだが、そこは羽生名人、△6八銀から入り、最後はきれいな必死をかけて、中盤以降一度も受けに回ることなく攻め切ることに成功した。

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