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NHK杯に見る受けの手筋

(2010年11月8日出題)

第274問(2010年11月7日 郷田九段-阿久津七段戦)
(問274-1)
先手郷田九段の居飛車に対し、後手の阿久津七段は、9筋の位を取り、△9二飛から△9四飛と浮き、奇襲戦法の本くらいにしか載っていないような変型ひねり飛車を採用、力将棋となった。
それでも飛車が向かいあった形で難しい終盤戦へ突入するかという時に、さばき方を誤り、先手十分な形で終盤へ入った。今、△8四香に一旦は▲6八金寄と受けたところだが、▲9四歩の突き出しが厳しくそれより早い手が後手にはない。ここで後手阿久津七段の指した一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問274-2)
下図は、6一の駒を△同銀と少し玉を広くしながら取ったところ。後手が受けたので、先手陣もすぐに受ける必要のない所ではあるが、攻めると駒を渡すので反動が生じることもよくある。ここで▲9四歩と攻める前に一手自陣に手を入れた郷田九段の次の一手は?
(難易度・・・



(これより下に解答)

(問274-1解答)「美濃囲いの受けの形」
ここでは少し苦しそうだが、この美濃のまま▲9四歩から▲9三歩成とされてはつぶされてしまう。そこでその手が来る前に△6一桂とここに駒を埋めて、次に△6二金を見せるのが一つの受けの筋。香をタダで取られてはいけないので先手も▲6一香成と取るが、△同銀で端からの逆襲に少し余裕を持たせた。


(問274-2解答)「遊び駒を受けに使う」
後手からの攻め筋として△8七香成▲同玉△6七角成▲同金△6九龍がある。但しすぐに来ても▲7八角と受ければまだ大丈夫だ。しかし、このような攻め筋があるとさらに駒を渡したときには危険になることも多い。ここではその筋を受けながら▲5六銀と上がった手があまりにも味良い一手。
この局面、駒割りは後手の香得だが、それでも先手優勢なのは、1七の銀と3二の金二枚が遊んでいる為。先手は、若干遊び気味だった4七の銀がいるだけでそれだけも少し有利だったが、この銀を▲5六銀と一手で受けに使えたことで、すべての金銀が玉周辺に集結。後手が二枚の金銀だけで守っているのとは雲泥の差になった。

本譜はこの後、▲9四歩から9三歩成で香を交換し、玉をつり出した瞬間に▲7二香の手筋一発が痛打。先手玉に迫る手がなくそこで後手の投了となった。

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