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NHK杯に見る受けの手筋

(2010年4月5日出題)

第243問(2010年4月4日澤田四段-豊島五段戦)
(問243-1)
新たなNHK杯トーナメントが始まり、本日は開幕戦。先手澤田四段、後手豊島五段で、戦型は序盤の駆け引きの後、先手が飛車を深く引き、後手が浮き飛車にするという相掛かり戦となった。
その後、銀交換、角交換が行われ、一気に激しい終盤戦へと突入。下図は6五の桂を食いちぎった所で、▲同歩には△5五桂と迫る予定だった。ここで指された先手の受けの勝負手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問243-2)
駒割りは6六の桂を取られれば五分ながら、先手の1六銀の遊びがひどく、少し後手が良いと思われる局面。▲6一飛と王手をされているが、ここで後手の指すべき一手は?
王手に対し受ける場合は、その後の相手からの攻め、自分の攻めなど総合的に考えることになる。

(難易度・・・



(これより下に解答)

(問243-1解答)「常識外の一手で勝負を複雑にする」
将棋の基本は、駒得をし駒損をしないこと。これはまず10級以下の初心者に教えることで、将棋と言うゲームの基本だ。しかし、終盤になるに従い、その例外が少しずつ多くなっていく。
ここでは、その駒損をしないように、まず▲6五同歩と銀を取る手が普通。あるいは一旦▲2四馬と飛車を取ってからということもあるが、いずれにしても6五の銀を取らないで逃げられると桂損確定になってしまう。

しかし、ここで澤田四段は▲4六金と銀を取らずに△5五桂を防いだ。これは普通なら銀に逃げられると悪いのだが、△5四銀は▲2五銀があり、△7四銀では、桂得とはいえ完全に遊び駒となるため桂損でも指せると見た勝負手。
実戦は、△6六銀▲同金△5四桂と進み、やはり少しずつ後手が優勢だったようだが、簡単に負けない常識外の勝負手だった。

(問243-2解答)「合駒か逃げるかどちらがより安全か」
ここでの△2二玉は当然の一手。但し、もし4筋に歩が利き、先手の▲2七歩がなければ△4一歩と受けるか△2二玉と上がるかは難しい選択となる。2七に歩がないと(相居飛車ではない事の方が多い)、▲2三歩と叩く手が常にあり持ち駒によっては痛打となることも多い。
また4一に合駒をすると▲5二銀と言う手があり、そうしたことも総合的に考えて選択することになる。
本局の場合は、歩は打てないし、他の駒を打つのは、攻めが細くなってしまうため論外で、しかも▲2三歩と叩かれない以上上がる一手となっている。

本譜は、▲6六飛成に△6五歩から拠点を作り、ギリギリながらも後手が攻めをつなげ、豊島五段が開幕戦勝利を決めた。
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